DESIGN
コム・デ・ギャルソンと、桑田卓郎のセラミックアート。
『カーサ ブルータス』2018年9月号より
| Design, Fashion | a wall newspaper | photo_Hiroyuki Takenouchi photo_Hiroyuki Takenouchi text_Yuka Uchida
六本木の〈Trading Museum COMME des GARÇONS〉に気鋭のアーティスト、桑田卓郎による空間が出現しました。
極彩色と過激な造形。その根底にある伝統技法への深い知識と敬意。それらが一体となって見る者を引きつけ、国内外から注目を集めているセラミックアーティストの桑田卓郎。その才能に注目した川久保玲は、東京ミッドタウンにある〈Trading Museum COMME des GARÇONS〉でインスタレーションを依頼。桑田のアトリエに満ちる熱量を濃縮したような小宇宙が現れた。
Q 店内の一角に、小部屋のような濃密な展示空間があるんですね。
川久保さんに僕のアトリエの写真を送ったら、後にこの展示棚の図面が送られてきました。20cm高の棚が7段。杉板を使うアイデアも新鮮でした。いつもはギャラリーや美術館といったホワイトキューブの中で展示をしているので、こんなに狭い幅の棚に作品を置くこと自体、初めての経験。アトリエである程度シミュレーションし、あとは搬入時に即興で空間を組み立てていきました。
Q 作品選びはどうやって?
今回のテーマはアトリエの空気を再現すること。作業場の片隅に、本当にこういったスペースがあって、そこに集められた失敗作やサンプルに手を加えて持ってきました。その空間は、僕にとってアイデアのストックスペースなんです。
川久保さんに僕のアトリエの写真を送ったら、後にこの展示棚の図面が送られてきました。20cm高の棚が7段。杉板を使うアイデアも新鮮でした。いつもはギャラリーや美術館といったホワイトキューブの中で展示をしているので、こんなに狭い幅の棚に作品を置くこと自体、初めての経験。アトリエである程度シミュレーションし、あとは搬入時に即興で空間を組み立てていきました。
Q 作品選びはどうやって?
今回のテーマはアトリエの空気を再現すること。作業場の片隅に、本当にこういったスペースがあって、そこに集められた失敗作やサンプルに手を加えて持ってきました。その空間は、僕にとってアイデアのストックスペースなんです。
Q 失敗作も保管するのですか?
はい、捨てることはまずないですね。焼き物は窯の中で変化して、思ってもみないものが生まれてくる。だから、良し悪しは単純に判断できないんです。今の自分は反応できなくても、時間が経って面白く感じるものもありますし、焼き物の欠片ひとつから、制作当時の自分の内面性を思い出すこともある。多くの示唆がこの中に詰まっているので、自分にとっては宝のようなものなんです。
Q ひとつ自ら解説するなら?
例えば、これ。窯の中で外れてしまったお茶碗の高台です。その裏側を金色に塗装して持ってきました。お茶の世界において、高台は精神性を込めてつくるもの。絵画でいう筆のタッチのようなもので、陶芸家の個性が自ずと表れます。その高台を、その部分だけで見せる、というのは今までしたことがないアプローチ。そういった自分なりの実験も盛り込みました。空間の構成も、作品の選定も、今までとは全く違った姿勢で取り組めた展示です。作品との距離感も近いですし、気軽な気持ちで見に来てください。
はい、捨てることはまずないですね。焼き物は窯の中で変化して、思ってもみないものが生まれてくる。だから、良し悪しは単純に判断できないんです。今の自分は反応できなくても、時間が経って面白く感じるものもありますし、焼き物の欠片ひとつから、制作当時の自分の内面性を思い出すこともある。多くの示唆がこの中に詰まっているので、自分にとっては宝のようなものなんです。
Q ひとつ自ら解説するなら?
例えば、これ。窯の中で外れてしまったお茶碗の高台です。その裏側を金色に塗装して持ってきました。お茶の世界において、高台は精神性を込めてつくるもの。絵画でいう筆のタッチのようなもので、陶芸家の個性が自ずと表れます。その高台を、その部分だけで見せる、というのは今までしたことがないアプローチ。そういった自分なりの実験も盛り込みました。空間の構成も、作品の選定も、今までとは全く違った姿勢で取り組めた展示です。作品との距離感も近いですし、気軽な気持ちで見に来てください。
