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名作家具が一堂に会した空間で、フィン・ユールとデンマークデザインの変遷を辿る。|小西亜希子の北欧デザイン通信

| Design | casabrutus.com | photo_Masanori Kaneshita   text_Akiko Konishi   editor_Keiko Kusano

彫刻的で美しい家具を数多く手がけ、デンマークデザインの黄金期を彩ったフィン・ユール。現在〈東京都美術館〉で開催中の『フィン・ユールとデンマークの椅子』展には、ユールの作品とデンマーク家具の名作が一堂に会した。圧巻の展示内容から、ユールとデンマークデザインの系譜およびその変遷を辿る。

展示より、フィン・ユールの代表的な家具でスタイリングされたコーナー。彫刻的で優美なフォルムを得意とし、時には照明や木製の日用品などもデザインした。
展示より、フィン・ユールの代表的な家具でスタイリングされたコーナー。彫刻的で優美なフォルムを得意とし、時には照明や木製の日用品などもデザインした。
フィン・ユールは1912年にコペンハーゲンの瀟洒な街、フレデリクスベアで生まれた。幼い頃から美術や絵画に多く触れ、当初は美術史家を目指していたが、父親の反対にあいデンマーク王立芸術アカデミーで建築を学んだ。在学中、教鞭を執っていたヴィルヘルム・ラウリッツェンにその才能を認められ、彼の事務所に入所。以降、約11年間在籍し、〈カストラップ空港〉や〈ラジオハウス〉など、デンマーク建築史に残る作品をともに手がけている。

事務所に在籍中の1930年代以降の建築作品における意匠や家具には、フィン・ユールがデザインしたと思われる有機的な曲線のソファなどがあり、家具デザイナーとしての片鱗はこの時からすでに現れていたようだ。
展示会場に並んだ、フィン・ユールの手がけた名作椅子の数々。
展示会場に並んだ、フィン・ユールの手がけた名作椅子の数々。
一方、デンマークデザインの変遷をみると、20世紀初頭ドイツで生まれたバウハウスを中心に、建築や芸術、デザインにおける分野ではモダニズム運動が盛んになった。1930年にはスウェーデンの建築家、グンナー・アスプルンドが総監督を務めた『ストックホルム博覧会』を通じ、機能主義が到来を告げる。

本展では、それに呼応する若きデンマーク人デザイナーたちが、伝統から解き放たれ、新しいデザインへと舵を切り発展していく過程が、家具の展示とともにひも解かれていく。
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小西亜希子の北欧デザイン通信illustration Yoshifumi Takeda

小西亜希子

こにし あきこ  1990年代後半からミッドセンチュリー、北欧デザインを専門としたインテリア業界にて活動。MD、商品開発、PR、企画、VMDから、ブランドディレクションまでこなす。著書に『カイ・フランクへの旅』(グラフィック社)。

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