CULTURE
【本と名言365】堀内誠一|「絵本の絵っていうのは、…」
March 19, 2024 | Culture, Design | casabrutus.com | photo_Yuki Sonoyama text_Keiko Kamijo illustration_Yoshifumi Takeda design_Norihiko Shimada(paper)
これまでになかった手法で新しい価値観を提示してきた各界の偉人たちの名言を日替わりで紹介。絵本作家であり『an・an』や『POPEYE』『BRUTUS』のロゴデザインを担当したグラフィックデザイナーであった堀内誠一が絵本に込めた思いとは。
絵本の絵っていうのは、たんに事物を示すだけじゃない。(中略)結局のところ子どもの魂を引き上げるってことができなきゃ
ぞうのぐるんぱがいろんな仕事を経験して自分の居場所を見つけていく『ぐるんぱのようちえん』、たろうが動物たちと一緒に元気よくおでかけをする『たろうのおでかけ』、とってもわがままでいたずらっこなロボットのカミイが幼稚園でいろんな騒ぎを起こす『ロボット・カミイ』……。他にもたくさんあるが、堀内誠一の絵本からは、どの絵も画面から飛び出てしまうようなダイナミックな画面で、子どもの生き生きとした生命力が伝わってくる。
1932年に生まれた堀内は、図案家(当時のグラフィックデザイナー)であった父の影響から幼い頃より外国の雑誌や画材、多くの絵本に囲まれて育った。終戦後に初めて就いた職は、新宿伊勢丹百貨店の宣伝課、持ち前のセンスを活かしショーウインドウのディスプレイデザインや伊勢丹のPR誌『BOUQUET』のアートディレクションを担当した。
伊勢丹を退社後にデザイナーとしての活動を本格的に開始。1957年にデザイン会社、アド・センターを設立。堀内は設立メンバーの一人であった。企業のパッケージデザインや雑誌のアートディレクションを担当しており、『週刊平凡』や『平凡パンチ』のファッションページのディレクションを、カメラマンの立木義浩とともに手掛け、ひとつの時代をつくりあげた。それが、後のマガジンハウスの雑誌の仕事につながっていく。数々の雑誌の仕事については、木滑良久が編集を担当した『雑誌づくりの決定的瞬間 堀内誠一の仕事』に詳しい。
こちらは、「こどものとも」(福音館書店)誌上で児童文学者の長谷川摂子と交わされた言葉の中から。「絵本の無限の可能性」と題し、様々な絵について語っていく中で堀内が語ったもの。好きな絵本作家を挙げていくと、マリー・ホール・エッツやトーベ・ヤンソン、山脇百合子といった女性作家が思い浮かぶと堀内はいい、「女の人の持っている、なんかジプシーのお母さんみたいななりふりかわまない野性味っていうの、あると思うんですよね。(中略)高い知性と同時に本能的で直裁な、小さなものへの愛情みたいなものをその絵に感じます」と語る。また、子どもは「官能的」であり、絵本から「五感や言葉とかで触る」のだという。そうした体験が、魂を引き上げることに繋がるのだろう。
本当に一人だったんですか?と聞きたいくらいに幅広く、しかも大量の仕事を手掛け、さらに旅にも行き、深い知識と海外からの新鮮な驚きを私たちに教えてくれた堀内誠一。全身で味わう絵本や、目に飛び込んでくる数々のロゴデザインの多くは、今も健在であり、手に取ることができる。
ぞうのぐるんぱがいろんな仕事を経験して自分の居場所を見つけていく『ぐるんぱのようちえん』、たろうが動物たちと一緒に元気よくおでかけをする『たろうのおでかけ』、とってもわがままでいたずらっこなロボットのカミイが幼稚園でいろんな騒ぎを起こす『ロボット・カミイ』……。他にもたくさんあるが、堀内誠一の絵本からは、どの絵も画面から飛び出てしまうようなダイナミックな画面で、子どもの生き生きとした生命力が伝わってくる。
1932年に生まれた堀内は、図案家(当時のグラフィックデザイナー)であった父の影響から幼い頃より外国の雑誌や画材、多くの絵本に囲まれて育った。終戦後に初めて就いた職は、新宿伊勢丹百貨店の宣伝課、持ち前のセンスを活かしショーウインドウのディスプレイデザインや伊勢丹のPR誌『BOUQUET』のアートディレクションを担当した。
伊勢丹を退社後にデザイナーとしての活動を本格的に開始。1957年にデザイン会社、アド・センターを設立。堀内は設立メンバーの一人であった。企業のパッケージデザインや雑誌のアートディレクションを担当しており、『週刊平凡』や『平凡パンチ』のファッションページのディレクションを、カメラマンの立木義浩とともに手掛け、ひとつの時代をつくりあげた。それが、後のマガジンハウスの雑誌の仕事につながっていく。数々の雑誌の仕事については、木滑良久が編集を担当した『雑誌づくりの決定的瞬間 堀内誠一の仕事』に詳しい。
こちらは、「こどものとも」(福音館書店)誌上で児童文学者の長谷川摂子と交わされた言葉の中から。「絵本の無限の可能性」と題し、様々な絵について語っていく中で堀内が語ったもの。好きな絵本作家を挙げていくと、マリー・ホール・エッツやトーベ・ヤンソン、山脇百合子といった女性作家が思い浮かぶと堀内はいい、「女の人の持っている、なんかジプシーのお母さんみたいななりふりかわまない野性味っていうの、あると思うんですよね。(中略)高い知性と同時に本能的で直裁な、小さなものへの愛情みたいなものをその絵に感じます」と語る。また、子どもは「官能的」であり、絵本から「五感や言葉とかで触る」のだという。そうした体験が、魂を引き上げることに繋がるのだろう。
本当に一人だったんですか?と聞きたいくらいに幅広く、しかも大量の仕事を手掛け、さらに旅にも行き、深い知識と海外からの新鮮な驚きを私たちに教えてくれた堀内誠一。全身で味わう絵本や、目に飛び込んでくる数々のロゴデザインの多くは、今も健在であり、手に取ることができる。
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