CULTURE
【本と名言365】ウィリアム・モリス|「豊かさと神秘こそが、すべての…」
October 5, 2023 | Culture | casabrutus.com | photo_Miyu Yasuda text_Mariko Uramoto illustration_Yoshifumi Takeda design_Norihiko Shimada(paper)
これまでになかった手法で、新しい価値観を提示してきた各界の偉人たちの名言を日替わりで紹介。工芸とアートを通じて人々の生活を豊かにし、社会を改善するための道を切り拓いたデザイナー、ウィリアム・モリス。パターン制作の中でもっとも大切にしていたこととは。
豊かさと神秘こそが、すべての模様作品のなかで一番大切なもの
19世紀のイギリスで活動したウィリアム・モリスは美術品や家具、テキスタイルデザインの分野で才能を発揮した。アーツ・アンドクラフツ運動の構想者として、産業革命の結果として大量生産による質の低下を批判し、「生活に必要なものこそ美しくあるべき」と主張。失われつつあった伝統的な手仕事の中に美を見出し、生活と芸術の一体化を目指した。自身の工房を設立し、職人たちと協力して、美術品や家具、タペストリーを製造。手工業に回帰し、生活の芸術化を推進する思想に基づいた運動は工業化に対抗する手段として世界中に広がっていった。
壁紙や織物などモリスが手がけたパターン芸術は樹木や草花、鳥など自然界をモチーフにしたものが多い。その理由として、産業化によって劣悪な住環境や労働環境が広がりを見せていたことが挙げられる。誰しも理想とする自然豊かな庭を作れたらいいが、そこには空間的・経済的な制約を伴う場合がある。だから、自然の要素を用いたパターン芸術を展開し、家庭に取り入れやすくしたのだ。彼が1882年に行った講演「パターン・デザイニングの歴史」では「豊かさと神秘こそが、すべての模様作品のなかで一番大切なもの」と説いた。その背景には、豊かさと神秘を持つ自然の美しさを表現するために装飾芸術がある、という思いが込められている。自然界からのインスピレーションを多大に受けたモリスのパターンは、現代においても空間に独特の温かみと居心地の良さをもたらす。
19世紀のイギリスで活動したウィリアム・モリスは美術品や家具、テキスタイルデザインの分野で才能を発揮した。アーツ・アンドクラフツ運動の構想者として、産業革命の結果として大量生産による質の低下を批判し、「生活に必要なものこそ美しくあるべき」と主張。失われつつあった伝統的な手仕事の中に美を見出し、生活と芸術の一体化を目指した。自身の工房を設立し、職人たちと協力して、美術品や家具、タペストリーを製造。手工業に回帰し、生活の芸術化を推進する思想に基づいた運動は工業化に対抗する手段として世界中に広がっていった。
壁紙や織物などモリスが手がけたパターン芸術は樹木や草花、鳥など自然界をモチーフにしたものが多い。その理由として、産業化によって劣悪な住環境や労働環境が広がりを見せていたことが挙げられる。誰しも理想とする自然豊かな庭を作れたらいいが、そこには空間的・経済的な制約を伴う場合がある。だから、自然の要素を用いたパターン芸術を展開し、家庭に取り入れやすくしたのだ。彼が1882年に行った講演「パターン・デザイニングの歴史」では「豊かさと神秘こそが、すべての模様作品のなかで一番大切なもの」と説いた。その背景には、豊かさと神秘を持つ自然の美しさを表現するために装飾芸術がある、という思いが込められている。自然界からのインスピレーションを多大に受けたモリスのパターンは、現代においても空間に独特の温かみと居心地の良さをもたらす。
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