FOOD
新連載:寺尾妙子のNEWSなレストラン|今行きたい最新ベーカリー
| Food | casabrutus.com | photo_Kayoko Aoki text_Taeko Terao editor_Rie Nishikawa
この秋にオープンしたばかりの3軒を、いち早くご紹介! おいしいだけのパンじゃない。コーヒーと、料理と。狙いを定めた相性のよさで攻めるパンを揃えるベーカリーが次々オープンしている。キーワードは「ペアリング」だ。
〈COURTESY(コーテシー)〉
いろんな要素を盛り込んだ欲張りな店である。建築から室内に置くアートまで手がけるクリエイティブディレクターは、レディ・ガガの靴をデザインしたことでも知られるアーティスト、舘鼻則孝。夜はフレンチレストランだが、朝から夕方にかけてはセルフサービスのベーカリーカフェとして営業している。
私は今、このベーカリーでの全品制覇を目論んでいる。きっかけはオープン直後に食べた2つのパンだ。
ひとつはチーフベーカー、青柳吉紀のスペシャリテ《セルワッサン》。塩(セル)の旨みを際立たせるために、あえて生地に塩を混ぜ込まず、カルピスとタカナシの特選という2種使いのバターにゲランドの粗塩を散らしたクロワッサンである。バリバリとハードな生地の内側には、これぞクロワッサンのお手本ともいうべき、蜂の巣状の網目がある。この網目がきれいにできているからこそ、そこに粉の香り、パン生地の熟成香、フレッシュなバターの香りが閉じ込められ、噛んだときに密度の濃い芳香が鼻に抜けていく。
私は今、このベーカリーでの全品制覇を目論んでいる。きっかけはオープン直後に食べた2つのパンだ。
ひとつはチーフベーカー、青柳吉紀のスペシャリテ《セルワッサン》。塩(セル)の旨みを際立たせるために、あえて生地に塩を混ぜ込まず、カルピスとタカナシの特選という2種使いのバターにゲランドの粗塩を散らしたクロワッサンである。バリバリとハードな生地の内側には、これぞクロワッサンのお手本ともいうべき、蜂の巣状の網目がある。この網目がきれいにできているからこそ、そこに粉の香り、パン生地の熟成香、フレッシュなバターの香りが閉じ込められ、噛んだときに密度の濃い芳香が鼻に抜けていく。
もうひとつは《ジャスミンブリュレ》と名付けられた、ジャスミンクリーム入りのおしゃれクリームパン。この牛乳入りの菓子パン生地にやられた。「ミルク感をストレートに出すために、あえてあまり発酵させない」という生地がうっとりするほどモチモチなうえに、表面を砂糖でキャラメリゼしているから、そのバリッとした飴がけとの対比でさらにモチモチ感が強く感じられる。
いったいほかのパンはどうなんだろう? 好奇心が抑えられず、すぐに食べてみたのが《尾崎牛のモツカレーパン》。カレーパンは油がギューッと染み出ることが多くて実は苦手なのだが、あえて挑戦してみたところ、全然油っこくない! 食べ終わるまでずっと香ばしさが続く。ここにももちろん、工夫がある。
いったいほかのパンはどうなんだろう? 好奇心が抑えられず、すぐに食べてみたのが《尾崎牛のモツカレーパン》。カレーパンは油がギューッと染み出ることが多くて実は苦手なのだが、あえて挑戦してみたところ、全然油っこくない! 食べ終わるまでずっと香ばしさが続く。ここにももちろん、工夫がある。
菓子パンに惣菜パン。いろいろ食べてみたが、どのパンもバリスタ、田島佳幸が手がけるコーヒーやエスプレッソとの相性がいい。「コーヒーに甘いパンや食事パンを合わせて、忙しいなかにも幸せを感じてほしい」という青柳の思いは、しっかり実現されている。

〈COURTESY(コーテシー)〉
2017年9月29日オープン。
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寺尾妙子
てらお たえこ 食ライターとして雑誌やWEBで執筆。好きな食材はごはん、じゃがいも、トリュフ。現在、趣味の茶の湯に邁進中。
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