CULTURE
コンスタンティン・ブランクーシの名言「単純さとは美術における…」【本と名言365】
May 1, 2024 | Culture, Art | casabrutus.com | photo_Yuki Sonoyama text_Mariko Uramoto illustration_Yoshifumi Takeda design_Norihiko Shimada(paper)
これまでになかった手法で新しい価値観を提示してきた各界の偉人たちの名言を日替わりで紹介。現在日本初の大規模個展を開催し、国内での注目を集める彫刻家コンスタンティン・ブランクーシ。余分な要素を削ぎ落とし、解釈の可能性を開くような抽象表現で知られるコンスタンティン・ブランクーシが彫刻表現で目指した。
単純さとは美術における目標ではない。対象の真の意味に迫ろうとすることで単純さに到達するのである。
余分な要素を削ぎ落とした抽象表現で、現代彫刻及びミニマル・アートの礎を築いたと言われるブランクーシ。彼はなぜ、このような表現スタイルにたどり着いたのか。
ルーマニアで生まれたブランクーシは28歳でフランス・パリへ。近代彫刻の父と呼ばれるロダンのアトリエに助手として招き入れられるも短期間で辞去。彫刻を再定義するため独自の道を歩み始める。
ブランクーシが活動を始めた頃は粘土による塑像や、大理石を用いた彫刻制作の分業化が主流だった。ブランクーシも初期はアカデミックな写実性やロダンの影響を受けたブロンズ鋳造を発表していたが、そこから距離を取る形で木や石を直彫りし、ひとりで作品を仕上げるようになる。その背景にはインドやチベット、中国、アフリカなどの非西欧圏から生まれた野生的な造形の影響もあったようだ。以降、自分のアトリエを構え、写実的な表現から離れ、抽象的な作品に取りかかるようになる。
ブランクーシは「真なるものとは、外面的な形ではなく、観念、つまり事物の本質である」と感じていた。そして、人間と自然の形状を観察し、その本質を見出そうとした先にラディカルで単純化された形態が生まれたのだ。
表層的な形から解き放たれたブランクーシの作品には「単純さとは美術における目標ではない。対象の真の意味に迫ろうとすることで単純さに到達するのである」という彼の考えを雄弁に語っている。
余分な要素を削ぎ落とした抽象表現で、現代彫刻及びミニマル・アートの礎を築いたと言われるブランクーシ。彼はなぜ、このような表現スタイルにたどり着いたのか。
ルーマニアで生まれたブランクーシは28歳でフランス・パリへ。近代彫刻の父と呼ばれるロダンのアトリエに助手として招き入れられるも短期間で辞去。彫刻を再定義するため独自の道を歩み始める。
ブランクーシが活動を始めた頃は粘土による塑像や、大理石を用いた彫刻制作の分業化が主流だった。ブランクーシも初期はアカデミックな写実性やロダンの影響を受けたブロンズ鋳造を発表していたが、そこから距離を取る形で木や石を直彫りし、ひとりで作品を仕上げるようになる。その背景にはインドやチベット、中国、アフリカなどの非西欧圏から生まれた野生的な造形の影響もあったようだ。以降、自分のアトリエを構え、写実的な表現から離れ、抽象的な作品に取りかかるようになる。
ブランクーシは「真なるものとは、外面的な形ではなく、観念、つまり事物の本質である」と感じていた。そして、人間と自然の形状を観察し、その本質を見出そうとした先にラディカルで単純化された形態が生まれたのだ。
表層的な形から解き放たれたブランクーシの作品には「単純さとは美術における目標ではない。対象の真の意味に迫ろうとすることで単純さに到達するのである」という彼の考えを雄弁に語っている。
コンスタンティン・ブランクーシ
1876年ルーマニア生まれ。ブカレスト国立美術学校で学んだ後、オーギュスト・ロダンの元で修行し、独立。単純なユニットの反復により構成された『無限柱』シリーズに代表されるような彫刻技術と感情豊かな表現で知られる。1957年没。