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福岡｜国指定名勝の宿泊できる料亭旅館を舞台に、北欧家具の特別な展示が開催。

February 7, 2025 | Design, Architecture, Travel | casabrutus.com | text_Mako Yamato editor_Keiko Kusano

デンマークを代表する家具ブランド〈フリッツ・ハンセン〉が、インテリアショップ〈フラムティーデン〉とともに福岡県柳川市の料亭旅館〈御花〉で繰り広げるのはクラフツマンシップをテーマにした『FRITZ HANSEN EXHIBITION in 御花』。北欧デザインと日本の伝統文化の融合で、新たな価値観が紡ぎ出されます。

曲線で構成される《スワンチェア》の柔らかな印象が、柳川の雛祭りを彩る「さげもん」と調和する。

色とりどりの「さげもん」とリンクする、カラーバリエーションが豊富な《セブンチェア》。

「さげもん」には縁起のよい鶴や亀、お福などの布細工と、鮮やかな糸で作る柳川まりなどが組み合わされている。

街を縫うように流れる割堀と呼ばれる水路が美しい水の都・福岡県柳川市。川下りやうなぎ料理で知られ、柳川藩の城下町として栄えた街の、歴史を今に伝えてくれるのが〈御花〉だ。柳川藩主立花家の400年以上の歴史を受け継ぎ、現存する建築物と庭園は110年以上の歴史を持つ。日本で唯一、宿泊できる国指定名勝の料亭旅館である。

『FRITZ HANSEN EXHIBITION in 御花』は、〈フリッツ・ハンセン〉のクラフツマンシップに焦点をあて、《エッグチェア》の製造過程や工具類の展示、100畳の大広間での体験型展示などを楽しめるエキシビジョン。北欧デザインの世界観に心ゆくまで浸るべく、ポール・ケアホルムの家具などで特別に設えた「FRITZ HANSEN SUITE」での宿泊プランも用意されている。

雛祭りを彩る「さげもん」は柳川の伝統文化のひとつ。江戸時代末期に女の子の初節句を祝うため古布で小物を作り、飾ったのが始まりとされる。幸せと健康、無病息災、良縁を願いながら飾る「さげもん」は代々受け継がれ、地域の皆で祝う温かな風習として今なお続く。毎年2月から4月は「さげもんめぐり」が市内で開催される季節。『FRITZ HANSEN EXHIBITION in 御花』とともに柳川の文化にも触れられる機会となる。

〈御花〉の敷地内にある船着場には、川下りで往来する「どんこ船」が立ち寄る。船頭の歌声が響く、情緒あふれる川辺だ。

会場となる立花家旧邸宅〈御花〉は、7,000坪にも及ぶ広大な敷地に近代和風建築や鑑賞式庭園が整備された〈立花氏庭園〉の一角にある。

日本庭園の壮大な景色を望む約100畳の「大広間」には、《スワンチェア》など〈フリッツ・ハンセン〉の厳選されたコレクションが揃い、そのすべてに座って心地よさを体感することが可能。この空間のために制作されたスペシャルサウンドを耳に、隅々まで手入れが行き届いた庭を目にしながら、日本の伝統建築と北欧デザインとの融合を体感したい。

明治時代に建てられた重厚な「西洋館」1階では、《エッグチェア》などを製造過程の姿で限定公開。日本とデンマークに共通する卓越した職人技と美意識とが交わる展示となっている。かつての迎賓館の趣を色濃く残す2階には、《セブンチェア》の歴代カラーアーカイブが一堂に会する。多彩なバリエーションが並ぶ姿はまさに圧巻。歴史ある空間で、過去と未来を繋ぐワンシーンが演出される。