CULTURE
【本と名言365】リサ・ラーソン|「周りから必要とされるって…」
November 25, 2023 | Culture | casabrutus.com | photo_Miyu Yasuda text_Yoko Fujimori illustration_Yoshifumi Takeda design_Norihiko Shimada(paper)
これまでになかった手法で新しい価値観を提示してきた各界の偉人たちの名言を日替わりで紹介。動物や子どもたちを描写した温かくチャーミングなフィギュア作品で知られる陶芸家、リサ・ラーソン。彼女の作品がこれほどまでに日本で愛される理由をひも解く。
周りから必要とされるってとても素敵なこと。たぶん、それを感じられなければ陶芸を続けてこなかったと思うの。
「北欧デザイン」を語るうえで必ずや登場する人物の一人、陶芸家リサ・ラーソン。「セラミックはたぶん一番エキサイティングな素材だと思う」と自身が語る通り、美術大学で陶芸と運命的な出会いを果たし、卒業後はスウェーデン随一の名窯〈グスタフスベリ〉から誘われアーティストとして入社。彼女の稀有な才能を見抜き、声をかけたのは当時〈グスタフスベリ〉のアート・ディレクターを務めていた著名デザイナー、スティグ・リンドベリだった。
〈グスタフスベリ〉に在籍した26年間で、彼女は動物や子どもなどを描写したフィギュアを精力的に発表し、猫のミア(「STORA ZOO」シリーズ)やライオン(「AFRICA」シリーズ)など、多くのヒット作を創り出した。こうしたフィギュアが特に日本で人気が高く、本国スウェーデンにも勝るほどの愛され方をしているのはなぜなのか。
たとえば彼女が作る動物たちは、一瞬の表情や佇まいが巧みに抽象化、またはデフォルメされ、目が合うと思わずふふっと微笑んでしまうユーモラスな表情を浮かべている。かわいい、けれど媚びていない。
「長年の日本のモノに対する尊敬は、手に持った時の感覚や蝕感を大切にしたいと思う、私のデザインに繋がっているかもしれないわね」
リサ自身が民藝運動の “用の美”に魅せられ、日本の美意識へ深い理解を持つことが、作品に親和性をもたらしているのかもしれない。スベスベ、あるいはザラザラと、手に取った時の感触や、手のひらでぎゅっと包み込めるサイズ感。そうしたもののすべてを積み重ねて完成する一つの形は、陶器であることを忘れるほどの温かさや柔らかさを湛えている。
「私の作品は自己欲望のためだけのものではない。それが(多くの優れたプロダクトデザインを生んだ)〈グスタフスベリ〉でアーティストであった、自分の強さだと思うから」
作品を手にする人たちの生活とともに生きる彼女のフィギアは、鑑賞するアートでなく、“用の美”に通じる親しさがある。そうした佇まいに私たちはふと、共鳴してしまうのだろう。
「北欧デザイン」を語るうえで必ずや登場する人物の一人、陶芸家リサ・ラーソン。「セラミックはたぶん一番エキサイティングな素材だと思う」と自身が語る通り、美術大学で陶芸と運命的な出会いを果たし、卒業後はスウェーデン随一の名窯〈グスタフスベリ〉から誘われアーティストとして入社。彼女の稀有な才能を見抜き、声をかけたのは当時〈グスタフスベリ〉のアート・ディレクターを務めていた著名デザイナー、スティグ・リンドベリだった。
〈グスタフスベリ〉に在籍した26年間で、彼女は動物や子どもなどを描写したフィギュアを精力的に発表し、猫のミア(「STORA ZOO」シリーズ)やライオン(「AFRICA」シリーズ)など、多くのヒット作を創り出した。こうしたフィギュアが特に日本で人気が高く、本国スウェーデンにも勝るほどの愛され方をしているのはなぜなのか。
たとえば彼女が作る動物たちは、一瞬の表情や佇まいが巧みに抽象化、またはデフォルメされ、目が合うと思わずふふっと微笑んでしまうユーモラスな表情を浮かべている。かわいい、けれど媚びていない。
「長年の日本のモノに対する尊敬は、手に持った時の感覚や蝕感を大切にしたいと思う、私のデザインに繋がっているかもしれないわね」
リサ自身が民藝運動の “用の美”に魅せられ、日本の美意識へ深い理解を持つことが、作品に親和性をもたらしているのかもしれない。スベスベ、あるいはザラザラと、手に取った時の感触や、手のひらでぎゅっと包み込めるサイズ感。そうしたもののすべてを積み重ねて完成する一つの形は、陶器であることを忘れるほどの温かさや柔らかさを湛えている。
「私の作品は自己欲望のためだけのものではない。それが(多くの優れたプロダクトデザインを生んだ)〈グスタフスベリ〉でアーティストであった、自分の強さだと思うから」
作品を手にする人たちの生活とともに生きる彼女のフィギアは、鑑賞するアートでなく、“用の美”に通じる親しさがある。そうした佇まいに私たちはふと、共鳴してしまうのだろう。
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