DESIGN
富士山を望む「布の芸術祭」が11月スタート。“糸”をテーマに12アーティストが集う。
September 15, 2023 | Design, Art | casabrutus.com | text_Mio Koumura editor_Keiko Kusano
“国内唯一の布の芸術祭”『FUJI TEXTILE WEEK』が3回目の開催へ。富士の絶景と、“糸”で作品を生み出す女性アーティストたちに注目です。
古くから織物の町として知られる山梨県富士吉田市。その地を舞台に開かれる『FUJI TEXTILE WEEK』は、布をテーマに国内外のアーティストによるアート展とデザイン展が同時開催される芸術祭だ。徒歩圏内で巡ることができる街の空き家や工場跡地、寺などに作品が展示されるのも魅力のひとつで、前回はメディアアーティストの落合陽一やオランダのティルブルグ拠点のシグリッド・カロンらが参加した。
3回目の開催となる今年のテーマは「BACK TO THREAD /糸への回帰」。「テキスタイルの材料である糸が、どこでどのように作られ、それが環境にどのような負荷を掛け、また社会にどのようなインパクトを与えているのか、あらためて見つめ直す時代」と、〈森美術館〉特別顧問でアート展のディレクター南條史生が語るように、近年高騰が続く“糸”の存在を再考し、新たな視点をもたらすことを掲げている。
3回目の開催となる今年のテーマは「BACK TO THREAD /糸への回帰」。「テキスタイルの材料である糸が、どこでどのように作られ、それが環境にどのような負荷を掛け、また社会にどのようなインパクトを与えているのか、あらためて見つめ直す時代」と、〈森美術館〉特別顧問でアート展のディレクター南條史生が語るように、近年高騰が続く“糸”の存在を再考し、新たな視点をもたらすことを掲げている。
現代アートや写真家など参加アーティスト総勢12名の中でも、糸を用いて作品を紡いできた女性アーティストの存在が際立っている。例えば、東京を拠点に活動する韓国人アーティストのユ・ソラは黒い糸で白い布に刺繍をしてキャンバスから立体までを生み出してきた。清川あさみは、写真や雑誌、布に刺繍を施す独自の手法で知られており、ファッションデザイナー山縣良和主宰の〈ここのがっこう〉で学んだアーティストの津野青嵐は、欧州最大のコンペティション『ITS』で日本唯一のファイナリストに選出された経歴の持ち主で、デニムを全て解いて糸にしたものを編み直し、3Dペンを使って形作った立体作品を代表作に持つ。
それぞれのアーティストにとっても作品を生み出す材料でもある“糸”は、ノスタルジー溢れる街並みのなかでどのように映し出されるのだろうか。日本一、富士山に近い富士吉田市にこの機会に足を運んで、その作品の数々と対峙してみてほしい。
FUJI TEXTILE WEEK 2023
山梨県富士吉田市下吉田本町通り周辺。2023年11月23日~12月17日。10時〜16時(入場受付は終了30分前まで)。月曜休。入場料 1,200円(高校生以下無料)。