CULTURE
【本と名言365】ザハ・ハディッド|「誰からも関心を持たれなかった…」
September 11, 2023 | Culture | casabrutus.com | photo_Miyu Yasuda text_Yoshinao Yamada
これまでになかった手法で、新しい価値観を提示してきた各界の偉人たちの名言を日替わりで紹介。先進的な提案で建築の未来を切り拓いたザハ・ハディッド。その先進性を支えたのは、不遇な時代の築いた素地にあったといいます。
誰からも関心を持たれなかった何年何カ月もの間、われわれはすさまじい量のリサーチをやり、そのおかげで新たな発案をし、仕事に取りかかるための偉大な才能を手にしたからです。
いまも国立競技場のコンペで選出された案を惜しむ声が多い建築家、ザハ・ハディッド。その一連の騒動で彼女の名は多くの人の知るところになったが、1980年の独立以降に続けられた提案は実現の有無を問わず建築を次の時代に進めた重要なものばかりだった。その先進性から実現が難しく、生涯を通じて「アンビルトの女王」と揶揄された。さらに女性であること、アラブ圏の出身であることから多くの偏見と闘ったことを何度も語っている。
いまなお時代がハディッドの思考に追いついたとも言いがたい。しかし彼女のインタビューをまとめた『ザハ・ハディッドは語る』において、「無視され侮辱されていたころは、いつもそれは一時的なものだと思っていました。時にはひどく落ち込むこともありましたが、私の消沈状態は長続きしません。私は基本的には楽観主義で、いずれあの状態から脱することがわかっていましたから」と語る。
本書は世界的に活躍するキュレーター、ハンス・ウルリッヒ・オブリストによる複数回のインタビューをまとめたものだ。オブリストが建築家のレム・コールハースとともにハディドへインタンビューをするなかで、コールハースはデジタル化の功罪を問う。ハディッドはドローイングのほうが予測不可能な表現に発展すると前置きをしながら、チームワークで仕事をしていくことの意味を語る。
「誰からも関心を持たれなかった何年何カ月もの間、われわれはすさまじい量のリサーチをやり、そのおかげで新たな発案をし、仕事に取りかかるための偉大な才能を手にしたからです」という言葉は、考え続けることで時代を切り拓いてきた彼女の素地を示すものだ。不屈の精神で戦い続けたハディッドは、常に前を見続けることで新しい建築のあり方を私たちに提示したのだ。
いまも国立競技場のコンペで選出された案を惜しむ声が多い建築家、ザハ・ハディッド。その一連の騒動で彼女の名は多くの人の知るところになったが、1980年の独立以降に続けられた提案は実現の有無を問わず建築を次の時代に進めた重要なものばかりだった。その先進性から実現が難しく、生涯を通じて「アンビルトの女王」と揶揄された。さらに女性であること、アラブ圏の出身であることから多くの偏見と闘ったことを何度も語っている。
いまなお時代がハディッドの思考に追いついたとも言いがたい。しかし彼女のインタビューをまとめた『ザハ・ハディッドは語る』において、「無視され侮辱されていたころは、いつもそれは一時的なものだと思っていました。時にはひどく落ち込むこともありましたが、私の消沈状態は長続きしません。私は基本的には楽観主義で、いずれあの状態から脱することがわかっていましたから」と語る。
本書は世界的に活躍するキュレーター、ハンス・ウルリッヒ・オブリストによる複数回のインタビューをまとめたものだ。オブリストが建築家のレム・コールハースとともにハディドへインタンビューをするなかで、コールハースはデジタル化の功罪を問う。ハディッドはドローイングのほうが予測不可能な表現に発展すると前置きをしながら、チームワークで仕事をしていくことの意味を語る。
「誰からも関心を持たれなかった何年何カ月もの間、われわれはすさまじい量のリサーチをやり、そのおかげで新たな発案をし、仕事に取りかかるための偉大な才能を手にしたからです」という言葉は、考え続けることで時代を切り拓いてきた彼女の素地を示すものだ。不屈の精神で戦い続けたハディッドは、常に前を見続けることで新しい建築のあり方を私たちに提示したのだ。
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