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話題を集めるディオールの展示を、建築家・重松象平が詳細に案内します。
January 27, 2023 | Fashion, Architecture, Art, Design | PR | photo_Yuji Ono text_Yoshinao Yamada
世界各地で数多くの鑑賞者を魅了してきた〈ディオール〉の回顧展が、ついに東京へやってきました。〈東京都現代美術館〉を会場に、日本独自の視点も加わり展示内容がアップデート。会場構成を担当したOMA・重松象平の言葉とともに、あらためてディオールの魅力に迫ります。
〈パリ装飾芸術美術館〉を皮切りに、ロンドンの〈ヴィクトリア&アルバート美術館〉、ニューヨークの〈ブルックリン美術館〉など、世界各地を巡回した回顧展が、ついに東京へやってきた。〈東京都現代美術館〉を会場とする展覧会の名は『クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ』展。
タイトルが示す通り、ディオールのものづくりに迫る幻想的な展示空間を構成したのは、アメリカ・ニューヨークで建築事務所OMA代表を務める建築家、重松象平だ。アメリカの〈デンバー美術館〉と〈ダラス美術館〉で開催された『ディオール:パリから世界へ』でも回顧展の会場構成を担当した重松は、「ファッションの展覧会が世界的に人気を集めていますが、ディオールは展示においても先駆的なメゾン。でも今回はより振り切った構成を実現できました」と言う。
タイトルが示す通り、ディオールのものづくりに迫る幻想的な展示空間を構成したのは、アメリカ・ニューヨークで建築事務所OMA代表を務める建築家、重松象平だ。アメリカの〈デンバー美術館〉と〈ダラス美術館〉で開催された『ディオール:パリから世界へ』でも回顧展の会場構成を担当した重松は、「ファッションの展覧会が世界的に人気を集めていますが、ディオールは展示においても先駆的なメゾン。でも今回はより振り切った構成を実現できました」と言う。
本展は、2フロアにわたる会場で13のキュレーションテーマを展開する。並ぶのは、クリスチャン・ディオールに始まり、イヴ・サン゠ローラン、マルク・ボアン、ジャンフランコ・フェレ、ジョン・ガリアーノ、ラフ・シモンズ、マリア・グラツィア・キウリ……歴代のクリエイティブ ディレクターによる1,100点以上のアーカイブだ。
彼らの類い希なる感性が生んだ作品は、どの美術作品とも異なる強い個性を放つ。はたしてホワイトキューブが最適な展示空間かという疑問が、本展の構成におけるきっかけであったと重松は言う。非日常的なオートクチュールの数々を、重松は舞台美術=セノグラフィーのアプローチで見せることに決めた。
「アーカイブをそのままに見せるのではなく、ドレスの物語性を空間を通して伝えることに注力しました。僕自身、没入感ある空間を設計する機会はあまりないのですが、今回はディオールの世界観を体感してほしい思いが先立ちました。空間を舞台にたとえるなら、ドレスは演者であり、展示テーマは脚本なのです」
彼らの類い希なる感性が生んだ作品は、どの美術作品とも異なる強い個性を放つ。はたしてホワイトキューブが最適な展示空間かという疑問が、本展の構成におけるきっかけであったと重松は言う。非日常的なオートクチュールの数々を、重松は舞台美術=セノグラフィーのアプローチで見せることに決めた。
「アーカイブをそのままに見せるのではなく、ドレスの物語性を空間を通して伝えることに注力しました。僕自身、没入感ある空間を設計する機会はあまりないのですが、今回はディオールの世界観を体感してほしい思いが先立ちました。空間を舞台にたとえるなら、ドレスは演者であり、展示テーマは脚本なのです」
展示はクリスチャン・ディオールが1947年に発表した《バー》ジャケットから始まる。引き締まったウエストと立体的な曲線のショルダーやペプラムで構成されたジャケットに豊かに広がる黒のプリーツスカートを組み合わせた《バー》スーツは「ニュールック」と評され、服飾史に残る名作だ。重松は最初の展示室で《バー》スーツのフォルムを空間に応用した。
「人が服をまとうように、人間の身体と美術館の既存空間の間にもう一つの皮膜を作りました。すべての空間で、こうした皮膜が人とドレスを包み込んで舞台のシーンのように各テーマを演出しています」
ここではフレームに黒から白へとグラデーションを描くオーガンジーを組み合わせ、美術館の天井や壁を覆い隠した。
「人が服をまとうように、人間の身体と美術館の既存空間の間にもう一つの皮膜を作りました。すべての空間で、こうした皮膜が人とドレスを包み込んで舞台のシーンのように各テーマを演出しています」
ここではフレームに黒から白へとグラデーションを描くオーガンジーを組み合わせ、美術館の天井や壁を覆い隠した。
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