CULTURE
鈴木大拙の名言「考えるな、…」【本と名言365】
May 10, 2024 | Culture, Design | casabrutus.com | photo_Yuki Sonoyama text_Mariko Uramoto illustration_Yoshifumi Takeda design_Norihiko Shimada(paper)
これまでになかった手法で新しい価値観を提示してきた各界の偉人たちの名言を日替わりで紹介。禅をはじめとする仏教や東洋思想を世界に広めた仏教学者、鈴木大拙。堅苦しく考えず、禅の教えに触れられる大拙の言葉を紹介します。
考えるな、思い煩うな、分別を持つな
禅は「不立文字」を大切にする。つまり文字を頼らず、言葉を超えた本質へと辿り着くため座禅などの修行を重視する。そうした禅の思想を言葉で、さらに英語で伝えるという偉業を成し遂げたのが鈴木大拙だ。「禅とは何か」をテーマに約100冊にも及ぶ著書を出し、欧米人に大きな影響を与えた。
『はじめての大拙 自然のままに生きていく一〇八の言葉』は、大拙の思想に基づいた108の言葉が紹介されている。不思議なことにそこには難しい禅語や仏教用語、専門用語はほとんどなく、日常的な言葉が記されている。そのことについて編者の大熊玄は、「大拙が語る禅は決して学問のなかにあるのではなく、日常生活のなかに生きているもの」だと語っている。
自然や自由、美、愛、苦しみや矛盾などについて語られた言葉は柔らかく、軽やかでありながら、深い意味が凝縮されている。「知性・言葉とともに、無心に生きる」と題した一章の中には、「考えるな、思い煩うな、分別を持つな。そうすれば、心は至るところに行きわたってその全力が働き、つぎつぎと手近の仕事を成就するであろう」というフレーズがある。
分別とは、「善と悪」、「正と誤」「優と劣」といった二元論で分けて考えること。世の中には相対的に観念によって物事を捉えられているが、それらはすべて比較によって生まれたものさしであって、そのもの自体に対する価値判断ではない。そうした捉え方をしている限り人は悩み、苦しみ、迷いの中に陥ってしまう。その概念を手放し、ただ目の前にあることに取り組み、行動すること。そうすることで、一面ではなく多面で物事を捉えることができ、迷いに捉われず、自分がやりたいことに全力で集中できる。頭と心を無にして、感性を研ぎ澄ます時間がクリエイティブな思考を耕す近道になるかもしれない。
禅は「不立文字」を大切にする。つまり文字を頼らず、言葉を超えた本質へと辿り着くため座禅などの修行を重視する。そうした禅の思想を言葉で、さらに英語で伝えるという偉業を成し遂げたのが鈴木大拙だ。「禅とは何か」をテーマに約100冊にも及ぶ著書を出し、欧米人に大きな影響を与えた。
『はじめての大拙 自然のままに生きていく一〇八の言葉』は、大拙の思想に基づいた108の言葉が紹介されている。不思議なことにそこには難しい禅語や仏教用語、専門用語はほとんどなく、日常的な言葉が記されている。そのことについて編者の大熊玄は、「大拙が語る禅は決して学問のなかにあるのではなく、日常生活のなかに生きているもの」だと語っている。
自然や自由、美、愛、苦しみや矛盾などについて語られた言葉は柔らかく、軽やかでありながら、深い意味が凝縮されている。「知性・言葉とともに、無心に生きる」と題した一章の中には、「考えるな、思い煩うな、分別を持つな。そうすれば、心は至るところに行きわたってその全力が働き、つぎつぎと手近の仕事を成就するであろう」というフレーズがある。
分別とは、「善と悪」、「正と誤」「優と劣」といった二元論で分けて考えること。世の中には相対的に観念によって物事を捉えられているが、それらはすべて比較によって生まれたものさしであって、そのもの自体に対する価値判断ではない。そうした捉え方をしている限り人は悩み、苦しみ、迷いの中に陥ってしまう。その概念を手放し、ただ目の前にあることに取り組み、行動すること。そうすることで、一面ではなく多面で物事を捉えることができ、迷いに捉われず、自分がやりたいことに全力で集中できる。頭と心を無にして、感性を研ぎ澄ます時間がクリエイティブな思考を耕す近道になるかもしれない。
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