CULTURE
【本と名言365】白洲正子|「美に東西はないように…」
October 22, 2023 | Culture | casabrutus.com | photo_Miyu Yasuda text_Mariko Uramoto illustration_Yoshifumi Takeda design_Norihiko Shimada(paper)
これまでになかった手法で、新しい価値観を提示してきた各界の偉人たちの名言を日替わりで紹介。卓越した鑑識眼を持ち、骨董蒐集や文筆活動において活躍した白洲正子。若くして国際人としての教養を身につけ、着物をこよなく愛した目利きが説く「好い趣味」とは?
美に東西はないように、好い趣味というのは世界共通なものです
4歳から能に親しみ、14歳で女性で初めて能の舞台に立ったことで知られる白洲正子。欧米の教育に触れ、帰国後に白洲次郎と運命の出会いを果たして結婚。その後、小林秀雄、青山二郎ら数多くの文化人や芸術家と親交を深め、感性に磨きをかけた。その研ぎ澄まされた鑑識眼を持って芸能や芸術を論じ、多くの随筆を上梓。行動派で知られ、自分の目で見て、足を運び、執筆する姿勢は終生変わらなかった。そうして培われた感覚は着るものにも貫かれていた。
幼少より能楽の手解きを受けた令嬢の正子は、華美で格の高い晴れ着を好んでいたように思われるが、何より愛したのが結城紬や小千谷縮、絣といった普段着だ。骨董の世界に没頭し、自身なりに生活に取り込んでいったように、着物もまた、世間の評価ではなく、自分に似合うかどうかを何より大事にした。さらに、着物に関する“決まり事”にも捉われなかった。衣紋は抜かず、襟元はきっちり締め、半幅帯を合わせてどこにでも行く。
若い頃から海外の文化に触れ、日本人とは何か?を考え続けてきた白洲正子。「本当に国際的というのは、自分の国を、あるいは自分自身を知ることであり、外国語が巧くなることでも、外人の真似をすることでもない」、「よい趣味というものは、世界中共通している。和服とか洋服とか、わけて考えるのが、そもそも観念的なことで、粋とシックに区別はない」と語っていた。白洲正子が語った言葉からは背伸びをしないこと、自分好みのものを見つける大切さが伝わってくる。
※『白洲正子全集 第二巻』「日本のきれ」
4歳から能に親しみ、14歳で女性で初めて能の舞台に立ったことで知られる白洲正子。欧米の教育に触れ、帰国後に白洲次郎と運命の出会いを果たして結婚。その後、小林秀雄、青山二郎ら数多くの文化人や芸術家と親交を深め、感性に磨きをかけた。その研ぎ澄まされた鑑識眼を持って芸能や芸術を論じ、多くの随筆を上梓。行動派で知られ、自分の目で見て、足を運び、執筆する姿勢は終生変わらなかった。そうして培われた感覚は着るものにも貫かれていた。
幼少より能楽の手解きを受けた令嬢の正子は、華美で格の高い晴れ着を好んでいたように思われるが、何より愛したのが結城紬や小千谷縮、絣といった普段着だ。骨董の世界に没頭し、自身なりに生活に取り込んでいったように、着物もまた、世間の評価ではなく、自分に似合うかどうかを何より大事にした。さらに、着物に関する“決まり事”にも捉われなかった。衣紋は抜かず、襟元はきっちり締め、半幅帯を合わせてどこにでも行く。
若い頃から海外の文化に触れ、日本人とは何か?を考え続けてきた白洲正子。「本当に国際的というのは、自分の国を、あるいは自分自身を知ることであり、外国語が巧くなることでも、外人の真似をすることでもない」、「よい趣味というものは、世界中共通している。和服とか洋服とか、わけて考えるのが、そもそも観念的なことで、粋とシックに区別はない」と語っていた。白洲正子が語った言葉からは背伸びをしないこと、自分好みのものを見つける大切さが伝わってくる。
※『白洲正子全集 第二巻』「日本のきれ」
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