CULTURE
【本と名言365】ディーター・ラムス|「レス アンド モア」
October 11, 2023 | Culture | photo_Miyu Yasuda text_Yoshinao Yamada illustration_Yoshifumi Takeda design_Norihiko Shimada(paper)
これまでになかった手法で、新しい価値観を提示してきた各界の偉人たちの名言を日替わりで紹介。戦後ドイツから世界に大きな影響を与えた家具メーカー〈ブラウン〉で数々の名作をデザインしたディーター・ラムス。いまなお多くのデザイナーに影響を与えるデザイナーの哲学は、普遍的なものづくりの真髄を教えてくれるものです。
レス アンド モア
第二次世界大戦後、人々の生活を豊かにすることを目的にモダンデザインの考えはさまざまな分野に波及した。なかでもインダストリアルデザインの分野において大きな注目を集めた存在がドイツの家電メーカー〈ブラウン〉だ。そして同社のデザイナーとして数々の名作をデザインしたディーター・ラムスの仕事は、いまも世界のデザインに大きな影響を与えている。
ラムスは大工であった祖父の影響を受け、建築やインテリアデザインを学んだ。卒業後は建築家の事務所に勤めたが、友人の薦めもあって〈ブラウン〉に職を求める。当時の〈ブラウン〉もまた、バウハウスの理念を継承するデザインアカデミー〈ウルム造形大学〉のハンス・グジェロやオトル・アイヒャーらとともに今後を模索する時期にあった。入社翌年の1956年、ラムスはグジェロとともにデザインしたオーディオシステム《SK4》を発表。はじめて手がけたプロダクトは、後に世界のデザインミュージアムに所蔵される代表作となった。
1995年までデザイン部門のチーフを務めたラムスは、オーディオシステム、ライター、電卓、テレビなど、時代を変えた製品を多数手がけた。彼がデザインに関わった1955年から1995年までに〈ブラウン〉が製造販売した製品は1272超とされ、そのうち514点をラムズもしくは彼がメンバーのチームがデザインをしている。さらにラムスがウォールマウント式収納システム家具で知られる〈ヴィツゥ〉で手がけた家具類を含むと、その数はさらに増える。
ラムスは「Less and More」を哲学に、プロダクトデザインを追求した。この言葉は、ヴァルター・グロピウス、ミース・ファン・デル・ローエ、ル・コルビュジエも在籍した建築家のペーター・ベーレンスの言葉を引用したものだ。ラムスは一方で「Less but Better」とも語る。彼はその信念を追求することで、デザインとは何か、何ができるか、何をすべきか、という基本をも定義したといえる。なによりそのデザインは、求める時には寄り添い、必要としていないときは静かに消えるものだ。その時代を超えたデザインは、これからも私たちの生活における大きな指針として残り続ける。
第二次世界大戦後、人々の生活を豊かにすることを目的にモダンデザインの考えはさまざまな分野に波及した。なかでもインダストリアルデザインの分野において大きな注目を集めた存在がドイツの家電メーカー〈ブラウン〉だ。そして同社のデザイナーとして数々の名作をデザインしたディーター・ラムスの仕事は、いまも世界のデザインに大きな影響を与えている。
ラムスは大工であった祖父の影響を受け、建築やインテリアデザインを学んだ。卒業後は建築家の事務所に勤めたが、友人の薦めもあって〈ブラウン〉に職を求める。当時の〈ブラウン〉もまた、バウハウスの理念を継承するデザインアカデミー〈ウルム造形大学〉のハンス・グジェロやオトル・アイヒャーらとともに今後を模索する時期にあった。入社翌年の1956年、ラムスはグジェロとともにデザインしたオーディオシステム《SK4》を発表。はじめて手がけたプロダクトは、後に世界のデザインミュージアムに所蔵される代表作となった。
1995年までデザイン部門のチーフを務めたラムスは、オーディオシステム、ライター、電卓、テレビなど、時代を変えた製品を多数手がけた。彼がデザインに関わった1955年から1995年までに〈ブラウン〉が製造販売した製品は1272超とされ、そのうち514点をラムズもしくは彼がメンバーのチームがデザインをしている。さらにラムスがウォールマウント式収納システム家具で知られる〈ヴィツゥ〉で手がけた家具類を含むと、その数はさらに増える。
ラムスは「Less and More」を哲学に、プロダクトデザインを追求した。この言葉は、ヴァルター・グロピウス、ミース・ファン・デル・ローエ、ル・コルビュジエも在籍した建築家のペーター・ベーレンスの言葉を引用したものだ。ラムスは一方で「Less but Better」とも語る。彼はその信念を追求することで、デザインとは何か、何ができるか、何をすべきか、という基本をも定義したといえる。なによりそのデザインは、求める時には寄り添い、必要としていないときは静かに消えるものだ。その時代を超えたデザインは、これからも私たちの生活における大きな指針として残り続ける。
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