CULTURE
【本と名言365】畑正憲(ムツゴロウさん)|「いつも正しくあろうとするのは、小さな常識だ。…」
February 6, 2024 | Culture | casabrutus.com | photo_Miyu Yasuda text_Kentaro Wada illustration_Yoshifumi Takeda design_Norihiko Shimada(paper)
これまでになかった手法で新しい価値観を提示してきた各界の偉人たちの名言を日替わりで紹介するこの企画。今回は「ムツゴロウさん」の愛称で親しまれ、天真爛漫な動物研究家として一世を風靡した畑正憲。作家、プロ雀士の顔も持ち、エッセイや児童向け小説を数多く刊行しながら、プロ麻雀連盟最高顧問も務めたなんともユニークかつ多才な人物だ。比類なき人生を駆け抜けた彼が語る、人生にとって本当に大切なものとは。
いつも正しくあろうとするのは、小さな常識だ。大きな常識とは人が人であることだ。愛や信義に背かないことだ。
「ムツゴロウさん」の武勇伝を挙げればきりがない。野生のワニに川へ引きずり込まれ耳に大怪我を負い、ブラジルではアナコンダに首を絞められ、ライオンには中指を食いちぎられる……。一方ひとたび動物の世界を離れ、畑正憲として私生活に戻れば、5日間不眠不休で麻雀を打ち続け、常にタバコをくわえながら原稿用紙に筆を走らせる。「奇天烈」という言葉がこれほどに似合う人物は他にいない! それほどに畑の人生は型破りだった。
1935年、福岡県に生まれ、医師だった父の赴任に連れ立って幼少期を満洲国で過ごした畑。帰国後に東京大学へ進学すると動物学を専攻し、大学院ではアメーバの研究に携わった。文筆業に専念し始めたのは、出版社で会社員時代を過ごして数年経った頃。1967年に『われら動物みな兄弟』を刊行し、翌年に日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。これを機に北海道へと移り住み、動物と暮らしながら作家活動を行うことになる。
畑正憲といえば動物という印象が強いが、ライフワークでもあるエッセイには人々の暮らしにまつわる出来事を記したものも多い。家族や知人、旅先で出会った人々との交流、社会問題と、ボーダーレスなテーマを畑独自の切り口で綴る。そのどれもが大らかで優しく、そして時にはナイフのように鋭い。あるエッセイでは「この世で大切なのは、ごく単純なもの」と綴った畑。どれだけ破天荒な逸話を残そうとも、人生にとって大事なことはもっと根源にある。「ムツゴロウさん」が生涯貫いたのは、自然も人もを愛しみ、正義を持って力強く生きることだった。
「ムツゴロウさん」の武勇伝を挙げればきりがない。野生のワニに川へ引きずり込まれ耳に大怪我を負い、ブラジルではアナコンダに首を絞められ、ライオンには中指を食いちぎられる……。一方ひとたび動物の世界を離れ、畑正憲として私生活に戻れば、5日間不眠不休で麻雀を打ち続け、常にタバコをくわえながら原稿用紙に筆を走らせる。「奇天烈」という言葉がこれほどに似合う人物は他にいない! それほどに畑の人生は型破りだった。
1935年、福岡県に生まれ、医師だった父の赴任に連れ立って幼少期を満洲国で過ごした畑。帰国後に東京大学へ進学すると動物学を専攻し、大学院ではアメーバの研究に携わった。文筆業に専念し始めたのは、出版社で会社員時代を過ごして数年経った頃。1967年に『われら動物みな兄弟』を刊行し、翌年に日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。これを機に北海道へと移り住み、動物と暮らしながら作家活動を行うことになる。
畑正憲といえば動物という印象が強いが、ライフワークでもあるエッセイには人々の暮らしにまつわる出来事を記したものも多い。家族や知人、旅先で出会った人々との交流、社会問題と、ボーダーレスなテーマを畑独自の切り口で綴る。そのどれもが大らかで優しく、そして時にはナイフのように鋭い。あるエッセイでは「この世で大切なのは、ごく単純なもの」と綴った畑。どれだけ破天荒な逸話を残そうとも、人生にとって大事なことはもっと根源にある。「ムツゴロウさん」が生涯貫いたのは、自然も人もを愛しみ、正義を持って力強く生きることだった。
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