CULTURE
時代を超えて愛される、ロベール・ドアノーの写真と家族の物語。
| Culture | casabrutus.com | text_Keiko Kusano
誰もが一度は見たことがある、雑踏の中での恋人たちの姿をとらえたモノクロームの写真《パリ市庁舎前のキス》。フランスを代表する国民的写真家、ロベール・ドアノーの代表作だ。彼の写真人生の秘密に迫るドキュメンタリー映画『パリが愛した写真家/ロベール・ドアノー〈永遠の3秒〉』が現在公開中だ。
ロベール・ドアノーは、1912年、パリ郊外のジャンティイ生まれ。幼い頃に母を亡くし孤独な少年時代を過ごしていたが、13歳の時に初めてカメラを手にし、たちまち写真にのめり込んでいった。歩き回って日常をとらえる日々。兵役を終えた1934年からは3万人もの人々が働くルノーの巨大工場に勤務し、記録写真を担当する。本作では当時の工場の様子をとらえた貴重な写真や映像が登場するが、ドアノーは既にこの時から経営者側ではなく、額に汗する多くの労働者の立場に立って物事を見つめていたことがわかる。
ルノーには数年勤めたが、夜もカラー写真の撮影と現像の研究にのめり込みすぎてクビになる。そこから、ドアノーの写真家としての人生がスタートした。結婚と同時にパリの南西部に隣接するモンルージュに移り住み、家を兼ねたアトリエを設立。そのアトリエは彼の写真を管理する事務所として今でも現役で、映画の中ではその隅々まで登場する。
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