CULTURE
築86年の古いビルに森岡書店銀座店が誕生。
May 11, 2015 | Culture | a wall newspaper | photo_Tomo Ishiwatari text_Keiko Kamijo editor_Akio Mitomi
「一冊の本を売る書店」を開店した場所は、元〈日本工房〉が編集室を構えていたビルでした。
銀座の端っこ。歌舞伎座や建ち並ぶオフィスビルを抜け、ひっそりとした小道へ。このエリアは戦後間もなくまで木挽町と呼ばれ、芝居小屋が多く建ち並んでいた。現在でも当時の風情を残す〈鈴木ビル〉(1929年)の1階部分に、〈森岡書店銀座店〉がオープンするというので、森岡督行さんにお話をうかがってきた。
Q なぜ、銀座店をオープンすることになったのですか?
鈴木ビルは、名取洋之助が率いた編集プロダクション〈日本工房〉が事務所を構えていたことのある場所。以前に地下の事務所スペースを借りて1日だけ対外宣伝誌『NIPPON』の展示をしたことがあって、そのときに大家さんと知り合いになりました。それとは別に〈スマイルズ〉の遠山正道さんと一緒に何かやりたいと話していて。昨年の12月に、大家さんから40年間入居していた喫茶店が退去するという連絡をもらって。もう、これは呼ばれたなと。(笑)
Q 〈鈴木ビル〉は独特な和洋折衷感を醸し出していますね。これは時代の特徴なのでしょうか。
面白い建築ですよね。設計をしたのは新定蔵・山中節治建築事務所と記載されています。このミックス感というのは、推察するに明治時代の威厳のある西洋建築が出てきた後に、モダンな意匠として日本らしさというか東洋のエッセンスを組み込んだのではと。ビルの上部に馬蹄形の窓があるんですが、それはヨーロッパ風だし、外壁の市松模様のレンガはアールデコ的だし、柱の意匠はアジア風にも見えますよね。見れば見るほどヘンな感じ。
Q 日本工房はいつごろから事務所があったのですか?
1939年からと聞いています。この場所に、名取洋之助や山名文夫、熊田五郎(後の千佳慕)、土門拳、亀倉雄策、河野鷹思がいて、対外宣伝誌の『NIPPON』を作っていたことを想像するだけで感慨深いです。
Q 新しいお店のコンセプトは「一冊の本を売る書店」ということですが。
はい。茅場町の店でも定期的に出版記念の展覧会をして、本に掲載されている商品を一緒に扱ったり、写真集とともにプリントの販売をするようなことはしてきました。そのときに、来るお客さんは自分の好きな著者に会えてすごく喜ばれるし、著者は読者と対話ができる。それで本も売れたら、関わる人がみんな幸せになるんじゃないかと思ったのです。最初の一冊は、刺しゅう作家の沖潤子さんの『PUNK』を扱っています。
鈴木ビルは、名取洋之助が率いた編集プロダクション〈日本工房〉が事務所を構えていたことのある場所。以前に地下の事務所スペースを借りて1日だけ対外宣伝誌『NIPPON』の展示をしたことがあって、そのときに大家さんと知り合いになりました。それとは別に〈スマイルズ〉の遠山正道さんと一緒に何かやりたいと話していて。昨年の12月に、大家さんから40年間入居していた喫茶店が退去するという連絡をもらって。もう、これは呼ばれたなと。(笑)
Q 〈鈴木ビル〉は独特な和洋折衷感を醸し出していますね。これは時代の特徴なのでしょうか。
面白い建築ですよね。設計をしたのは新定蔵・山中節治建築事務所と記載されています。このミックス感というのは、推察するに明治時代の威厳のある西洋建築が出てきた後に、モダンな意匠として日本らしさというか東洋のエッセンスを組み込んだのではと。ビルの上部に馬蹄形の窓があるんですが、それはヨーロッパ風だし、外壁の市松模様のレンガはアールデコ的だし、柱の意匠はアジア風にも見えますよね。見れば見るほどヘンな感じ。
Q 日本工房はいつごろから事務所があったのですか?
1939年からと聞いています。この場所に、名取洋之助や山名文夫、熊田五郎(後の千佳慕)、土門拳、亀倉雄策、河野鷹思がいて、対外宣伝誌の『NIPPON』を作っていたことを想像するだけで感慨深いです。
Q 新しいお店のコンセプトは「一冊の本を売る書店」ということですが。
はい。茅場町の店でも定期的に出版記念の展覧会をして、本に掲載されている商品を一緒に扱ったり、写真集とともにプリントの販売をするようなことはしてきました。そのときに、来るお客さんは自分の好きな著者に会えてすごく喜ばれるし、著者は読者と対話ができる。それで本も売れたら、関わる人がみんな幸せになるんじゃないかと思ったのです。最初の一冊は、刺しゅう作家の沖潤子さんの『PUNK』を扱っています。
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