FOOD
ミシュラン2ツ星の割烹〈おかもと〉がリニューアル。
September 26, 2017 | Food | casabrutus.com | photo_Kayoko Aoki text_Taeko Terao editor_Rie Nishikawa
ミシュラン2ツ星〈銀座おかもと〉が神谷町に引っ越し。名前も新たに〈おかもと〉として新生オープン。
東京にいながらにして、京都の味と雰囲気が楽しめる割烹〈銀座おかもと〉が2017年1月に移転し、地下鉄日比谷線、神谷町駅からすぐの場所に暖簾を掲げた。店名は〈おかもと〉に。
ひと口に日本料理といっても、ゲストからは見えない厨房で料理をつくって運ぶ料亭と客の目前でその工程を見せるカウンター割烹があり、さらに関東風、関西風、それぞれの修業先で影響を受けた要素に各料理人の個性が加わって、店独自の料理スタイルができあがる。〈おかもと〉は関西風のカウンター割烹だ。
「自分がやってきたことしかできないので」。
職人気質の岡本の言葉通り、献立からは自身の歩んできた道のりが垣間見れる。
「自分がやってきたことしかできないので」。
職人気質の岡本の言葉通り、献立からは自身の歩んできた道のりが垣間見れる。
岡本が5年間研鑽を積んだ、京都〈和久傳(わくでん)〉のスペシャリテのひとつに炭火焼がある。よって、その流れを汲む店では炭火焼を得意とするところが多い。修業時に身につけた炭火焼の技法を用いた焼物でコースに華を添えるのだ。〈おかもと〉では主に紀州産備長炭を使って、仕入れられる限り最上の魚にじっくり遠火で火を入れていく。
炭火焼は9月頃からは松茸と鱧、10月頃からは「松茸の甘鯛巻き」が登場する。大きめの松茸半分を割き、甘鯛で巻き、串を打って炭で焼く。それだけのシンプルな料理だが、熱されるに従って甘鯛から滴る甘い脂を松茸が吸い、松茸の香りを甘鯛が吸ったうえに、炭床に落ちた脂から立ち上る煙による燻香でさらに風味が増す。とてもすぐれた調理法なのだ。
染みるようなやさしい味わいの煮物椀「鱧のスープ仕立て 焼き茄子と秋野菜」にも、実は炭火焼の技法が隠れている。鱧のスープは、いったん炭火で焼いた鱧の骨と玉ネギでとったもの。鱧の姿形はないものの、焼いた骨から香ばしさと旨みを引き出し、冬瓜や白ずいきのフレッシュ魅力を引き立てている。
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