DESIGN
深澤直人が日本初個展で語る「AMBIENT」。
| Design | casabrutus.com | photo_Sohei Oya (Nacása & Partners) text_Naoko Aono editor_Keiko Kusano
ふと気づくと深澤直人がデザインしたものを使っている、という人も多いはず。その彼の個展が現在開催中です。タイトルは『AMBIENT 深澤直人がデザインする生活の周囲展』。意外なことに日本での個展は初めて、という本人に話を聞きました。
デザインとは、ものの形を作ること。確かにその通りなのだが、深澤直人は「ものと人の間」にあるものこそが重要だと考えている。展覧会タイトルの“AMBIENT”(アンビエント)はその「間」を象徴する言葉の一つだ。 字義では“環境の”、“周囲の”といった意味になる。
「アンビエントは、一般的には音楽などのジャンルで使われることが多い用語です。ここではものと人の間、ものの周囲に生まれる空気を指してアンビエントと言っています。世の中のデザインの概念ではものにフォーカスしていますが、僕はそうではなくてものから醸し出される雰囲気のほうが重要だと思う。デザインするときはいつもそういった雰囲気、ものと人の間にあるものについて考えています」
「アンビエントは、一般的には音楽などのジャンルで使われることが多い用語です。ここではものと人の間、ものの周囲に生まれる空気を指してアンビエントと言っています。世の中のデザインの概念ではものにフォーカスしていますが、僕はそうではなくてものから醸し出される雰囲気のほうが重要だと思う。デザインするときはいつもそういった雰囲気、ものと人の間にあるものについて考えています」
それはたとえば、「形」と「姿」の違いだと深澤は言う。彼はものに形ではなく、姿を与えようとしている。
「『彼女の姿を見た』とは言うけれど、『彼女の形を見た』とは言わないでしょう。“姿”は、そのものが発する何かが環境と溶けている様子です。『あの駅のホームの向こうで彼女の姿を見た』というと何かロマンチックな感じがしませんか。しかも姿に相当する英単語はない。姿は英訳できないんです」
「『彼女の姿を見た』とは言うけれど、『彼女の形を見た』とは言わないでしょう。“姿”は、そのものが発する何かが環境と溶けている様子です。『あの駅のホームの向こうで彼女の姿を見た』というと何かロマンチックな感じがしませんか。しかも姿に相当する英単語はない。姿は英訳できないんです」
“姿”にはアンビエント的なものが含まれているのだ。しかし、“姿”は作り込んだり、演出したりするとその価値を失ってしまう。
「佇んでいる彼女が周囲の視線を意識していたら、変になってしまう。ものでも『注目して』というデザインをしたらそれもおかしい。さりげなく、その場にいなくてはならない。声が大きければ注目を集めるわけではないんです。私たちは、みんながしゃべっている中で静かにしている人が気になったりするものでしょう」
「佇んでいる彼女が周囲の視線を意識していたら、変になってしまう。ものでも『注目して』というデザインをしたらそれもおかしい。さりげなく、その場にいなくてはならない。声が大きければ注目を集めるわけではないんです。私たちは、みんながしゃべっている中で静かにしている人が気になったりするものでしょう」
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