かしゆかが出会い見つけた、〈Mame Kurogouchi〉の原点。
『カーサ ブルータス』2021年8月号より
| Fashion, Art, Design | a wall newspaper | photo_Satoshi Nagare text_Akane Maekawa
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〈長野県立美術館〉で開催中の『10 Mame Kurogouchi』展の会場にて。手前に並べられた青のアイテムは、デザインの発想源となった黒河内が日常から見つけた記憶の断片。

黒河内の説明に聞き入るかしゆか。

黒河内がいつも持ち歩くモレスキンのノート。ここに書き留めた出来事や見つけたものがアイデアとなる。

クラフトが着想源となったコレクションについて、かしゆかに解説をする黒河内。

黒河内家に代々受け継がれてきた家紋入りの九谷焼の大皿。彩色された ”あおちぶ” という点描写の技法を、服のデザインへと落とし込んだ。

「私たちが見ている何気ない日常からマメのアイデアが生まれ、コレクションになっているんだね」と熱心に観るかしゆか。

幼少期に見た長野の冬の記憶から誕生したPVCバッグとヘッドピース。会場では集合体で展示し、氷柱の彫刻のような景色を表現した。

ブランドの代名詞ともなった透明のPVCバッグ。

古い写真から空想を膨らませ、そこに写る人に服をプレゼントするというコレクションをつくったプロジェクトボード。

それぞれの写真の添えられたメモには、空想した人物の名前と年齢と言葉が。贈る服のデザインの詳細も書き記され、黒河内のユニークな創造性を垣間見ることができる。

2019秋冬のコレクション制作時に影響を受けた品々。中央のポラロイドは、浴槽に溶ける青いバスソルトを毎日記録したもの。

展覧会を巡り、「マメの頭の中を覗いているみたい」とかしゆか。

会場には、服とともに創作の起点となった発想源を展示。テクスチャーをテーマにした章では、質感を表現するため、透明と白い糸で過去の生地を再生し、ディテールの写真とともに紹介する。

展覧会では〈Mame Kurogouchi〉を象徴する10のキーワードを掲げ、10年間のクリエイションの軌跡を展示。

朝吹真理子の小説『TIMELESS』の世界と黒河内の日常を重ね生み出された2017年のコレクション。

旅の物語から生まれた2016年のコレクション。海外へ行く旅行も、通勤の移動も同じ旅として捉える黒河内は、日々の記憶をスナップに撮り溜めている。

テクスチャーをテーマにしたコーナーでは、刺繍、プリント、ジャカードが施されたシルク生地3枚がレイヤードされたドレスを展示。壁面に飾られたのは、写真家・野田祐一郎によるディテールに焦点をあてた工場の写真。

工場がずっと保存してくれていた10年間の刺繍の図案。「マメのお花のデザインって独特だよね。長年一緒に仕事をしてきた職人さんだからこそ、そのニュアンスがわかるんだね」とかしゆか。
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