CULTURE
伝説のカクテルレシピ本。その著者の美学が映画に。
『カーサ ブルータス』2018年5月号より
| Culture | a wall newspaper | photo_Keiko Nakajima(book), Yuko Moriyama(Kayama) text_Kei Sasaki editor_Yuka Uchida
バー界の生ける伝説、チャールズ・シューマン。著書と公開目前の映画を通じ、その魅力を日本のトップバーテンダーが語ります。
チャールズ・シューマンの名を世界に知らしめた名著『シューマンズ バー ブック』。膨大な情報量とカクテルブックらしからぬデザインに世界中のバーマンたちが魅了された。鹿山博康さんもそのひとりだ。
「約15年前、20歳すぎだった自分がバーテンダーを志した時期に買った本の中の1冊。レシピはもちろん、巻末の“バーテンダー”の章を繰り返し読みました。SNS以前の時代、海外のトップバーテンダーの仕事や言葉に触れられる機会は限られていて、そういう意味でも画期的な本でした」
映画『シューマンズ バー ブック』は、シューマンの「バーを巡る旅」を収めたドキュメンタリー。ニューヨーク、ハバナ、パリ、ウィーン、そして東京で彼が訪ねるのは、世界中からゲストを集める人気店ばかりだ。鹿山さんのバー〈ベンフィディック〉も登場する。
「約15年前、20歳すぎだった自分がバーテンダーを志した時期に買った本の中の1冊。レシピはもちろん、巻末の“バーテンダー”の章を繰り返し読みました。SNS以前の時代、海外のトップバーテンダーの仕事や言葉に触れられる機会は限られていて、そういう意味でも画期的な本でした」
映画『シューマンズ バー ブック』は、シューマンの「バーを巡る旅」を収めたドキュメンタリー。ニューヨーク、ハバナ、パリ、ウィーン、そして東京で彼が訪ねるのは、世界中からゲストを集める人気店ばかりだ。鹿山さんのバー〈ベンフィディック〉も登場する。
「あの撮影、アポなしだったんですよ。いきなりシューマンが来たと思ったら、機材を持ったスタッフがぞろぞろついてきて(笑)」
撮影以前にも、シューマンは幾度か鹿山さんの店をを訪れている。
「初めて来てくれたのは3年前。十数年来の憧れの人が自分の店に来るなんて、ちょっと信じられないですよね。スマホを自由に使いこなし、歯に衣着せぬ物言いとそれでも憎まれないチャーミングさで、年齢を感じさせない人です」
撮影以前にも、シューマンは幾度か鹿山さんの店をを訪れている。
「初めて来てくれたのは3年前。十数年来の憧れの人が自分の店に来るなんて、ちょっと信じられないですよね。スマホを自由に使いこなし、歯に衣着せぬ物言いとそれでも憎まれないチャーミングさで、年齢を感じさせない人です」
映画は世界のバーシーンの今を俯瞰する上でも貴重な作品だ。各都市のバーが華やかでスタイリッシュなのに対し、東京のバーはストイックな面が強調されすぎているように感じるが、「それこそが世界に誇る東京独特のバー文化なんです」と、鹿山さん。
「日本のバーテンダーの丁寧で美しい仕事は“ジャパニーズ・バーテンディング”といわれ世界で評価されています。所作や型に重きを置く仕事は訓練なしでは成し得ない。武道や茶道、華道など日本古来の“道”に通じます。映画はシューマンの視点を通じ、きちんとそのことを伝えているんです」
「日本のバーテンダーの丁寧で美しい仕事は“ジャパニーズ・バーテンディング”といわれ世界で評価されています。所作や型に重きを置く仕事は訓練なしでは成し得ない。武道や茶道、華道など日本古来の“道”に通じます。映画はシューマンの視点を通じ、きちんとそのことを伝えているんです」

『シューマンズ バー ブック』
シューマンが世界のバーを巡るドキュメンタリー。製作・脚本・監督:マリーケ・シュレーダー。4月21日よりシアター・イメージフォーラムにて公開。

話してくれた人 : 鹿山博康さん
かやまひろやす 1983年生まれ。西新宿のバー〈ベンフィディック〉〈B&F〉オーナー。カクテルに使うハーブを自ら栽培。海外のカクテルイベントでもゲストバーテンダーとして活躍。日本バーテンダー協会六本木支部長。
