FOOD
最高峰のワサビを使った江戸の“粋”が宿る、日本橋限定の名作菓子。【今日の逸品】
| Food, Design | 今日の逸品 | casabrutus.com『おいしくて美しい“和菓子”10選・名店の定番菓子。』より | photo_Junichi Kusaka text_Yoko Fujimori
カーサ ブルータスの人気企画「10選」シリーズから、こだわりの逸品をジャンルレスに日替わりでご紹介します。
〈榮太樓總本鋪〉の《玉だれ》
創業1818年(文政元年)。日本橋に本店を構え、生粋の江戸っ子たちに愛されてきた江戸菓子の代名詞。三角形をした有平糖の《梅ぼ志飴》や刀の鍔(つば)をかたどった丸型の《名代金鍔》など、世に知られた代表作は多いが、この《玉だれ》は日本橋の本店でのみ販売される貴重な品の一つ。明治十年代(1877〜1886年)に誕生したという、粋を好んだ初代による創製品で、本ワサビを使った世にも珍しい和菓子だ。創業当時、魚河岸があった日本橋は、魚介をはじめ全国からあらゆる日本一の食材が集った場所。魚介に欠かせない伊豆産の本ワサビも、日本橋を象徴する高級素材だったはず。その最高峰のワサビを使い、未だ味わったことのない和菓子を創作した発想力に感服する。
中身の餡は静岡県産のワサビを目の細かい銅製おろし金で擦りおろし、砂糖、大和芋、焼き味甚粉などと合わせたもの。小豆は使用していないため、〈榮太樓總本鋪〉では “芯”と呼ぶ。真っ白な求肥で芯を巻いた姿は、切り口や求肥越しから緑の色が覗き、実に清々しい。まず目で涼を楽しみ、一口頬張ればワサビの香りが立ち、さらに爽やかな辛味がじんわりとやって来る。焼き味甚粉(蒸したもち米を餅状に伸ばして白焼きにし、それを粉末にしたもの。落雁などにも使われる)のサリサリとした食感も妙味の一つ。
江戸の粋が宿る一品だ。
公式サイト
中身の餡は静岡県産のワサビを目の細かい銅製おろし金で擦りおろし、砂糖、大和芋、焼き味甚粉などと合わせたもの。小豆は使用していないため、〈榮太樓總本鋪〉では “芯”と呼ぶ。真っ白な求肥で芯を巻いた姿は、切り口や求肥越しから緑の色が覗き、実に清々しい。まず目で涼を楽しみ、一口頬張ればワサビの香りが立ち、さらに爽やかな辛味がじんわりとやって来る。焼き味甚粉(蒸したもち米を餅状に伸ばして白焼きにし、それを粉末にしたもの。落雁などにも使われる)のサリサリとした食感も妙味の一つ。
江戸の粋が宿る一品だ。
公式サイト
