CULTURE
【本と名言365】アンリ・マティス|「真の画家にとって最もむずかしいのは、…」
February 12, 2024 | Culture, Art | casabrutus.com | photo_Miyu Yasuda text_Kentaro Wada illustration_Yoshifumi Takeda design_Norihiko Shimada(paper)
これまでになかった手法で新しい価値観を提示してきた各界の偉人たちの名言を日替わりで紹介。「色彩の魔術師」と呼ばれ、巧みな色彩と表現で20世紀の美術界を率いたフランスの芸術家、アンリ・マティス。体が衰えても絵を描くことを諦めなかった、エネルギッシュな画家の美学とは。
真の画家にとって最もむずかしいのは、一本の薔薇を描くことだ。
鮮やかな赤色で画面を覆った《赤いハーモニー》や、しなやかに踊る人物を描いた《ダンス》など、大胆な色づかいと構図で美術史に名を刻むアンリ・マティス。油絵を軸に、切り絵やステンドグラスなどさまざまな技法で生まれた作品群は、故郷フランスにとどまらず、世界各国に根強い愛好家を持つ。
『マティスを追いかけて』の著者、ジェームズ・モーガンもまた、マティスの溢れんばかりの創造力に魅せられた一人だ。アメリカで雑誌編集者、作家として活躍したモーガンは、ある日マティスに心酔。60歳を過ぎた頃、多くの資産や華々しい交友関係も全て捨て去って、妻のベスとともにマティスの足跡を追うべくフランス各地への旅に出る。決意のきっかけは、数々の名作を生み出したマティスの美学そのものにあった。
「われわれが日常に見ているものはすべて、多かれ少なかれそれまでの人生で身についてしまった習慣によって歪められている……ゆがみのないまっすぐな目で見るためには、ある種の勇気が必要だが、その勇気こそが、画家にとって命ともいうべき大切なものなのだ」
従来の写実的な型にはまらない、自由で大胆な作風から「野獣派」と呼ばれたマティス。当時の美術界から好奇の目にさらされようとも、自身の目で物事を観察し、独自のスタイルを求め続ける。その力強くゆるぎない姿勢こそが、今もなお多くの人を魅了する求心力になっているのだろう。
鮮やかな赤色で画面を覆った《赤いハーモニー》や、しなやかに踊る人物を描いた《ダンス》など、大胆な色づかいと構図で美術史に名を刻むアンリ・マティス。油絵を軸に、切り絵やステンドグラスなどさまざまな技法で生まれた作品群は、故郷フランスにとどまらず、世界各国に根強い愛好家を持つ。
『マティスを追いかけて』の著者、ジェームズ・モーガンもまた、マティスの溢れんばかりの創造力に魅せられた一人だ。アメリカで雑誌編集者、作家として活躍したモーガンは、ある日マティスに心酔。60歳を過ぎた頃、多くの資産や華々しい交友関係も全て捨て去って、妻のベスとともにマティスの足跡を追うべくフランス各地への旅に出る。決意のきっかけは、数々の名作を生み出したマティスの美学そのものにあった。
「われわれが日常に見ているものはすべて、多かれ少なかれそれまでの人生で身についてしまった習慣によって歪められている……ゆがみのないまっすぐな目で見るためには、ある種の勇気が必要だが、その勇気こそが、画家にとって命ともいうべき大切なものなのだ」
従来の写実的な型にはまらない、自由で大胆な作風から「野獣派」と呼ばれたマティス。当時の美術界から好奇の目にさらされようとも、自身の目で物事を観察し、独自のスタイルを求め続ける。その力強くゆるぎない姿勢こそが、今もなお多くの人を魅了する求心力になっているのだろう。
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