DESIGN
アップサイクルの新たな形。木×レザーのアートオブジェによる新ブランド〈コソンコクス〉が誕生。
July 26, 2022 | Design | casabrutus.com | photo_Yasushi Nagai text_Yoshinao Yamada
北海道の木製家具をリードする〈カンディハウス〉と同じく皮革製品をリードする〈ソメスサドル〉。その2社が共同で新ブランド〈コソンコクス〉を始めます。製造時の端材を活用したアートオブジェをデザインするのは、デザイナーの倉本仁。そこに込めた思いを語ってもらいました。
北海道の中心部に位置する旭川市、そしてそこから南に1時間ほどの距離にある砂川市。この2つの街でものづくりを続けるのが、木製家具で知られる旭川市の〈カンディハウス〉、そして馬具や皮革製品で知られる砂川市の〈ソメスサドル〉だ。両社はともに、明治期の開拓時代に端を発するものづくりの技術を磨き続けてきた。そして木材と皮革という自然素材を活かしたライフスタイル製品を作り続けるという共通点を持つ。過去にもいくつかのコラボレーションを行ってきたが、2022年10月にいよいよ2社共同の新しいブランド〈COSONCO QS(コソンコクス)〉を立ち上げることとなった。
〈コソンコクス〉という聞き慣れない言葉は、アイヌ語で「遠く離れた土地とのコミュニケーション」を意味するという。カンディハウス、ソメスサドルがそれぞれに育んだ技術、感性、精神をつなぐのは、デザイナーの倉本仁とアートディレクターの谷内晴彦。彼らは両社の製造過程で生じる端材を積極的に取り入れ、置物でも玩具でもない、日常に豊かさを与えるアートオブジェを作り上げようという。
〈コソンコクス〉という聞き慣れない言葉は、アイヌ語で「遠く離れた土地とのコミュニケーション」を意味するという。カンディハウス、ソメスサドルがそれぞれに育んだ技術、感性、精神をつなぐのは、デザイナーの倉本仁とアートディレクターの谷内晴彦。彼らは両社の製造過程で生じる端材を積極的に取り入れ、置物でも玩具でもない、日常に豊かさを与えるアートオブジェを作り上げようという。
1964年に創業した〈ソメスサドル〉は、日本で唯一の馬具メーカーだ。北海道において馬は、開拓時には原野を切り拓き、車の普及後も山間部の開発に欠かせない存在であった。その馬と人をつなぐ馬具づくりの技術を同社が継承し、世界の馬具市場を目指したことから社の歴史が始まる。しかしオイルショックや生活様式の変化で、輸出に限っていた馬具は国内市場へシフト。そのなかで馬具の製造販売とともに、一般に向けた皮革製品を作り始めた。
とはいえ、そのものづくりの原点はやはり馬具にある。武豊などの名騎手に愛され、いまも馬具が売上の3割を占めるそう。馬具のなかでも高度な技術を要する鞍は、競馬用で年間1000背、乗馬用で年間100背ほどを製造。3000ほどのパーツを必要とする馬車具一式を納入することもある。馬具がそうであるように、多くの皮革製品も製造ラインのほとんどを一人の職人が一貫して手がけるという。それはつまり、どの職人もすべての技術を持つことに他ならない。だからこそ〈ソメスサドル〉は少量多品種の商品展開が実現できる。そんな彼らが北海道産の木材に目を向け、これからの家具づくりに邁進する〈カンディハウス〉とともに新たな物語を描き始める。
とはいえ、そのものづくりの原点はやはり馬具にある。武豊などの名騎手に愛され、いまも馬具が売上の3割を占めるそう。馬具のなかでも高度な技術を要する鞍は、競馬用で年間1000背、乗馬用で年間100背ほどを製造。3000ほどのパーツを必要とする馬車具一式を納入することもある。馬具がそうであるように、多くの皮革製品も製造ラインのほとんどを一人の職人が一貫して手がけるという。それはつまり、どの職人もすべての技術を持つことに他ならない。だからこそ〈ソメスサドル〉は少量多品種の商品展開が実現できる。そんな彼らが北海道産の木材に目を向け、これからの家具づくりに邁進する〈カンディハウス〉とともに新たな物語を描き始める。
Loading...