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TOKYO ART BOOK FAIRに登場、内間絢美が手がけた『NOT FAR』のための木製ユニット。

December 28, 2023 | Design, Architecture, Art, Culture, Fashion | PR | text_Yoshinao Yamada

東京都現代美術館で2023年11月に開催された『TOKYO ART BOOK FAIR』に〈TOKYO DESIGN STUDIO New Balance〉がフリーマガジン『NOT FAR』のブースを出展。そのブースを〈Nope Lab〉の内間絢美が製作しました。

美術品輸送の梱包をイメージソースに。

クレートをモチーフにした什器を積み上げたブース。

雑誌のカバーを来場者に訴えるように、緩衝材のようにスタイロフォームを切り込まれている。

『NOT FAR』の糸かがりの背表紙を見せる収納を採用した。

在庫量が一目瞭然なようなデザインとなっている。

アーカイブをテーマとする『NOT FAR』最新号は、ボストンのニューバランス本社にいるアーキビストへのインタビューなど、さまざまなアーキビストへの取材記事を中心に構成されている。その配布ブースを構成した建築家の内間絢美は、〈TOKYO DESIGN STUDIO New Balance〉から美術品輸送の梱包をイメージソースにしたいとのリクエストを受けたと振り返る。

「美術館を舞台にさまざまな国から出展者が集うグローバルなブックフェアと梱包材のイメージはつながるように思う一方、そのアイデアと『NOT FAR』の接点がデザインにおける課題になりました」と、内間はいう。

そこで国内輸送に多用される木枠の梱包材（クレート）を引用しながら、木箱状の什器を積み重ねて会場の構成を行った。外から貨物が見える内部が空洞の木枠梱包は「すかし梱包」とも呼ばれる。これにより在庫を積む姿、梱包材が詰めた姿が視覚化されるほか、箱がそのままスツールにもなるなど、一つのモジュールに多様な性格をもたせた。

箱を積み上げた『NOT FAR』のブースに佇む内間絢美。

バックナンバーも展示。来場者には最新号を配布した。

ウレタンチップクッションを敷くことでスツールとしても活用できる。

「箱を並べるだけでもブースにはなりますが意味を持たせたいと考えました。そこで『NOT FAR』のための梱包をテーマとし、無料配布とは思えないほど感度とクオリティの高い雑誌を丁寧に表現することにしました。什器では、表紙が見えるよう綺麗に埋め込まれた梱包と糸で綴じられた背表紙が並ぶ梱包という２種類の見せ方を採用しています。輸送手段に留まらず輸送品が丁寧に扱われていることが伝わるという点でも梱包を引用した表現の幅広さに面白さを感じました。素材が安価でラフなものであってもニューバランスのプロダクトに宿る精神を表現したいと心がけており、それは〈T-HOUSE New Balance〉を拡張していくようなイメージでもありました」

製作は家具職人の〈TEMOTTO〉が行っており、在庫補充をスムーズに行えるように天板と側面中央の板も簡単に取り外しを可能としたほか、小さなビスの採用や研磨などの小さくも丁寧な仕事の連続が全体に現れている。

「会場構成は、素材それぞれの素を生かしたものづくりが基本にあるという点で〈T-HOUSE New Balance〉にも通じます」と内間はいう。会場構成の評価は高く、短い会期ではありながら話題を集めた。機能とデザイン性を備えた什器の提案はまさに〈ニューバランス〉の精神に通じるものだ。今後の出展にも期待したい。

T-HOUSE New Balance

東京都中央区日本橋浜町3-9-2。TEL 03 6231 1991。11時〜14時、15時〜19時（金〜火曜）。水・木曜休。「T-HOUSE New Balance presents sound installation“T-HOUSE SOUNDS” produced by FLIP SIDE PLANET」。2024年1月30日まで。営業時間と定休日についての最新情報は、〈T-HOUSE New Balance〉のオフィシャルインスタグラム（@newbalance_t_house）をご確認ください。

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