TRAVEL
【保存版】京都|カーサブルータスが選ぶおすすめスポット31選!グルメ/ホテル/美術館の穴場から新定番まで。
October 12, 2024 | Travel, Architecture, Art, Culture, Food | casabrutus.com
カーサブルータスが選ぶ、京都のおすすめスポットを一挙ご紹介! 京都旅のお供にどうぞ。(最終更新日:2024年11月1日)
●ホテル
■京都駅・七条|丸福樓
旧山内任天堂社屋が安藤忠雄の設計監修でホテル〈丸福樓〉に変身。|甲斐みのりの建築半日散歩
任天堂の創業家である山内家が大切に守り続けてきた歴史的建物で、長らく非公開だった旧山内任天堂社屋が、リノベーションを経てホテルに生まれ変わるというのをニュースで知ったのは、2020年初頭頃。それから2年。2022年の4月に、とうとう開業の日を迎えると聞いて京都を目指した。
最寄りは京阪電鉄・七条駅。鴨川と高瀬川の間に位置する鍵屋町は、昔ながらの町家や商店建築が残る静かな町並みで、繁華街とは異なるゆったりとしたときが流れる。そこに1930(昭和5)年に建てられたのが、1889(明治22)年に花札やカルタの製造を始め、世界的なゲームメーカーへと発展を遂げた任天堂の本社社屋。表通りの正面玄関から北に向かって3棟が連なり、それぞれ、事務所棟、創業家である山内家の住居棟、倉庫棟として使用されていた。
そこかしこにアール・デコ調の装飾がほどこされた鉄筋コンクリート4階建てのビルを設計したのは、京都に建築事務所を構えていた、増岡熊三と田中義光。サンドベージュのタイルを張り巡らせた外壁には、ところどころに幾何学模様の煉瓦や石材が。館内にも大理石やカラフルなタイルが贅沢に用いられ、格子窓のダークグリーンが空間全体を引き締めている。
ホテルに冠された〈丸福樓〉という名は、山内家の屋号〈丸福〉に由来する。プロデュースを手がけるのは、神戸〈オリエンタルホテル〉や奈良〈菊水楼〉をはじめ、地域性を活かしたホテルやレストランを運営する〈Plan・Do・See〉。既存棟2棟はオリジナルのディティールを蘇らせ、新棟は建築家・安藤忠雄により、コンクリート造りの新たな建物が誕生した。
全部で18室ある室内の調度品は部屋ごとに趣が異なり、新旧のデザインが過去から未来への物語を携えて響き合う。既存棟と新棟が融合した「丸福樓スイート」のテラスからは、清水寺など京都のまち並みを一望できるのも贅沢な限り。宿泊プランはオールインクルーシブで、夕食、朝食、客室ミニバー、ラウンジでのドリンクや軽食が宿泊料金に含まれるので、館内では時を忘れて自由にゆったり寛げる。
レシピ・内装・器・植栽に至るまで、料理家・細川亜衣さんが監修するレストラン「carta.」では、京都の旬の食材を使った夕食と朝食を提供。また、ラウンジではグラタンやうどんなどの軽食を味わえるのも心嬉しい。
photo_Ryumon Kagioka text_Minori Kai
任天堂の創業家である山内家が大切に守り続けてきた歴史的建物で、長らく非公開だった旧山内任天堂社屋が、リノベーションを経てホテルに生まれ変わるというのをニュースで知ったのは、2020年初頭頃。それから2年。2022年の4月に、とうとう開業の日を迎えると聞いて京都を目指した。
最寄りは京阪電鉄・七条駅。鴨川と高瀬川の間に位置する鍵屋町は、昔ながらの町家や商店建築が残る静かな町並みで、繁華街とは異なるゆったりとしたときが流れる。そこに1930(昭和5)年に建てられたのが、1889(明治22)年に花札やカルタの製造を始め、世界的なゲームメーカーへと発展を遂げた任天堂の本社社屋。表通りの正面玄関から北に向かって3棟が連なり、それぞれ、事務所棟、創業家である山内家の住居棟、倉庫棟として使用されていた。
そこかしこにアール・デコ調の装飾がほどこされた鉄筋コンクリート4階建てのビルを設計したのは、京都に建築事務所を構えていた、増岡熊三と田中義光。サンドベージュのタイルを張り巡らせた外壁には、ところどころに幾何学模様の煉瓦や石材が。館内にも大理石やカラフルなタイルが贅沢に用いられ、格子窓のダークグリーンが空間全体を引き締めている。
ホテルに冠された〈丸福樓〉という名は、山内家の屋号〈丸福〉に由来する。プロデュースを手がけるのは、神戸〈オリエンタルホテル〉や奈良〈菊水楼〉をはじめ、地域性を活かしたホテルやレストランを運営する〈Plan・Do・See〉。既存棟2棟はオリジナルのディティールを蘇らせ、新棟は建築家・安藤忠雄により、コンクリート造りの新たな建物が誕生した。
全部で18室ある室内の調度品は部屋ごとに趣が異なり、新旧のデザインが過去から未来への物語を携えて響き合う。既存棟と新棟が融合した「丸福樓スイート」のテラスからは、清水寺など京都のまち並みを一望できるのも贅沢な限り。宿泊プランはオールインクルーシブで、夕食、朝食、客室ミニバー、ラウンジでのドリンクや軽食が宿泊料金に含まれるので、館内では時を忘れて自由にゆったり寛げる。
レシピ・内装・器・植栽に至るまで、料理家・細川亜衣さんが監修するレストラン「carta.」では、京都の旬の食材を使った夕食と朝食を提供。また、ラウンジではグラタンやうどんなどの軽食を味わえるのも心嬉しい。
photo_Ryumon Kagioka text_Minori Kai
〈丸福樓〉
京都府京都市下京区正面通加茂川西入ル鍵屋町342。 TEL 075 353 3355。1泊1室2名利用70,000円〜。部屋代のほか料理、飲み物などオールインクルーシブ。全18室(うち7室がスイート)。公式サイト
📍Google Maps
京都府京都市下京区正面通加茂川西入ル鍵屋町342。 TEL 075 353 3355。1泊1室2名利用70,000円〜。部屋代のほか料理、飲み物などオールインクルーシブ。全18室(うち7室がスイート)。公式サイト
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■二条城・烏丸御池|エースホテル京都
〈エースホテル京都〉で堪能するコミューンデザインの編集力|川合将人のインテリアスナップ
烏丸御池のランドマークだった煉瓦造りの〈新風館〉が隈研吾の監修により大きく生まれ変わったのは2020年の6月。その中でも最も注目していたのが、初の海外進出を果たしたアメリカ、シアトル発の〈エースホテル京都〉です。空間のデザイン監修を手がけたのは本国のエースホテル同様、LAを拠点に活動するコミューンデザイン。土地や空間の特性に合わせて自由に発想する彼らのスタイルにかねてから興味を持っていた僕も、早速宿泊してきました。
〈エースホテル京都〉は吉田鉄郎の設計で1926年に竣工した旧京都中央電話局の建物を生かした保存棟と、新たに増設された新築棟にまたがり全213室の客室が用意されています。
”East Meets West”をテーマにした館内には、至る所に日本の作家やメーカーが手がけたクラフト作品やアートワークが配置されています。代表的なのは、銅板を叩いて成形した富山〈能作〉のレセプションカウンターや、染色工芸家の柚木沙弥郎の案内表示や全客室の壁面アート、ロビーや階段まわりに点在する浜名一憲の大きな壺などです。
新旧織り交ぜ、コミューンデザインのセンスで選ばれたそれぞれの作品は、時には館内設備と一体になり、あるいは単純な装飾として用いられたりと、実に様々な形で目を楽しませてくれます。プロジェクトのスタートから、作品を含めすべてが完成するまでには、約5年ほどの期間がかかったそうです。
宿泊したのは、烏丸通りに面した地上3階建ての保存棟にある「ヒストリック・ツイン」の一室。旧京都中央電話局のクラシカルな建物を利用した部屋で、天井高のある寝室部分には大きな窓があり、開放感を味わえる心地よい間取りとなっています。
ラウンジスペースは座布団がシートクッションになったコミューンデザインのソファにイサム・ノグチの和紙のフロアランプを合わせ、壁には柚木沙弥郎の鮮やかなアートがひとつ。カーテンや壁付のランプシェードに使用されているテキスタイルは〈ミナ ペルホネン〉のものでした。まさに新旧の日本の工芸、デザインを折衷しながら”East Meets West”のテーマでスタイリングされた空間ですが、細かな色使いや素材使いにも目を見張るものがありました。
柄物のテキスタイルを随所に使いながらも、室内の印象が煩雑にならず上品にまとまっているのは、効果的な黒の色使い。間仕切りの柱やスクリーン、窓やドアの枠、デスクチェアのフレームやゴミ箱に加え、卓上ランプにオーディオやポットなどなど、建具から細かな小物まで、要所要所に引き締め役となる黒の色を使って空間全体の統制が図られています。ベッドにアレンジされている〈ペンドルトン〉のブランケットと〈ミナ ペルホネン〉のカーテン生地を同系色にまとめて色彩をコントロールしている点も見逃せませんでした。
そしてなんといっても、最も素材使いの妙を感じられたのが、ワードローブやミニバーの置かれた収納扉の面材として用いられた有孔ボードの存在です。扉全面に使用するわけでなく、一枚だけを有孔ボードにしている部分などは本当に参考になりました。規則正しく空いたドット穴のパターンをスパイス的に配置することで軽快な印象を生み、カジュアルでいて上品という、居心地のいいバランスを生んでいるのです。この有孔ボードの使い方は、家作りの参考としても取り入れやすいアイデアかと思います。ほかの客室にも同様に使用されていますので、ぜひ見ていただきたいポイントですね。
今回の滞在は2泊。限られた時間でしたが部屋の中に置かれたアナログレコードで気ままに音楽を流しながら身支度をしたり、ソファに座って1日の計画を練ったり。親しい友人の家に遊びに来ているようなくつろいだ気分になれる室内での時間は、大変有意義なものでした。宿泊者でなくても出入りできるロビーに加え、バーやコーヒーショップなど自由に楽しめるスポットが沢山あって、出掛ける時にも帰ってきた時にも館内を移動する度に発見があってワクワクできました。
常に新たな文化発信の拠点となり得るライフスタイルホテルのあり方を提示してきた〈エースホテル〉のアジア進出1号店ということで、期待値も非常に上がった状態でお邪魔したのですが、本当におすすめです。京都の街を散策する拠点として、もっと早くこんな場所が欲しかった! という気持ちにさせてくれる、素敵な内装に仕上がっていました。
photo_Keisuke Fukamizu text_Masato Kawai
烏丸御池のランドマークだった煉瓦造りの〈新風館〉が隈研吾の監修により大きく生まれ変わったのは2020年の6月。その中でも最も注目していたのが、初の海外進出を果たしたアメリカ、シアトル発の〈エースホテル京都〉です。空間のデザイン監修を手がけたのは本国のエースホテル同様、LAを拠点に活動するコミューンデザイン。土地や空間の特性に合わせて自由に発想する彼らのスタイルにかねてから興味を持っていた僕も、早速宿泊してきました。
〈エースホテル京都〉は吉田鉄郎の設計で1926年に竣工した旧京都中央電話局の建物を生かした保存棟と、新たに増設された新築棟にまたがり全213室の客室が用意されています。
”East Meets West”をテーマにした館内には、至る所に日本の作家やメーカーが手がけたクラフト作品やアートワークが配置されています。代表的なのは、銅板を叩いて成形した富山〈能作〉のレセプションカウンターや、染色工芸家の柚木沙弥郎の案内表示や全客室の壁面アート、ロビーや階段まわりに点在する浜名一憲の大きな壺などです。
新旧織り交ぜ、コミューンデザインのセンスで選ばれたそれぞれの作品は、時には館内設備と一体になり、あるいは単純な装飾として用いられたりと、実に様々な形で目を楽しませてくれます。プロジェクトのスタートから、作品を含めすべてが完成するまでには、約5年ほどの期間がかかったそうです。
宿泊したのは、烏丸通りに面した地上3階建ての保存棟にある「ヒストリック・ツイン」の一室。旧京都中央電話局のクラシカルな建物を利用した部屋で、天井高のある寝室部分には大きな窓があり、開放感を味わえる心地よい間取りとなっています。
ラウンジスペースは座布団がシートクッションになったコミューンデザインのソファにイサム・ノグチの和紙のフロアランプを合わせ、壁には柚木沙弥郎の鮮やかなアートがひとつ。カーテンや壁付のランプシェードに使用されているテキスタイルは〈ミナ ペルホネン〉のものでした。まさに新旧の日本の工芸、デザインを折衷しながら”East Meets West”のテーマでスタイリングされた空間ですが、細かな色使いや素材使いにも目を見張るものがありました。
柄物のテキスタイルを随所に使いながらも、室内の印象が煩雑にならず上品にまとまっているのは、効果的な黒の色使い。間仕切りの柱やスクリーン、窓やドアの枠、デスクチェアのフレームやゴミ箱に加え、卓上ランプにオーディオやポットなどなど、建具から細かな小物まで、要所要所に引き締め役となる黒の色を使って空間全体の統制が図られています。ベッドにアレンジされている〈ペンドルトン〉のブランケットと〈ミナ ペルホネン〉のカーテン生地を同系色にまとめて色彩をコントロールしている点も見逃せませんでした。
そしてなんといっても、最も素材使いの妙を感じられたのが、ワードローブやミニバーの置かれた収納扉の面材として用いられた有孔ボードの存在です。扉全面に使用するわけでなく、一枚だけを有孔ボードにしている部分などは本当に参考になりました。規則正しく空いたドット穴のパターンをスパイス的に配置することで軽快な印象を生み、カジュアルでいて上品という、居心地のいいバランスを生んでいるのです。この有孔ボードの使い方は、家作りの参考としても取り入れやすいアイデアかと思います。ほかの客室にも同様に使用されていますので、ぜひ見ていただきたいポイントですね。
今回の滞在は2泊。限られた時間でしたが部屋の中に置かれたアナログレコードで気ままに音楽を流しながら身支度をしたり、ソファに座って1日の計画を練ったり。親しい友人の家に遊びに来ているようなくつろいだ気分になれる室内での時間は、大変有意義なものでした。宿泊者でなくても出入りできるロビーに加え、バーやコーヒーショップなど自由に楽しめるスポットが沢山あって、出掛ける時にも帰ってきた時にも館内を移動する度に発見があってワクワクできました。
常に新たな文化発信の拠点となり得るライフスタイルホテルのあり方を提示してきた〈エースホテル〉のアジア進出1号店ということで、期待値も非常に上がった状態でお邪魔したのですが、本当におすすめです。京都の街を散策する拠点として、もっと早くこんな場所が欲しかった! という気持ちにさせてくれる、素敵な内装に仕上がっていました。
photo_Keisuke Fukamizu text_Masato Kawai
〈エースホテル京都〉
京都市中京区姉小路通東洞院西入車屋町245‐2 新風館内 TEL 075 229 9000。全213室。9月30日まで開業特別料金1泊1室30,000円~。公式サイト
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京都市中京区姉小路通東洞院西入車屋町245‐2 新風館内 TEL 075 229 9000。全213室。9月30日まで開業特別料金1泊1室30,000円~。公式サイト
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■京都市役所|ザ・リッツ・カールトン京都
美術館を巡るように、〈ザ・リッツ・カールトン京都〉でアートを楽しむ滞在を。
京都市内を流れる鴨川のほとりに位置し、京都を代表するラグジュアリーホテルとして知られる〈ザ・リッツ・カールトン京都〉。眼前に鴨川、そしてその先に東山三十六峰を眺めるロケーションの良さ、京都の伝統文化への敬意とブランドが持つ上質な世界観を両立した空間などで人気を誇る同ホテルだが、実は館内のいたるところにアートが展示されている、アートホテルでもある。その作品数は客室内も含めなんと約400!スタッフが案内するアートツアーも盛況の、ホテル内のアートを巡ってみよう。
エントランスのアプローチを抜けると、目に飛び込んでくるのが、楽器の琵琶をクリスタルビーズで覆った名和晃平の《PixCell-Biwa(Mica)》。名和を代表する表現方法である「PixCell」を用いたこの作品は、名和の作家性と京都の伝統へのオマージュが融合する。先に広がる1階のロビーは、『源氏物語』に登場する光源氏の理想の住まい〈六条院〉をモチーフとしており、その空間に多数のアート作品が飾られている。
名和の作品のすぐそばには、デビット・スタンリー・ヒューエットの新作《無我》が。2023年の1月に展示に加わった、〈ザ・リッツ・カールトン京都〉のアートコレクションの中で1番新しい作品だ。アメリカ出身で、空手や陶芸を通じた日本文化に影響を受けた作品で知られるヒューエット。《無我》は彼の代表的な作風である、金箔を貼ったキャンバスに筆で黒のペイントを施したアート。1階ロビーの中でも強い存在感を放ち、来訪客を出迎える。
フロント横のソファスペースに飾られるのは、三嶋りつ恵《月の光》。京都の竹林から着想を得たというこの作品は、三嶋が制作の拠点とするヴェネチアのガラスで作られている。光を通して繊細に輝く様はまさに月明かりのようで、静謐な時間を演出する。
地下1階に降りると、見えてくるのは大巻伸嗣の《Echoes – crystallization / moon》。絶滅の危機に瀕している花々を修正液と水晶粉で表現した作品だ。夜になると柔らかな輝きを放ち、時間帯によって異なる魅力を楽しめる。
もう1つ階を降りた地下2階にも、複数の作品が。中でも注目は、プール施設で鑑賞できる長谷川仁《群青の泉》。飾られているのは、なんとプール槽の中。分かりやすい場所だけでなく、まるで宝探しのように至るところにアートが散りばめられており、それを見つけていくのも楽しい。
アートはその他、ダイニングの随所にも。イタリア料理〈ラ・ロカンダ〉や日本料理〈会席 水暉〉などには、セラミック作品やペインティング、ガラス作品など、多岐にわたるアートが飾られ、食事をより華やかなものに。
また共用部だけでなく、客室にもアートが。京都をモチーフにした絵画のほか、内田鋼一などの器作家による作品も置かれ、旅の滞在をより特別なものにしてくれる。
ロビーやレストランに、客室からプールまで。〈ザ・リッツ・カールトン京都〉が無数のアート作品で彩られているのには、滞在するゲストに「わが家で過ごすようなやすらぎと、生涯の思い出に残る滞在を提供したい」という、ホテルの強い思いが込められている。
ホテルはアート鑑賞の他にも、1日最大6名限定でシェフのこだわりが光るコース料理を楽しめる〈シェフズ・テーブル by Katsuhito Inoue〉や、専属の庭師から手ほどきを受けながらミニチュアの日本庭園を制作する体験など、アクティビティやサービスも豊富に提供する。
この夏はゲストへのホスピタリティに満ちた〈ザ・リッツ・カールトン京都〉で、アートを巡る滞在を過ごしてみたい。
京都市内を流れる鴨川のほとりに位置し、京都を代表するラグジュアリーホテルとして知られる〈ザ・リッツ・カールトン京都〉。眼前に鴨川、そしてその先に東山三十六峰を眺めるロケーションの良さ、京都の伝統文化への敬意とブランドが持つ上質な世界観を両立した空間などで人気を誇る同ホテルだが、実は館内のいたるところにアートが展示されている、アートホテルでもある。その作品数は客室内も含めなんと約400!スタッフが案内するアートツアーも盛況の、ホテル内のアートを巡ってみよう。
エントランスのアプローチを抜けると、目に飛び込んでくるのが、楽器の琵琶をクリスタルビーズで覆った名和晃平の《PixCell-Biwa(Mica)》。名和を代表する表現方法である「PixCell」を用いたこの作品は、名和の作家性と京都の伝統へのオマージュが融合する。先に広がる1階のロビーは、『源氏物語』に登場する光源氏の理想の住まい〈六条院〉をモチーフとしており、その空間に多数のアート作品が飾られている。
名和の作品のすぐそばには、デビット・スタンリー・ヒューエットの新作《無我》が。2023年の1月に展示に加わった、〈ザ・リッツ・カールトン京都〉のアートコレクションの中で1番新しい作品だ。アメリカ出身で、空手や陶芸を通じた日本文化に影響を受けた作品で知られるヒューエット。《無我》は彼の代表的な作風である、金箔を貼ったキャンバスに筆で黒のペイントを施したアート。1階ロビーの中でも強い存在感を放ち、来訪客を出迎える。
フロント横のソファスペースに飾られるのは、三嶋りつ恵《月の光》。京都の竹林から着想を得たというこの作品は、三嶋が制作の拠点とするヴェネチアのガラスで作られている。光を通して繊細に輝く様はまさに月明かりのようで、静謐な時間を演出する。
地下1階に降りると、見えてくるのは大巻伸嗣の《Echoes – crystallization / moon》。絶滅の危機に瀕している花々を修正液と水晶粉で表現した作品だ。夜になると柔らかな輝きを放ち、時間帯によって異なる魅力を楽しめる。
もう1つ階を降りた地下2階にも、複数の作品が。中でも注目は、プール施設で鑑賞できる長谷川仁《群青の泉》。飾られているのは、なんとプール槽の中。分かりやすい場所だけでなく、まるで宝探しのように至るところにアートが散りばめられており、それを見つけていくのも楽しい。
アートはその他、ダイニングの随所にも。イタリア料理〈ラ・ロカンダ〉や日本料理〈会席 水暉〉などには、セラミック作品やペインティング、ガラス作品など、多岐にわたるアートが飾られ、食事をより華やかなものに。
また共用部だけでなく、客室にもアートが。京都をモチーフにした絵画のほか、内田鋼一などの器作家による作品も置かれ、旅の滞在をより特別なものにしてくれる。
ロビーやレストランに、客室からプールまで。〈ザ・リッツ・カールトン京都〉が無数のアート作品で彩られているのには、滞在するゲストに「わが家で過ごすようなやすらぎと、生涯の思い出に残る滞在を提供したい」という、ホテルの強い思いが込められている。
ホテルはアート鑑賞の他にも、1日最大6名限定でシェフのこだわりが光るコース料理を楽しめる〈シェフズ・テーブル by Katsuhito Inoue〉や、専属の庭師から手ほどきを受けながらミニチュアの日本庭園を制作する体験など、アクティビティやサービスも豊富に提供する。
この夏はゲストへのホスピタリティに満ちた〈ザ・リッツ・カールトン京都〉で、アートを巡る滞在を過ごしてみたい。
〈ザ・リッツ・カールトン京都〉
京都府京都市中京区鉾田町543鴨川二条大橋畔。1室2名166,450 円~(税・サ込)。館内のアートツアーなどの各アクティビティの詳細は、公式サイトを要確認。
📍Google Maps
京都府京都市中京区鉾田町543鴨川二条大橋畔。1室2名166,450 円~(税・サ込)。館内のアートツアーなどの各アクティビティの詳細は、公式サイトを要確認。
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■北山・鷹峯|アマン京都
あるがままの京都の自然を生かした静寂の地で、〈アマン〉ならではの奥深い古都の魅力に触れる体験を
プライベートな邸宅にいるかのようなもてなしと、小規模ながらも非日常的な体験ができるプライベートなリゾート・コレクションとして1988年に創設した〈アマン〉。現在は21ヵ国で34のリゾートを展開中だ。そんな〈アマン〉の、国内で3つ目となるリゾートホテルが〈アマン京都〉である。
敷地面積は約2万4000平方メートルを誇り、自然林を有する約32万平方メートルの広大な敷地にある。大手町の都市型ホテル〈アマン東京〉や伊勢志摩の〈アマネム〉同様、手がけたのはケリー・ヒル アーキテクツだ。建物が自然の庭の繊細な美しさを損なわないよう配慮されたミニマルな建築が特徴となっている。
往時の森や希少な銘石が残る約24,000平米の敷地に点在するのは、日本旅館のような心地よさをもつ宿泊棟やパビリオン。アライバル棟、リビング棟(オール デイダイニング)、レストラン棟(日本料理)、スパ棟、24の客室がある4つの宿泊棟、そして2ベッドルームのヴィラをそれぞれに有する 2つの棟が点在する。森に溶け込んだ2階建ての4つの宿泊棟は、壁一面の窓から林や小川の景観を楽しめ、2棟のヴィラは、楓や杉の樹々を見下ろす 高台に位置する。宿泊客には敷地内の散策でゆっくりと思いを巡らせる静かな時間が過ごせそうだ。
苔庭を眺めるオールデイダイニングや日本料理に加え、天然温泉を備えたスパ、坐禅や茶道体験、敷地内でのヨガや水墨画体験など、アクティビティも好評だ。
text_Tomomi Kato
プライベートな邸宅にいるかのようなもてなしと、小規模ながらも非日常的な体験ができるプライベートなリゾート・コレクションとして1988年に創設した〈アマン〉。現在は21ヵ国で34のリゾートを展開中だ。そんな〈アマン〉の、国内で3つ目となるリゾートホテルが〈アマン京都〉である。
敷地面積は約2万4000平方メートルを誇り、自然林を有する約32万平方メートルの広大な敷地にある。大手町の都市型ホテル〈アマン東京〉や伊勢志摩の〈アマネム〉同様、手がけたのはケリー・ヒル アーキテクツだ。建物が自然の庭の繊細な美しさを損なわないよう配慮されたミニマルな建築が特徴となっている。
往時の森や希少な銘石が残る約24,000平米の敷地に点在するのは、日本旅館のような心地よさをもつ宿泊棟やパビリオン。アライバル棟、リビング棟(オール デイダイニング)、レストラン棟(日本料理)、スパ棟、24の客室がある4つの宿泊棟、そして2ベッドルームのヴィラをそれぞれに有する 2つの棟が点在する。森に溶け込んだ2階建ての4つの宿泊棟は、壁一面の窓から林や小川の景観を楽しめ、2棟のヴィラは、楓や杉の樹々を見下ろす 高台に位置する。宿泊客には敷地内の散策でゆっくりと思いを巡らせる静かな時間が過ごせそうだ。
苔庭を眺めるオールデイダイニングや日本料理に加え、天然温泉を備えたスパ、坐禅や茶道体験、敷地内でのヨガや水墨画体験など、アクティビティも好評だ。
text_Tomomi Kato
■二条城・烏丸御池|ザ・ひらまつ 京都
京町家の意匠を受け継ぎ、進化させたホテル〈ザ・ひらまつ 京都〉。
京都・烏丸御池駅から徒歩3分の好立地にある〈ザ・ひらまつ 京都〉は、江戸時代から残る京町家を中村外二工務店の監修のもと再構築した宿だ。
〈ひらまつ〉が都市型のラグジュアリーホテルをつくるのは初めてのこと。規模は他のエリアより小さいが、そこには「美しい京町家を保存したい」という気持ちがあったのだという。
「京都ははんなりしていなければならない」と言う中村外二工務店代表・中村義明氏。この「はんなり」は「上品な明るさや華やかさ」を指し、京都の建築は小さい玄関から入り、奥へだんだん広がっていくところに特徴があると話す。〈ザ・ひらまつ 京都〉も、玄関はこじんまりとしているが、一歩中に入るとかつて表屋(店舗として使われていた、道路に面した部分)だった空間があり、奥には京町家ならではの「走り庭」が見える。さらに奥に進んでいくと、レストランや蔵を利用したバーなど華やいだ空間が広がっている、という造りだ。
外観は「糸屋格子」など京町家らしい特徴をそのまま残し、華美な装飾や看板はない。一見見つけにくいが、あくまでも京都の中心になじむように配慮された結果だ。そしてゲストルームは、和を強調しすぎない、”現代の心地よさ”を追求。年代を超えてくつろげる空間になっている。
レストランは2つ。京都らしい料理は、京都で研鑽を積んだ料理長が腕をふるう割烹〈いずみ〉で。華やかなイタリア料理は〈ラ・ルーチェ〉で。どちらもレストラン事業を中心に発展してきた〈ひらまつ〉らしく、伝統を受け継いだ、芯のある料理を提供する。
京都の中心ではじまった、新たな挑戦。〈ひらまつ〉らしい京都の解釈に注目が集まっている。
京都・烏丸御池駅から徒歩3分の好立地にある〈ザ・ひらまつ 京都〉は、江戸時代から残る京町家を中村外二工務店の監修のもと再構築した宿だ。
〈ひらまつ〉が都市型のラグジュアリーホテルをつくるのは初めてのこと。規模は他のエリアより小さいが、そこには「美しい京町家を保存したい」という気持ちがあったのだという。
「京都ははんなりしていなければならない」と言う中村外二工務店代表・中村義明氏。この「はんなり」は「上品な明るさや華やかさ」を指し、京都の建築は小さい玄関から入り、奥へだんだん広がっていくところに特徴があると話す。〈ザ・ひらまつ 京都〉も、玄関はこじんまりとしているが、一歩中に入るとかつて表屋(店舗として使われていた、道路に面した部分)だった空間があり、奥には京町家ならではの「走り庭」が見える。さらに奥に進んでいくと、レストランや蔵を利用したバーなど華やいだ空間が広がっている、という造りだ。
外観は「糸屋格子」など京町家らしい特徴をそのまま残し、華美な装飾や看板はない。一見見つけにくいが、あくまでも京都の中心になじむように配慮された結果だ。そしてゲストルームは、和を強調しすぎない、”現代の心地よさ”を追求。年代を超えてくつろげる空間になっている。
レストランは2つ。京都らしい料理は、京都で研鑽を積んだ料理長が腕をふるう割烹〈いずみ〉で。華やかなイタリア料理は〈ラ・ルーチェ〉で。どちらもレストラン事業を中心に発展してきた〈ひらまつ〉らしく、伝統を受け継いだ、芯のある料理を提供する。
京都の中心ではじまった、新たな挑戦。〈ひらまつ〉らしい京都の解釈に注目が集まっている。
〈ザ・ひらまつ 京都〉
京都市中京区室町通三条上ル役行者町361 TEL 075 211 1751。全29室。スーペリア一泊朝食付き1名30,500円(2名利用時)〜。公式サイト
📍Google Maps
京都市中京区室町通三条上ル役行者町361 TEL 075 211 1751。全29室。スーペリア一泊朝食付き1名30,500円(2名利用時)〜。公式サイト
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■二条城・烏丸御池|HOTEL THE MITSUI KYOTO
三井財閥の歴史と粋を堪能する宿、京都〈HOTEL THE MITSUI KYOTO〉。
●三井財閥の歴史と粋を受け継ぐホテル。
京都が誇る世界遺産〈元離宮二条城〉の至近に、三井財閥総領家である北家の邸宅「油小路邸」が250年にわたり存在した。歴史の移り変わりとともに土地には様々な建築が生まれたが、2020年11月、この地に油小路邸の記憶を継ぐホテルが誕生した。
京都に息づく文化と美意識、三井の伝統。〈HOTEL THE MITSUI KYOTO〉はそのすべてを受け継ぎながら、最先端のデザインも兼ね備えたホテルだ。マスターディレクターは建築家・栗生明。そしてインテリアデザイナーに香港のアンドレ・フーと赤尾洋平を、ランドスケープデザインには宮城俊作を迎えた。スペシャリストたち各々が「京都」「三井」の歴史と粋を考慮し構築したデザインは、ホテル内のどこに目をやってもその考え抜かれた美に驚くほどだ。
●二十四節気を表現する大庭園。
このホテルにおいてもっとも特徴的なのが、ロビーに入ると眼前に広がる、奥行約50m、幅約30mの大庭園だ。北家は池を中心に周囲に建物を配した「池泉回遊式庭園」という建築様式であったが、ランドスケープデザインを担った宮城は南に邸宅に相当する「四季の間」を、北に庭を配置し、京都に古くから伝わる「南庭北園」の考えに準ずるものに仕上げた。手水鉢や沓脱石、灯篭など庭を構成する大切な要素は、北家から継承したものを用いたという。四季を映し、いつ訪れても違った風景を見せる大庭園はこのホテルを選ぶ大きな理由の一つだろう。
●歴史と伝統を体現する場所。
マスターディレクターの栗生がもっとも大切にしたのは、「歴史の積層感」。歴史と伝統に敬意を払い、この地に存在した景石や灯篭などを随所に配したが、一番大きなものは建造から300年を経た「梶井宮門」だろう。柱間4.5m、高さ7.4mを誇るこの遺構は、現代の宮大工の技術をもって修復された。当時のものをなるべく残し使用した瓦、魔除けとして飾られた桃の意匠。奥に覗くモダンなデザインのホテル外観と並び建つ姿はまさにホテルが掲げる「歴史性」と「先進性」の調和を体現している。
また、油小路邸の中心にあった庭園の四季の移ろいを感じられる奥書院・通称「四季之間」は、その姿を継承し、総檜造りの新たな姿で蘇った。奥には現代日本画家・朝倉隆文が描く〈HOTEL THE MITSUI KYOTO〉の四季をモチーフにした襖絵が飾られている。
●二条城を望む圧倒的眺望のゲストルーム。
部屋のタイプは11種類。注目は大きな窓から二条城を眼前に望む「ニジョウスイート」と「ニジョウルーム」。京都の歴史を語る上で欠かせない二条城をこのダイナミックさで堪能できる宿は、他にはない。〈HOTEL THE MITSUI KYOTO〉の唯一無二のロケーションを存分に感じることができる。
●敷地内で湧いた「京都二条温泉」に浸かる。
水甕状の地形的特徴から、豊かな名水をたたえる京都の地。ここでは敷地内の地下約1,000mから湧いた「京都二条温泉」を、「サーマルスプリング」、スイートルーム「Onsenスイート」、プライベート温泉などに利用している。
地下の「サーマルスプリング」は、赤尾洋平がインテリアデザインを手がけた。広々とした空間の中心に据えられたのは、香川県高松市で採掘された巨大な庵治石。中心からカットされたその断面の美しさが仄かな光に照らされ、滴る水音も響くような静寂の空間を引き立てている。
●五感を満たす2つのレストラン。
〈HOTEL THE MITSUI KYOTO〉はガストロノミー鉄板料理の〈都季-TOKI-〉、イタリア料理〈FORNI(フォルニ)〉という2つのレストランを備えている。〈都季-TOKI-〉は〈リッツ パリ〉や〈ホテルオークラアムステルダム〉など名だたるホテルで経験を積んだ浅野哲也をメインシェフに迎え、浅野が得意とするフランス料理と日本料理を生かしたまったく新しい鉄板料理を提供。国産の黒毛和牛や京野菜などをふんだんに使用し、ホテルのテーマである「庭屋一如」を料理で表現する。
また、オールデイダイニングでもあるイタリア料理〈FORNI〉では、中心に据えられた薪窯で焼き上げるピッツァやグリル料理を楽しめる。
どちらのレストランも庭園を眺めながら食事ができるように設計されているが、とくに〈都季-TOKI-〉のカウンターは特等席。目の前で鮮やかに食材に手を入れていくシェフの手さばきを見ながら、背景では灯篭のあかりで浮かび上がる庭園を堪能できるのだ。
ただ「京都らしい」を表現したものではない、長い歴史から受け継がれてきた圧倒的な”本物の美”。京都の最高のラグジュアリーは、きっとこの宿の中にある。
●三井財閥の歴史と粋を受け継ぐホテル。
京都が誇る世界遺産〈元離宮二条城〉の至近に、三井財閥総領家である北家の邸宅「油小路邸」が250年にわたり存在した。歴史の移り変わりとともに土地には様々な建築が生まれたが、2020年11月、この地に油小路邸の記憶を継ぐホテルが誕生した。
京都に息づく文化と美意識、三井の伝統。〈HOTEL THE MITSUI KYOTO〉はそのすべてを受け継ぎながら、最先端のデザインも兼ね備えたホテルだ。マスターディレクターは建築家・栗生明。そしてインテリアデザイナーに香港のアンドレ・フーと赤尾洋平を、ランドスケープデザインには宮城俊作を迎えた。スペシャリストたち各々が「京都」「三井」の歴史と粋を考慮し構築したデザインは、ホテル内のどこに目をやってもその考え抜かれた美に驚くほどだ。
●二十四節気を表現する大庭園。
このホテルにおいてもっとも特徴的なのが、ロビーに入ると眼前に広がる、奥行約50m、幅約30mの大庭園だ。北家は池を中心に周囲に建物を配した「池泉回遊式庭園」という建築様式であったが、ランドスケープデザインを担った宮城は南に邸宅に相当する「四季の間」を、北に庭を配置し、京都に古くから伝わる「南庭北園」の考えに準ずるものに仕上げた。手水鉢や沓脱石、灯篭など庭を構成する大切な要素は、北家から継承したものを用いたという。四季を映し、いつ訪れても違った風景を見せる大庭園はこのホテルを選ぶ大きな理由の一つだろう。
●歴史と伝統を体現する場所。
マスターディレクターの栗生がもっとも大切にしたのは、「歴史の積層感」。歴史と伝統に敬意を払い、この地に存在した景石や灯篭などを随所に配したが、一番大きなものは建造から300年を経た「梶井宮門」だろう。柱間4.5m、高さ7.4mを誇るこの遺構は、現代の宮大工の技術をもって修復された。当時のものをなるべく残し使用した瓦、魔除けとして飾られた桃の意匠。奥に覗くモダンなデザインのホテル外観と並び建つ姿はまさにホテルが掲げる「歴史性」と「先進性」の調和を体現している。
また、油小路邸の中心にあった庭園の四季の移ろいを感じられる奥書院・通称「四季之間」は、その姿を継承し、総檜造りの新たな姿で蘇った。奥には現代日本画家・朝倉隆文が描く〈HOTEL THE MITSUI KYOTO〉の四季をモチーフにした襖絵が飾られている。
●二条城を望む圧倒的眺望のゲストルーム。
部屋のタイプは11種類。注目は大きな窓から二条城を眼前に望む「ニジョウスイート」と「ニジョウルーム」。京都の歴史を語る上で欠かせない二条城をこのダイナミックさで堪能できる宿は、他にはない。〈HOTEL THE MITSUI KYOTO〉の唯一無二のロケーションを存分に感じることができる。
●敷地内で湧いた「京都二条温泉」に浸かる。
水甕状の地形的特徴から、豊かな名水をたたえる京都の地。ここでは敷地内の地下約1,000mから湧いた「京都二条温泉」を、「サーマルスプリング」、スイートルーム「Onsenスイート」、プライベート温泉などに利用している。
地下の「サーマルスプリング」は、赤尾洋平がインテリアデザインを手がけた。広々とした空間の中心に据えられたのは、香川県高松市で採掘された巨大な庵治石。中心からカットされたその断面の美しさが仄かな光に照らされ、滴る水音も響くような静寂の空間を引き立てている。
●五感を満たす2つのレストラン。
〈HOTEL THE MITSUI KYOTO〉はガストロノミー鉄板料理の〈都季-TOKI-〉、イタリア料理〈FORNI(フォルニ)〉という2つのレストランを備えている。〈都季-TOKI-〉は〈リッツ パリ〉や〈ホテルオークラアムステルダム〉など名だたるホテルで経験を積んだ浅野哲也をメインシェフに迎え、浅野が得意とするフランス料理と日本料理を生かしたまったく新しい鉄板料理を提供。国産の黒毛和牛や京野菜などをふんだんに使用し、ホテルのテーマである「庭屋一如」を料理で表現する。
また、オールデイダイニングでもあるイタリア料理〈FORNI〉では、中心に据えられた薪窯で焼き上げるピッツァやグリル料理を楽しめる。
どちらのレストランも庭園を眺めながら食事ができるように設計されているが、とくに〈都季-TOKI-〉のカウンターは特等席。目の前で鮮やかに食材に手を入れていくシェフの手さばきを見ながら、背景では灯篭のあかりで浮かび上がる庭園を堪能できるのだ。
ただ「京都らしい」を表現したものではない、長い歴史から受け継がれてきた圧倒的な”本物の美”。京都の最高のラグジュアリーは、きっとこの宿の中にある。
〈HOTEL THE MITSUI KYOTO〉
京都府京都市中京区油小路通二条下る二条油小路町284 TEL 075 468 3100。全161室。1泊1室82,000円(サ込)〜。公式サイト
📍Google Maps
京都府京都市中京区油小路通二条下る二条油小路町284 TEL 075 468 3100。全161室。1泊1室82,000円(サ込)〜。公式サイト
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■ 祇園・東山・八坂|SOWAKA
“泊まれる数寄屋建築”が、京都・祇園に誕生。
本格的な数寄屋建築に泊まるー そんな特別な体験ができるホテル〈SOWAKA〉が京都・祇園に誕生した。大正後期から昭和初期にかけて建てられた数寄屋造の料亭を改修した本館11室と、今年1月に竣工した新館12室からなる全23室のラグジュアリーホテルだ。
2019年3月のグランドオープンに先駆け、本館が昨秋開業した。設計は、町家再生に実績のある魚谷繁礼建築研究所。施工は伝統工法を継承する工務店、亀匠。数寄屋の意匠を残しながら、現代のホテルに必要な機能を慎重に設えている。さらに野田版画工房(襖絵)、東端製作所(漆)、信州立岩和紙の里(和紙)といった作家や職人の手が加わり、新たな魅力を放つ数寄屋建築へと生まれ変わっている。
その迷路のような館内をめぐり、客室をのぞくと、空間ごとに現れる間取りや意匠のバリエーションに驚かされる。
例えば、かつて「ほら貝の間」と呼ばれたスイートルームでは、一枚板の床板、幾何学的なデザインの欄間、ほら貝形の引き手といった趣向を凝らした数寄屋造の意匠を味わうことができる。「ひょうたんの間」と呼ばれたメゾネットのデラックスルームでは、1階に本格的な三畳台目茶室が、階段をあがると檜風呂が待ち受ける。またプライベートガーデン付きで他の客室と隔絶された客室などもあり、元料亭らしい“お忍び”感を楽しめるのも魅力だ。
text_Katsura Hiratsuka editor_Ai Sakamoto
本格的な数寄屋建築に泊まるー そんな特別な体験ができるホテル〈SOWAKA〉が京都・祇園に誕生した。大正後期から昭和初期にかけて建てられた数寄屋造の料亭を改修した本館11室と、今年1月に竣工した新館12室からなる全23室のラグジュアリーホテルだ。
2019年3月のグランドオープンに先駆け、本館が昨秋開業した。設計は、町家再生に実績のある魚谷繁礼建築研究所。施工は伝統工法を継承する工務店、亀匠。数寄屋の意匠を残しながら、現代のホテルに必要な機能を慎重に設えている。さらに野田版画工房(襖絵)、東端製作所(漆)、信州立岩和紙の里(和紙)といった作家や職人の手が加わり、新たな魅力を放つ数寄屋建築へと生まれ変わっている。
その迷路のような館内をめぐり、客室をのぞくと、空間ごとに現れる間取りや意匠のバリエーションに驚かされる。
例えば、かつて「ほら貝の間」と呼ばれたスイートルームでは、一枚板の床板、幾何学的なデザインの欄間、ほら貝形の引き手といった趣向を凝らした数寄屋造の意匠を味わうことができる。「ひょうたんの間」と呼ばれたメゾネットのデラックスルームでは、1階に本格的な三畳台目茶室が、階段をあがると檜風呂が待ち受ける。またプライベートガーデン付きで他の客室と隔絶された客室などもあり、元料亭らしい“お忍び”感を楽しめるのも魅力だ。
text_Katsura Hiratsuka editor_Ai Sakamoto
■二条城・烏丸御池|MOGANA
京都に誕生した、新たなライフスタイルホテル〈MOGANA〉。
室町時代、間口の大きさで税金が決まっていたことから、京都では「鰻の寝床」と呼ばれる細長い敷地に、多くの町家が建てられた。中京区の二条城に誕生した〈MOGANA〉は、そんな伝統ある京町家建築を再解釈したコンパクトホテルだ。
特徴的なのは、京町家でしばしば設けられた坪庭、中庭、通り庭といった庭を適所に配することで、全23室の客室から、緑を眺めることができる点。坪庭は垂直の壁に植栽を施しており、6~8階の高層階に位置する「MOGANAルーム」の窓からも、緑を間近に感じられる。部屋一面が黒いインテリアの「MOGANA BLACK」、反して白いインテリアの「MOGANA WHITE」といったモダンな内装の部屋からは、この緑がはっとするほど映えて見えるはずだ。
また、部屋着やアメニティ、食材なども、このホテルでしか味わえないものを厳選。朝食「Fukiyose」は、淡路島の食材を使用した、美と健康を意識したオリジナルメニュー。食器は、淡路島在住の作家による陶器ブランド〈Awabiware〉によるものだ。シャンプーなどのアメニティはホテルでは初めて〈SHIGETA〉とのコラボレーション品を提供。ファッションブランド〈matohu〉デザインの部屋履き、クッション、歯ブラシは、部屋ごとにバリエーション豊かに展開する。
客が京都の食文化を楽しめるよう、あえて夜の食事は提供しないというコンセプトも斬新。とはいえ、「外で食べたけど、少しお腹が減った」「ちょっと飲み足りない」という人に向けた、国際薬膳学院とコラボレーションした夜食メニュー、部屋呑みセットも用意。宿泊者の滞在を豊かにする工夫に満ちたホテルだ。
室町時代、間口の大きさで税金が決まっていたことから、京都では「鰻の寝床」と呼ばれる細長い敷地に、多くの町家が建てられた。中京区の二条城に誕生した〈MOGANA〉は、そんな伝統ある京町家建築を再解釈したコンパクトホテルだ。
特徴的なのは、京町家でしばしば設けられた坪庭、中庭、通り庭といった庭を適所に配することで、全23室の客室から、緑を眺めることができる点。坪庭は垂直の壁に植栽を施しており、6~8階の高層階に位置する「MOGANAルーム」の窓からも、緑を間近に感じられる。部屋一面が黒いインテリアの「MOGANA BLACK」、反して白いインテリアの「MOGANA WHITE」といったモダンな内装の部屋からは、この緑がはっとするほど映えて見えるはずだ。
また、部屋着やアメニティ、食材なども、このホテルでしか味わえないものを厳選。朝食「Fukiyose」は、淡路島の食材を使用した、美と健康を意識したオリジナルメニュー。食器は、淡路島在住の作家による陶器ブランド〈Awabiware〉によるものだ。シャンプーなどのアメニティはホテルでは初めて〈SHIGETA〉とのコラボレーション品を提供。ファッションブランド〈matohu〉デザインの部屋履き、クッション、歯ブラシは、部屋ごとにバリエーション豊かに展開する。
客が京都の食文化を楽しめるよう、あえて夜の食事は提供しないというコンセプトも斬新。とはいえ、「外で食べたけど、少しお腹が減った」「ちょっと飲み足りない」という人に向けた、国際薬膳学院とコラボレーションした夜食メニュー、部屋呑みセットも用意。宿泊者の滞在を豊かにする工夫に満ちたホテルだ。
■四条河原町・祇園四条・先斗町・木屋町|ザ・ゲートホテル高瀬川 by HULIC
京都・元小学校の100年の歴史を受け継ぐ〈ザ・ゲートホテル高瀬川 by HULIC〉。
ホテルのオープンラッシュが続く京都。次々に新しいホテルが誕生しており、ロケーションや設備、サービス面に加え、ゲストは滞在スタイルによってホテルを自由に選ぶということが当たり前になりつつある。京都の風情を感じながら、ゆったりとくつろげるホテルのなかでも、2020年7月21日にオープンした〈ザ・ゲートホテル京都高瀬川 by HULIC〉は、築93年の小学校をリノベーションしたことでも話題に。多様化するゲストの宿泊スタイルに着目した個性豊かな客室が注目を集めている。
図書館や商業施設などが入る、京都の最新スポット〈立誠ガーデン ヒューリック京都〉のエントランスを抜け、エレベーターで8階へ。ホテルのレセプションの大窓からは東山の街並みをのぞみ、京都らしい風景に心がふっと和らぐ。
“外気を感じるホテル”をテーマに設計された同フロア内には、レストラン〈Anchor Kyoto〉を併設。ディナーはフレンチやイタリアンを融合させたコースを、朝食は京都の食材などを使った限定30食の和食膳かシグネチャーメニューのエッグベネディクト、パンケーキを楽しむことができる。
また、3階には宿泊ゲスト専用のラウンジ&パティオを備えており、ワインやソフトドリンクのフリーフローも(一部除く)。ラウンジにはブックディレクター幅允孝が監修するライブラリーコーナーを設け、旅の醍醐味、心地良い1日などをテーマに、氏がセレクトした本が並び、ソファでリラックスしながら自由に閲覧することができる。
建物のひとつの軸となるのは1869年に設立された全国初の学区制の立誠小学校。廃校となってからも日本ではじめて映画の試写会が行われるなど、地元の人々の文化交流の場として大切にされてきた空間を保存・再生したこのホテルは「School House 棟」と新築の「Main棟」に分かれており全184室、12タイプの客室を擁する。パノラミックな眺望に開放的な気分が高まる「Main棟」のスイートルーム「THE GATE」をはじめ、モダンな設えの「Classy」など、ゲストのニーズを汲んだ空間づくりが特徴的。
なかでもユニークなのは、〈ヴィトラ〉の上下昇降デスクを備えたビジネスユースの客室「Modest」や〈バング&オルフセン〉のスピーカーを備えた「Cinema」。ただ宿泊するためのホテルではなく、ゲストひとりひとりのパーソナリティに合わせた部屋はくつろぎ以上の充足感をもたらしてくれる。
また、かつての校舎をリノベーションした「Schoolhouse棟」は往時の面影を残す高い天井や大窓がどこかノスタルジックな雰囲気を醸し出す。京都の彫刻家、樂雅臣やリサイクル(=循環)×プランツ(=植物)をコンセプトに活動する村瀬貴昭のアート作品に彩られた客室「Lab」は、現代アートを間近に感じながらリラックスできる贅沢な空間だ。
さらに、温故知新の日本の心を色濃く表すのが立誠小学校時代に道徳や礼儀作法を教育する場であった自彊室(じきょうしつ)を保存・再生したリトリートルーム。畳60畳が敷き詰められた大広間は、背筋がすっと伸びるような静寂感に包まれ、長廊下や踊り場を歩くと、つかのまのタイムスリップ気分を味わうことができる。今後はリトリートルームで体験参加型のイベントや地域交流の場として活用される予定でかつての“京都に伝わる学びの場”が新たな形で再生することへの期待が高まる。
伝統とモダン、新しさと懐かしさがゆるやかに交差し、知力が研ぎ澄まされるホテルステイ。京都の旅を楽しむ拠点として、さらなる注目を集めるだろう。
text_Keiko Kodera
ホテルのオープンラッシュが続く京都。次々に新しいホテルが誕生しており、ロケーションや設備、サービス面に加え、ゲストは滞在スタイルによってホテルを自由に選ぶということが当たり前になりつつある。京都の風情を感じながら、ゆったりとくつろげるホテルのなかでも、2020年7月21日にオープンした〈ザ・ゲートホテル京都高瀬川 by HULIC〉は、築93年の小学校をリノベーションしたことでも話題に。多様化するゲストの宿泊スタイルに着目した個性豊かな客室が注目を集めている。
図書館や商業施設などが入る、京都の最新スポット〈立誠ガーデン ヒューリック京都〉のエントランスを抜け、エレベーターで8階へ。ホテルのレセプションの大窓からは東山の街並みをのぞみ、京都らしい風景に心がふっと和らぐ。
“外気を感じるホテル”をテーマに設計された同フロア内には、レストラン〈Anchor Kyoto〉を併設。ディナーはフレンチやイタリアンを融合させたコースを、朝食は京都の食材などを使った限定30食の和食膳かシグネチャーメニューのエッグベネディクト、パンケーキを楽しむことができる。
また、3階には宿泊ゲスト専用のラウンジ&パティオを備えており、ワインやソフトドリンクのフリーフローも(一部除く)。ラウンジにはブックディレクター幅允孝が監修するライブラリーコーナーを設け、旅の醍醐味、心地良い1日などをテーマに、氏がセレクトした本が並び、ソファでリラックスしながら自由に閲覧することができる。
建物のひとつの軸となるのは1869年に設立された全国初の学区制の立誠小学校。廃校となってからも日本ではじめて映画の試写会が行われるなど、地元の人々の文化交流の場として大切にされてきた空間を保存・再生したこのホテルは「School House 棟」と新築の「Main棟」に分かれており全184室、12タイプの客室を擁する。パノラミックな眺望に開放的な気分が高まる「Main棟」のスイートルーム「THE GATE」をはじめ、モダンな設えの「Classy」など、ゲストのニーズを汲んだ空間づくりが特徴的。
なかでもユニークなのは、〈ヴィトラ〉の上下昇降デスクを備えたビジネスユースの客室「Modest」や〈バング&オルフセン〉のスピーカーを備えた「Cinema」。ただ宿泊するためのホテルではなく、ゲストひとりひとりのパーソナリティに合わせた部屋はくつろぎ以上の充足感をもたらしてくれる。
また、かつての校舎をリノベーションした「Schoolhouse棟」は往時の面影を残す高い天井や大窓がどこかノスタルジックな雰囲気を醸し出す。京都の彫刻家、樂雅臣やリサイクル(=循環)×プランツ(=植物)をコンセプトに活動する村瀬貴昭のアート作品に彩られた客室「Lab」は、現代アートを間近に感じながらリラックスできる贅沢な空間だ。
さらに、温故知新の日本の心を色濃く表すのが立誠小学校時代に道徳や礼儀作法を教育する場であった自彊室(じきょうしつ)を保存・再生したリトリートルーム。畳60畳が敷き詰められた大広間は、背筋がすっと伸びるような静寂感に包まれ、長廊下や踊り場を歩くと、つかのまのタイムスリップ気分を味わうことができる。今後はリトリートルームで体験参加型のイベントや地域交流の場として活用される予定でかつての“京都に伝わる学びの場”が新たな形で再生することへの期待が高まる。
伝統とモダン、新しさと懐かしさがゆるやかに交差し、知力が研ぎ澄まされるホテルステイ。京都の旅を楽しむ拠点として、さらなる注目を集めるだろう。
text_Keiko Kodera
〈ザ・ゲートホテル京都高瀬川 by HULIC〉
京都府京都市中京区蛸薬師通河原町東入備前島町310-2 TEL 075 256 8955。全184室。2名1室利用1室あたり46,000円〜。公式サイト
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京都府京都市中京区蛸薬師通河原町東入備前島町310-2 TEL 075 256 8955。全184室。2名1室利用1室あたり46,000円〜。公式サイト
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■京都駅・七条|hotel tou nishinotoin kyoto by withceed ホテル トウ 西洞院 京都
京都の“奥”をデザイン。谷尻誠・吉田愛〈サポーズデザインオフィス〉らクリエイターが手掛けたホテルの中身とは?
昔ながらの京町家が残る西洞院通。〈hotel tou nishinotoin kyoto〉はファサードに黒を効果的に取り入れることで、趣深く調和する周囲の景色を一切乱すことなく、モダンな佇まいを保っている。エントランスを開くと、コッパーで囲まれた通路が現れ、その雰囲気は一変する。ホテルにおける体験の始まりとなる“奥”へと誘うこの通路は、西洞院通随一のフォトジェニックな空間だ。
黒を基調としたやや暗めのロビーには、心斎橋の会員制餃子〈冫(にすい)〉などの内装も手がける京都の和紙職人ハタノワタルによる円盤の黒いテーブルが鎮座する。幾層にも重ねられた和紙の表面を削り仕上げられた独特な風合いだ。また、小さなライブラリーも併設しており、選書は幅允孝が主宰する〈バッハ〉によるもの。「京都の奥を知る」など5つのテーマごとに、気軽に読めるガイド本をはじめ、重厚な美術書や写真集まで、ホテルで過ごす時間を充実させる本と出合えるかもしれない。
部屋数は全部で121部屋。宿泊料金を1万円〜と設定しているだけあって、気軽に宿泊できる17㎡のモデレートツインから、宿泊人数や部屋の広さによって全10種類の部屋タイプが用意されている。最もグレードが高い31㎡の「touプレミアムキング」は、京都の街を一望できるテラス付き。どの部屋もミニバーやタオル、ルームウェア、ヘアドライヤーなどは、全て戸棚に収納されたミニマルな空間。しかし、障子やベッドカバーの生地、部屋によっては設けられた畳のスペースには和の要素がさりげなく散りばめられ、京都の奥ゆかしさをも演出している。
部屋にはもちろん浴室が設けられているが、地下1階の日本庭園を備えた大浴場にも足を運びたい。作庭家、橋本善次郎が率いる〈ランドスケープ ニワタン デザイン+アルチザン オフィス〉が手がけた庭園のテーマは、「洞穴を抜けた先にある空間」。ここもロビー同様に黒を基調とした内装がまさに洞窟のようで、奥には大きな岩がシンボリックに置かれ禅を感じさせる。
朝食はカフェバーとしても利用できる、1階の〈cafe&bar oku〉でいただく。「京都の食の深みは素材の旨味の奥深さや質素な贅沢を生み出す事にある」と解釈するのは、数々のブランドカフェを手掛けてきた〈ユニテ〉だ。看板メニューは和朝食で、京の米老舗〈八代目儀兵衛〉の米を使った「おかいさん」が主役。もっちりと炊かれたお粥は米の甘みと深みを楽しめる仕上がりで、地元でも行列が絶えないという米老舗の本物の味を堪能できる。ちなみに、洋朝食は京都初上陸となる〈オールプレス・エスプレッソ〉のスペシャリティコーヒーが付き、地元の人にも重宝されそうだ。またカフェバーの時間帯には、一保堂茶舗の「京銘茶」を使ったほうじ茶や抹茶ラテ、京都醸造のクラフトビールなど、京都の定番をそろえているのも嬉しい。
建築デザインや庭、書籍、フード……様々な角度から“奥”を解釈した〈hotel tou nishinotoin kyoto〉では、出張でも、観光でも、その人に沿った京都らしさがさりげなく寄り添ってくれる。「もう一泊していこうかな」、そう言いたくなる居心地のよさと名残惜しさを感じるはずだ。
text_Mio Koumura
昔ながらの京町家が残る西洞院通。〈hotel tou nishinotoin kyoto〉はファサードに黒を効果的に取り入れることで、趣深く調和する周囲の景色を一切乱すことなく、モダンな佇まいを保っている。エントランスを開くと、コッパーで囲まれた通路が現れ、その雰囲気は一変する。ホテルにおける体験の始まりとなる“奥”へと誘うこの通路は、西洞院通随一のフォトジェニックな空間だ。
黒を基調としたやや暗めのロビーには、心斎橋の会員制餃子〈冫(にすい)〉などの内装も手がける京都の和紙職人ハタノワタルによる円盤の黒いテーブルが鎮座する。幾層にも重ねられた和紙の表面を削り仕上げられた独特な風合いだ。また、小さなライブラリーも併設しており、選書は幅允孝が主宰する〈バッハ〉によるもの。「京都の奥を知る」など5つのテーマごとに、気軽に読めるガイド本をはじめ、重厚な美術書や写真集まで、ホテルで過ごす時間を充実させる本と出合えるかもしれない。
部屋数は全部で121部屋。宿泊料金を1万円〜と設定しているだけあって、気軽に宿泊できる17㎡のモデレートツインから、宿泊人数や部屋の広さによって全10種類の部屋タイプが用意されている。最もグレードが高い31㎡の「touプレミアムキング」は、京都の街を一望できるテラス付き。どの部屋もミニバーやタオル、ルームウェア、ヘアドライヤーなどは、全て戸棚に収納されたミニマルな空間。しかし、障子やベッドカバーの生地、部屋によっては設けられた畳のスペースには和の要素がさりげなく散りばめられ、京都の奥ゆかしさをも演出している。
部屋にはもちろん浴室が設けられているが、地下1階の日本庭園を備えた大浴場にも足を運びたい。作庭家、橋本善次郎が率いる〈ランドスケープ ニワタン デザイン+アルチザン オフィス〉が手がけた庭園のテーマは、「洞穴を抜けた先にある空間」。ここもロビー同様に黒を基調とした内装がまさに洞窟のようで、奥には大きな岩がシンボリックに置かれ禅を感じさせる。
朝食はカフェバーとしても利用できる、1階の〈cafe&bar oku〉でいただく。「京都の食の深みは素材の旨味の奥深さや質素な贅沢を生み出す事にある」と解釈するのは、数々のブランドカフェを手掛けてきた〈ユニテ〉だ。看板メニューは和朝食で、京の米老舗〈八代目儀兵衛〉の米を使った「おかいさん」が主役。もっちりと炊かれたお粥は米の甘みと深みを楽しめる仕上がりで、地元でも行列が絶えないという米老舗の本物の味を堪能できる。ちなみに、洋朝食は京都初上陸となる〈オールプレス・エスプレッソ〉のスペシャリティコーヒーが付き、地元の人にも重宝されそうだ。またカフェバーの時間帯には、一保堂茶舗の「京銘茶」を使ったほうじ茶や抹茶ラテ、京都醸造のクラフトビールなど、京都の定番をそろえているのも嬉しい。
建築デザインや庭、書籍、フード……様々な角度から“奥”を解釈した〈hotel tou nishinotoin kyoto〉では、出張でも、観光でも、その人に沿った京都らしさがさりげなく寄り添ってくれる。「もう一泊していこうかな」、そう言いたくなる居心地のよさと名残惜しさを感じるはずだ。
text_Mio Koumura
〈hotel tou nishinotoin kyoto by withceed〉
京都府京都市下京区西洞院通花屋町下る西洞院町455 TEL 075 744 0144。全121室。1室10,000円〜。公式サイト
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京都府京都市下京区西洞院通花屋町下る西洞院町455 TEL 075 744 0144。全121室。1室10,000円〜。公式サイト
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