FASHION
プラダの建築展が上海で開催中! |石田潤の In the mode
| Fashion, Architecture, Travel | casabrutus.com | photo_Keisuke Fukamizu(Rong Zhai) text_Jun Ishida editor_Keiko Kusano
OMA、ヘルツォーク&ド・ムーロンとタッグを組んだ建築物で、ファッションと建築の新たな関係性を作り出してきたプラダ。その一連のプロジェクトをまとめた展覧会が、上海に誕生した〈PRADA Rong Zhai〉で開催中だ。
ファッション界で最も革新的な建築のプロジェクトを行ってきたブランドを挙げるなら、プラダをおいて他にはないだろう。OMA、ヘルツォーク&ド・ムーロンといった先鋭的な建築事務所と深く関わりながら、革新的な建築物を作ってきたプラダ。その一連のプロジェクトを振り返る展覧会が、中国・上海で幕を開けた。
会場となったのは、プラダの最新建築プロジェクトともなる〈PRADA Rong Zhai(榮宅)〉だ。〈PRADA Rong Zhai〉は、20世紀初めに建てられた歴史的建造物であり、1920年代から30年代にかけてこの邸宅に暮らした大実業家、榮宗敬(えい そうけい)氏に敬意を払い、この名称が付けられた。
1910年に設計された建物は、18年に榮氏の手に渡ると増築が行われ、中国独自のデザインにアールヌーヴォーやアラビックなど古今東西の要素を取り入れた折衷主義的な内装がほどこされた。その後、建物は中国共産党の事務所や最近ではルパート・マードックの事務所として用いられたが、約6年前にプラダが取得すると大規模な修復工事に取り掛かった。榮氏時代の建物を復元すべく、イタリアと中国の職人が協力し、緻密な修復作業が行われたのだ。
1910年に設計された建物は、18年に榮氏の手に渡ると増築が行われ、中国独自のデザインにアールヌーヴォーやアラビックなど古今東西の要素を取り入れた折衷主義的な内装がほどこされた。その後、建物は中国共産党の事務所や最近ではルパート・マードックの事務所として用いられたが、約6年前にプラダが取得すると大規模な修復工事に取り掛かった。榮氏時代の建物を復元すべく、イタリアと中国の職人が協力し、緻密な修復作業が行われたのだ。
建築展では、このRong Zhaiのプロジェクトを含めプラダの7つの建築プロジェクトの模型が展示されている。キュレーターを務めるデザインスタジオ〈2×4〉のマイケル・ロックは、「プラダの建築プロジェクトは2つの流れに分けられる」と分析する。
「一つはOMAやヘルツォーク&ド・ムーロンとともに行ってきたアバンギャルドで実験的な建築とセットデザイン。もう一つはミラノの〈ガレリア・ヴィットリオ・エマヌエーレII世〉にあるプラダ最初の店舗、ヴェニスの〈プラダ財団—カ・コルネール・デッラ・レジーナ〉、そして〈PRADA Rong Zhai〉に見られる歴史的建造物のリノベーションです。保存と新たな建物の創造という対照的な二つの流れがプラダの建築プロジェクトには共存するのです」
「一つはOMAやヘルツォーク&ド・ムーロンとともに行ってきたアバンギャルドで実験的な建築とセットデザイン。もう一つはミラノの〈ガレリア・ヴィットリオ・エマヌエーレII世〉にあるプラダ最初の店舗、ヴェニスの〈プラダ財団—カ・コルネール・デッラ・レジーナ〉、そして〈PRADA Rong Zhai〉に見られる歴史的建造物のリノベーションです。保存と新たな建物の創造という対照的な二つの流れがプラダの建築プロジェクトには共存するのです」
そして、この二つの流れを統合するのが、ミラノで進行中の〈プラダ財団〉だ。〈PRADA Rong Zhai(榮宅)〉で展示中のプロジェクトを通して、プラダの建築ヒストリーについて改めて振り返ってみよう。
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石田潤
いしだ じゅん 『流行通信』、『ヴォーグ・ジャパン』を経てフリーランスに。ファッションを中心にアート、建築の記事を編集、執筆。編集した書籍に『sacai A to Z』(rizzoli社)、レム・コールハースの娘でアーティストのチャーリー・コールハースによる写真集『メタボリズム・トリップ』(平凡社)など。
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