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イケアの名作椅子《ポエング》をデザインした中村昇を知っていますか?
October 12, 2024 | Design | PR | photo_Ikuya Sasaki text_Yoshinao Yamada editor_Housekeeper, Keiko Kusano
1976年に発表されたイケアのアームチェア《POÄNG(ポエング)》。積層材の曲木フレームが身体のラインに沿い、弾力性のあるキャンティレバーは腰を下ろすと適度にしなる。スイングする快適な座り心地でゆったりとした時間を過ごすことのできる名作だ。この椅子をデザインしたのは、イケア初の日本人デザイナー、中村昇。昨年、惜しくも逝去した中村の自邸を訪れながら、なぜこの椅子が名作になったのか、デザイナーとしての彼の軌跡をたどりながら探っていきます。
中村昇は1938年、札幌市の隣にある恵庭市の農家に生まれた。祖父が大工だったことでものづくりに興味を持ち、工業高校を経て旭川の家具メーカーに入社。1969年にスウェーデンへ渡り、スウェーデン家具の父と呼ばれるカール・マルムステンが設立した家具学校に入学する。
翌年にはスウェーデン国立芸術工芸デザイン大学(コンストファク)でさらに木工を学んだ。そのまま現地の設計事務所を経て、イケアのデザイナーに。1973年から1978年まで専属デザイナーとして同社に在籍し、そこで製品化されたアイテム数は29にのぼる。その中には《POÄNG/ポエング》のほかに、ソファ《KLIPPAN/クリッパン》など、ロングセラーとして広く知られるものがある。帰国後は北海道を拠点に家具デザイナーとして活躍し、カンディハウス、富士ファニチアなどから数多くの作品を発表し続けた。
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