DESIGN
工芸のまち、金沢で新スタートした国立工芸館へ。
November 3, 2020 | Design, Art, Travel | casabrutus.com | photo_Satoshi Nagare text_Naoko Aono editor_Keiko Kusano
「さらば」という挨拶とともに東京・竹橋から旅立った〈東京国立近代美術館工芸館〉。それから半年あまり、工芸のまち・金沢で新しい歴史を刻むことになりました。生まれ変わった〈国立工芸館〉を紹介します!
東京・竹橋の〈東京国立近代美術館〉からほど近い、豊かな緑の中にあった〈東京国立近代美術館工芸館〉は今年の春に閉館、最後に開かれた所蔵作品展『パッション20 今みておきたい工芸の想い』では展示室の出口のドアに「さらば」と書いて、1977年の開館以来40年あまりの歴史に別れを告げた。その〈工芸館〉の新しい”家”が10月25日、石川県金沢市に開館した〈国立工芸館〉だ。〈東京国立近代美術館〉の一部門なので正式名称は〈東京国立近代美術館工芸館〉のまま、〈工芸館〉のみが金沢で、〈国立工芸館〉の通称で活動することになる。
竹橋でも旧陸軍の建物を保存・活用していたが、金沢の〈国立工芸館〉も軍の建物を移築・改修したものだ。左右に2つある建物のうち左側の展示棟は「第九師団司令部庁舎」、右側の管理棟は「金沢偕行社(かいこうしゃ)」として使われていた。2つの建物の間にエントランスを増設、観客はここから入って左の展示棟へと向かうことになる。
管理棟の旧・金沢偕行社は将校の社交クラブなどとして使われていた建物。多目的スペースのシャンデリアなどは失われていたので、他の地域に残っている偕行社のものなどを参考に作り直している。両方とも外壁や窓枠は塗り替えられていたが、今回の移築改修に伴う調査の結果で判明した元の色に塗り直した。
展示棟の中央には竹橋の〈工芸館〉にあったものとよく似た階段室がある。階段はケヤキの手すりなど、100年以上前から使われてきた木材をできるだけそのまま活かした、時の流れを感じさせるもの。見上げると漆喰の浮き彫りで装飾された天井からシャンデリアが下がる。
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