DESIGN
日高理恵子が描き続ける、測りしれない“距離”。
April 26, 2017 | Design | a wall newspaper | photo_Tomoyo Yamazaki text_Yuka Uchida
〈ヴァンジ彫刻庭園美術館〉で春から秋にかけて、画家・日高理恵子の新作展が開催されています。
日本画の画材を用いて、見上げる視点から樹々の枝葉を描き続けてきた日高理恵子。彼女の関心は、見上げた先にある空との距離や、その空の“測りしれない存在”を表すことにありました。
あの空を描くために樹を描くのだと思う。
Q 樹を描き始めたきっかけは?
下から見上げる視点で樹を描き始めたのは30年程前です。最初のシリーズは「樹を見上げて」というタイトル。それが「樹の空間から」に変わり、今は「空との距離」というシリーズ名になっています。
Q “空”と“距離”が近年のテーマなのですね。
そうですね。最初は自分の周囲に広がる樹の空間を絵で表現したいと思っていたのですが、樹を見続けているうちに、枝の先にある“空”が自分にとって重要なのだと気づきました。その測りしれなさ、見ても見ても見きれない、表現しきれないという感覚や、つかみきれない距離感。それらを絵で探るために、空間を測量するメルクマール(目盛り)として枝葉が存在しているんです。
Q 「見る」ことへの強い意志のようなものも感じられます。
私にとっては「見る」ことが絵の出発点でした。見るという行為には、その時々の自分が映し出されます。同じ視点、同じテーマで描いていても、そのときに“見たいもの”が絵に表れるんです。時々、写真のような絵と言われることがあるのですが、自分としては人間が「見る」ということと、一点から捉える写真の空間とは全く違うと感じています。見続けることで図像として鮮明になる部分と、反対に対象そのものが測りしれなくなる部分。その相反する感覚をいかに切り捨てずに描けるか、といつも考えています。
Q 今回の展示の見どころは?
今回は美術館の吹き抜けの空間に絵が点在するような展示を考えています。絵と絵の間の空間も感じていただければ。また今展は会期が長いので、春から秋にかけて移り変わる庭の風景や、空間に差し込む光の変化も楽しんでいただけたら嬉しいです。
下から見上げる視点で樹を描き始めたのは30年程前です。最初のシリーズは「樹を見上げて」というタイトル。それが「樹の空間から」に変わり、今は「空との距離」というシリーズ名になっています。
Q “空”と“距離”が近年のテーマなのですね。
そうですね。最初は自分の周囲に広がる樹の空間を絵で表現したいと思っていたのですが、樹を見続けているうちに、枝の先にある“空”が自分にとって重要なのだと気づきました。その測りしれなさ、見ても見ても見きれない、表現しきれないという感覚や、つかみきれない距離感。それらを絵で探るために、空間を測量するメルクマール(目盛り)として枝葉が存在しているんです。
Q 「見る」ことへの強い意志のようなものも感じられます。
私にとっては「見る」ことが絵の出発点でした。見るという行為には、その時々の自分が映し出されます。同じ視点、同じテーマで描いていても、そのときに“見たいもの”が絵に表れるんです。時々、写真のような絵と言われることがあるのですが、自分としては人間が「見る」ということと、一点から捉える写真の空間とは全く違うと感じています。見続けることで図像として鮮明になる部分と、反対に対象そのものが測りしれなくなる部分。その相反する感覚をいかに切り捨てずに描けるか、といつも考えています。
Q 今回の展示の見どころは?
今回は美術館の吹き抜けの空間に絵が点在するような展示を考えています。絵と絵の間の空間も感じていただければ。また今展は会期が長いので、春から秋にかけて移り変わる庭の風景や、空間に差し込む光の変化も楽しんでいただけたら嬉しいです。
『日高理恵子 空と樹と』
4月22日〜11月30日。国内の美術館で2004年以来の個展。