TRAVEL
別府駅前の銅像を囲んで、西野達のホテルが出現!(露天風呂付き)
November 8, 2017 | Travel, Art | casabrutus.com | photo_Takuya Neda text_Naoko Aono editor_Keiko Kusano
湯けむりの街、大分県別府市で西野達が大胆不敵なアートを仕掛けてます。共同浴場で温泉ホッピングをしながら街を歩くと、インパクトある西野の作品が次々と顔を出す、お湯とアートのコラボが楽しめます!
JR別府駅前の広場に、何やら白い大きな箱が出現している。大きな窓から中をのぞくと、そこには銅像が! しかもバンザイをして片足でステップを踏んでいるという強烈なポージングだ。白い箱は《油屋ホテル》。アーティスト、西野達のホテル型の作品だ。
西野達はシンガポールのマーライオンなどの銅像や街灯を取り込んで、リビングルームやホテルのようなインスタレーションを作るアーティスト。見慣れすぎて普段は意識しない街角のさまざまなオブジェをアートに変えることで、いつもの風景がまったく違ったものに見えてくる。作品は期間限定だが、それがなくなったあとも違う人生が歩めそうな気がしてくるのだ。美術館のコレクションである彫刻作品を市電の乗客にしたり、家具を頭の上に積み上げて歩く、といった写真作品も。こちらも日常を斜めの角度から見てみよう、というアートだ。
今年は〈21_21 DESIGN SIGHT〉でのカプセルホテル(すでに終了)や熊本県津奈木の《ホテル裸島》(12月5日まで)など日本でのホテル型プロジェクトが続いた。『西野達 in 別府』はその中でも大がかりなもの。別府の街がまるごと彼の作品になったような印象だ。日本では銅像を取り込んだリビングルーム型の作品をつくったことはあるけれど、ホテル型の作品を発表するのは初めて。その意味でも見逃せない。
今年は〈21_21 DESIGN SIGHT〉でのカプセルホテル(すでに終了)や熊本県津奈木の《ホテル裸島》(12月5日まで)など日本でのホテル型プロジェクトが続いた。『西野達 in 別府』はその中でも大がかりなもの。別府の街がまるごと彼の作品になったような印象だ。日本では銅像を取り込んだリビングルーム型の作品をつくったことはあるけれど、ホテル型の作品を発表するのは初めて。その意味でも見逃せない。
《油屋ホテル》でバンザイをしている銅像は「油屋熊八」というおじさん。1863年生まれ、別府を温泉観光地として全国に名をとどろかせた立役者なのだ。1911年に高級温泉旅館〈亀の井旅館〉(亀の井ホテルの前身)を創立、日本で初めて女性バスガイドが乗った観光バスを走らせ、温泉マークを別府温泉のシンボルマークとして世に広めた。「山は富士、海は瀬戸内、湯は別府」というキャッチコピーまで考案したアイデアマンだ。憧れの湯けむりの街、別府のイメージは彼によって作られたと言ってもいい。
JR別府駅前の銅像は10年前に彼の功績をたたえて建立された。「天国から明るく呼びかけているイメージ」(銅像の作者である彫刻家・辻畑隆子の言葉)なのだそう。
Loading...
Loading...