スタジオ・ムンバイが手がけた尾道の〈LOG〉へ。
『カーサ ブルータス』2019年3月号より
February 21, 2019 | Travel, Architecture | photo_Satoshi Nagare text_Ai Sakamoto
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ビジョイ・ジェイン 1965年インド・ムンバイ生まれ。90年ワシントン大学で修士号取得。LAとロンドンで実務経験を積み95年インドでスタジオ・ムンバイ・アーキテクツ設立。
尾道の自然と文化、歴史に触れる。 〈LOG〉とは「Lantern Onomichi Garden」の意味。千光寺へと続く坂道の途中に位置し、近くには志賀直哉が『暗夜行路』の草案を練ったとされる長屋もある。ライブラリーやピロティなどからは、尾道水道を望むことも。尾道駅前より続く道から、石畳の階段を100段ほど上がるため、車でのアクセスはできない。
ビジョイの書斎をイメージしたライブラリー。 3階の一角にあるライブラリーは宿泊客のみ利用できる特別な場所。庭の緑とリンクするセージグリーンの壁と、掻き落とし仕上げの土間が心地よい空間を生み出している。中庭にあった日本家屋を壊した際に出た土を、土間に再利用。スタジオ・ムンバイの職人が手がけた繊細な家具が存在感を放つ。扉と網戸は銅製。
スタジオ・ムンバイ作の家具にも注目。ライブラリーに置かれているのは、スタジオ・ムンバイの職人が一つ一つ手作りしたオリジナル家具。黄色はマリーゴールド、青色はインディゴで染めている。
地元食材を使った季節感あふれる朝食に舌鼓。 ダイニングで供される料理は、料理家・細川亜衣が監修。写真は季節のフルーツサラダ、野菜と果物2種類のマフィン、〈三良坂フロマージュ〉のチーズなどからなる朝食。野菜を中心とした夕食も2月よりスタート(朝・夕食ともに宿泊者限定)。オリジナルの真鍮バターナイフやい草のカゴはショップで購入できる。
心地いい光の入るダイニングで朝食を。ライブラリーとは微妙に異なるグリーンが施されたダイニング。土間からそのまま立ち上がるキッチンカウンターや、窓下に延びるベンチなど随所に手仕事を感じさせる。
和紙に包まれた繭のような客室。 「白く柔らかいものに包まれる」というビジョイのイメージを具現化した客室。床や壁、天井、そして建具など一面に和紙が張られ、窓に波形のモールガラスが用いられた空間は繭を思わせる。広さ40㎡の客室にはすべて縁側が設けられている。写真は部屋の中央にベッドスペースを設けたデラックスダブルルーム。
部屋の左右に小上がりのベッドスペースが配されたスタンダード2ベッドルーム。障子を閉じれば、こちらも「和紙に包まれた繭」のような寝室が現れる。
ギャラリーに展示予定のスケッチと模型。
LOGが完成するまでの軌跡を紹介するギャラリー。今後、素材サンプルや図面などを展示していく予定だという。