DESIGN
デザイン事務所〈高い山〉の仕事をひもとく“3つのF”とは?
『カーサ ブルータス』2017年10月号より
| Design | a wall newspaper | photo_Manami Takahashi text_Tomoko Ogawa editor_Yuka Uchida
山野英之率いる〈高い山(TAKAIYAMA inc.)〉のデザインする思考やアプローチを体験できる展示が開催。好評につき会期延長です!
B.C.G
独立してからはや15年。グラフィックデザイナー山野英之が初展示を行うということで、その中身を探ってきました。
Q 今回、どういう思いから初展示をするに至ったのでしょうか。
僕は作品性を前に出すというより、プロジェクトごとに寄り添うデザインをしてきたのですが、15年分の仕事を俯瞰で見たときに、自分なりのアプローチの法則がまとまって見えてきたんです。
Q その法則が、展示タイトルでもある「3F」。つまり、Focus/Frame/Functionだったと。
はい。建築の案件などで、空間を捉えてデザインを考えるとき、まず焦点を定める。すると、そこにふさわしいフレームが立ち上がってくる。平面もある種、ひとつの空間表現といえると思うんですが、なぜそのデザインになっているかという必然性を見つけることで、受け手に効果的に伝えることができる。僕はそれをグラフィックデザインの機能と考えています。
Q 個人で発表している「B.C.G」は、ある種逆の発想ですね。
グラフィックデザインは自己表現ではないとよく言われるけれど、実際には個人的な感性が影響します。同時に純粋な視覚的強度も必要で、その上で外部からの要件と自分のなかの要素を練り込んでいくというバランスが重要だと思うんです。それで、マウスを自分にとって最も近い身体拡張と捉えて作品制作したのが「B.C.G」。これをたまにやることで、自分のなかにたまっている癖や澱みたいなものを消化すると同時に、視覚的な強度を上げる訓練をしているというか。結果、整理しながらクライアントワークができる。自己内循環を作っている感覚ですね。
Q 今回は、なぜ「B.C.G」と「3F」を一緒に展示することに?
「B.C.G」はイラストレーターで作っているんですが、概念的には永遠に縮小・拡大が可能なソフトなんです。先ほどお話ししたまず初めに定めるフォーカス、それ自体を曖昧にすることができるんじゃないかと思っていて。作品を自立させるために、自分で全部コントロールするのではなく、偶然のハプニングを起こりやすくする仕掛けとしての「B.C.G」を、「3F」と絡めて見てもらえたら面白いかなと。全く異なるようで、ある部分では共通する2つを行き来してもらうと、想像の奥行きや視点がさらに広がるような気がします。
Q 展示構成は建築家・元木大輔氏が担当ですね。どんな空間に?
新鮮な気持ちで見てもらいたいので、詳細は言いませんが、デザイン小石川という場所の特性を生かし、10のカテゴリーをある方法で展示しつつ、参加できる余白も作りたいなと。単なる作品紹介ではないプロセスを体験するうちに、デザインの見方のヒントが見えてくると思うので、個々の楽しみ方をしてもらいたいですね。
Q 今回、どういう思いから初展示をするに至ったのでしょうか。
僕は作品性を前に出すというより、プロジェクトごとに寄り添うデザインをしてきたのですが、15年分の仕事を俯瞰で見たときに、自分なりのアプローチの法則がまとまって見えてきたんです。
Q その法則が、展示タイトルでもある「3F」。つまり、Focus/Frame/Functionだったと。
はい。建築の案件などで、空間を捉えてデザインを考えるとき、まず焦点を定める。すると、そこにふさわしいフレームが立ち上がってくる。平面もある種、ひとつの空間表現といえると思うんですが、なぜそのデザインになっているかという必然性を見つけることで、受け手に効果的に伝えることができる。僕はそれをグラフィックデザインの機能と考えています。
Q 個人で発表している「B.C.G」は、ある種逆の発想ですね。
グラフィックデザインは自己表現ではないとよく言われるけれど、実際には個人的な感性が影響します。同時に純粋な視覚的強度も必要で、その上で外部からの要件と自分のなかの要素を練り込んでいくというバランスが重要だと思うんです。それで、マウスを自分にとって最も近い身体拡張と捉えて作品制作したのが「B.C.G」。これをたまにやることで、自分のなかにたまっている癖や澱みたいなものを消化すると同時に、視覚的な強度を上げる訓練をしているというか。結果、整理しながらクライアントワークができる。自己内循環を作っている感覚ですね。
Q 今回は、なぜ「B.C.G」と「3F」を一緒に展示することに?
「B.C.G」はイラストレーターで作っているんですが、概念的には永遠に縮小・拡大が可能なソフトなんです。先ほどお話ししたまず初めに定めるフォーカス、それ自体を曖昧にすることができるんじゃないかと思っていて。作品を自立させるために、自分で全部コントロールするのではなく、偶然のハプニングを起こりやすくする仕掛けとしての「B.C.G」を、「3F」と絡めて見てもらえたら面白いかなと。全く異なるようで、ある部分では共通する2つを行き来してもらうと、想像の奥行きや視点がさらに広がるような気がします。
Q 展示構成は建築家・元木大輔氏が担当ですね。どんな空間に?
新鮮な気持ちで見てもらいたいので、詳細は言いませんが、デザイン小石川という場所の特性を生かし、10のカテゴリーをある方法で展示しつつ、参加できる余白も作りたいなと。単なる作品紹介ではないプロセスを体験するうちに、デザインの見方のヒントが見えてくると思うので、個々の楽しみ方をしてもらいたいですね。
3F
山野英之
やまのひでゆき 1973年生まれ。京都工芸繊維大学大学院修士課程修了。groovisions、NANAを経て、2002年独立。09年TAKAIYAMA inc.設立。平面から空間までグラフィックデザインを軸に活動。
『3F/B.C.G』
9月16日〜10月9日。今までの仕事を紹介するとともに「B.C.G」の新作も発表。
〈DESIGN 小石川〉
