DESIGN
〈BULY〉のパリ新店ではオニギリを売っている!?
『カーサ ブルータス』2017年11月号より
| Design, Travel | a wall newspaper | text_Kanae Hasegawa editor_Wakako Miyake
エレガンスを提案するライフスタイルブランド、〈オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー〉パリ新店に潜入。
1803年創業。うっとりするような香りのプロダクトとそのパッケージの美しさが人気のフランスの総合美容薬局〈ビュリー〉。パリにできた新しいブティックの約350平方メートルの空間には美容品だけではなくフラワーショップ、カフェ、おにぎり店まで揃っている。カフェのバーカウンターではリネンのプレイスマットを敷き、〈クリストフル〉のアンティークシルバートレーをセッティングしてサーブ。これはおにぎり一つ注文しても同じ。「そうしてもらうと大切にされた気分でうれしくなりませんか? サービスをあまりに簡略化してしまうと、喜んでもらおうという人の気遣いを感じにくくなります。僕はエチケットが尊ばれた19世紀の頃のエレガンスを取り戻したいんです。実は日本人は今でもこうした丁寧さを持ち合わせています。ビュリーでも多く学ばせてもらっています」という、オーナーのラムダン・トゥアミ。なんとも嬉しい言葉だ。
BEAUTY<br>〈ビュリー〉の世界観と歴史への敬意が詰まった空間。
通りに面した扉を開けると目に飛び込んでくる〈ビュリー〉のカウンター。空間デザインのイメージ源はイタリアの古代都市ポンペイ。商品ボトルのラベルと呼応するように、壁の随所に古代人物像のモチーフを取り入れ、ビュリーの世界観を伝える空間に仕上げた。場所のもつ歴史への敬意も忘れていない。壁から天井にかけてはめ込まれた陶板は青銅色。かつてのこの場所の住人であり、ロダンなどの彫刻を手がけた鋳造家ルーディエへの敬意を込めた。
ONIGIRI<br>日本の国民食を進化させたおにぎりスタンドもあります。
クラシカルな空間の中で一風変わった存在感を放つスタンド〈ナニコレオニギリ〉。これはご飯で具を包んで携帯するというおにぎりの発想に感動したものの、「日本食の域を超えていないおにぎりを進化させてみたかった」というラムダンの思いから生まれた。片手間にするつもりはないからパリの日本人パティシエに協力を仰ぎ、手で握ってもらっている。「型押しはサンドイッチのようで、厳密にはおにぎりではないでしょう?」と、ホンモノにこだわる。
Loading...
