CULTURE
【本と名言365】ポール・ランド|「デザインとは、あらゆる芸術における…」
September 21, 2023 | Culture | casabrutus.com | photo_Miyu Yasuda text_Keiko Kamijo illustration_Yoshifumi Takeda design_Norihiko Shimada(paper)
これまでになかった手法で、新しい価値観を提示してきた各界の偉人たちの名言を日替わりで紹介。IBMやABC等のブランディングを手掛け、グラフィックデザイン界に多大なる影響を残したポール・ランドの本質を突いた哲学について。
デザインとは、あらゆる芸術における、形と中身の操作なんだ。
ポール・ランドという名前は知らずとも、黒い地の上に目と蜂とストライプのMが並んだIBMのロゴや丸の中に丸みを帯びた小文字でサンセリフ(ひげのない)のabcという文字が並んだABCのロゴ、または切り紙でつくったような愛らしいライオンの表紙が鮮烈な印象を残す『きこえる!きこえる!』(アン・ランド作、ポール・ランド絵、谷川俊太郎訳)という絵本で見たことがある人もいるだろう。数多くの企業のロゴを手掛け、20世紀のグラフィックデザインに最も影響を与えたデザイナーの一人とされている。
この言葉は彼が1995年にアリゾナ州立大学で行われた、ディスカッション講義で語られたものだ。この講義は、著者であるマイケル・クローガーとの対話を中心に、学生たちの質問を交えながら進められた。デザインの基礎として何を教えるかという問いに対し、ランドは「デザインは関係性だ。そこからデザインは始まる」や「あらゆることがデザインなんだ。あらゆることが!」と言い、対話の中でデザインの定義について触れる。そして、画家で建築家のジョルジュ・ヴァザーリの「デザインは基盤、すなわちすべての芸術、絵画、ダンス、彫刻、著作のおおもと」だという言葉を引き合いに出しながら、自身のデザイン論に迫っていく。教え子であるジェシカ・ヘルファンドは「ポールからのいちばんの教えは、本当のものの見方——深く、厳しく、刺すように見るということ」と述べる。
デザインが関係性であることから、ランドはグラフィックデザインを学ぶ学生に「博識であることは大事だ」と言いデザイン史や美術史だけでなく、美学や哲学などの読書を勧める。そして、何よりも重要なのは「手を使うこと」だと加える。時に鋭く厳しい指摘をしながらも、ユーモアを交えて語り、長年教壇に立っていたランドの優しさは文字からも伝わってくる。幅広くデザインをとらえ、本質を心得ていた彼の言葉は、今も色褪せない。
ポール・ランドという名前は知らずとも、黒い地の上に目と蜂とストライプのMが並んだIBMのロゴや丸の中に丸みを帯びた小文字でサンセリフ(ひげのない)のabcという文字が並んだABCのロゴ、または切り紙でつくったような愛らしいライオンの表紙が鮮烈な印象を残す『きこえる!きこえる!』(アン・ランド作、ポール・ランド絵、谷川俊太郎訳)という絵本で見たことがある人もいるだろう。数多くの企業のロゴを手掛け、20世紀のグラフィックデザインに最も影響を与えたデザイナーの一人とされている。
この言葉は彼が1995年にアリゾナ州立大学で行われた、ディスカッション講義で語られたものだ。この講義は、著者であるマイケル・クローガーとの対話を中心に、学生たちの質問を交えながら進められた。デザインの基礎として何を教えるかという問いに対し、ランドは「デザインは関係性だ。そこからデザインは始まる」や「あらゆることがデザインなんだ。あらゆることが!」と言い、対話の中でデザインの定義について触れる。そして、画家で建築家のジョルジュ・ヴァザーリの「デザインは基盤、すなわちすべての芸術、絵画、ダンス、彫刻、著作のおおもと」だという言葉を引き合いに出しながら、自身のデザイン論に迫っていく。教え子であるジェシカ・ヘルファンドは「ポールからのいちばんの教えは、本当のものの見方——深く、厳しく、刺すように見るということ」と述べる。
デザインが関係性であることから、ランドはグラフィックデザインを学ぶ学生に「博識であることは大事だ」と言いデザイン史や美術史だけでなく、美学や哲学などの読書を勧める。そして、何よりも重要なのは「手を使うこと」だと加える。時に鋭く厳しい指摘をしながらも、ユーモアを交えて語り、長年教壇に立っていたランドの優しさは文字からも伝わってくる。幅広くデザインをとらえ、本質を心得ていた彼の言葉は、今も色褪せない。
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