DESIGN
古今東西 かしゆか商店【伊賀焼の土鍋】
『カーサ ブルータス』2023年11月号より
November 8, 2023 | Design | KASHIYUKA’s Shop of Japanese Arts and Crafts | photo_Keisuke Fukamizu hair & make-up_Masako Osuga editor_Masae Wako
日常を少し贅沢にするもの。日本の風土が感じられるもの。そんな手仕事を探して全国を巡り続ける、店主・かしゆか。今回訪ねたのは三重県の山間にある焼き物の里、伊賀丸柱。料理をおいしくする知恵が詰まった土鍋と出会いました。
鍋を囲んだ者同士、おいしい時間を共にする。あの楽しさを味わえる日常が、ようやく戻ってきそうです。今回の旅先は、伊賀焼産地として知られる三重県伊賀市の丸柱。自然豊かな里山で江戸時代から土鍋を作り続けている〈圡楽窯〉を訪ねました。聞けば職人さんたちは、田んぼや畑を耕し、お米も育てているのだとか。焼き物と食とのつながりを大切に考えているんですね。そんな窯元で、まず目に入ったのが黒っぽい土の塊。土鍋土とも呼ばれる伊賀土です。
「日本が亜熱帯だった太古の時代、琵琶湖の底に堆積していたのが伊賀の粘土です。特徴は、木の化石などの有機物をたくさん含んでいること。焼成すると有機物が燃え、土の中に小さな丸い孔が無数に残ります。この孔が空気を含んでいるため、火にかけた土鍋全体がじわじわと温まって、火から下ろした後も冷めにくいんです」
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