CULTURE
【本と名言365】藤子・F・不二雄|「僕にとっての『SF』は、…」
September 3, 2023 | Culture | casabrutus.com | photo_Miyu Yasuda text_Keiko Kamijo illustration_Yoshifumi Takeda design_Norihiko Shimada(paper)
これまでになかった手法で、新しい価値観を提示してきた各界の偉人たちの名言を日替わりで紹介。『ドラえもん』『パーマン』『キテレツ大百科』等、46年のキャリアの中で5万ページもまんがを描いた藤子・F・不二雄。藤子作品に通底する、「少し(S)不思議(F)」に込めた思い。
僕にとっての「SF」は、サイエンス・フィクションではなくて、「少し不思議な物語」のSとFなのです。
『ドラえもん』を始め、『キテレツ大百科』や『エスパー魔美』そして「SF短編」シリーズなど、誰もが知っている作品を数多く世に残し、まんが界だけでなく幅広い層に影響を与え続けている藤子・F・不二雄。彼のトレードマークと言えばベレー帽。ベレー帽をかぶりパイプを口にくわえる自身の姿は「ドラえもん」等のまんがにも度々登場する。「ベレーはぼくの顔の一部である」というのは藤子が師と仰いだ手塚治虫の言葉で、ベレー帽を被るようになったのも手塚の影響である。
この言葉の初出は、1989年に発行されたまんが、藤子不二雄ランド『少年SF短編』2巻(中央公論社)。藤子は1969年より大人向けの雑誌や少年誌で短編のSF作品を発表していたが、自身のSF観についても度々発言している。雑誌インタビューでも「不思議な話が大好きなんだけれど、かといって幻想文学みたいなものにはあんまり夢中になれない」と述べており、物語のベースが「日常」にあることの大切さを語っている。
それは、藤子のまんがにも通底するもので、『オバケのQ太郎』の主人公正太も、『ドラえもん』ののび太も、『エスパー魔美』の魔美もごく平凡で、どちらかというと目立たない普通の子だ。彼らの日常の中に、少し不思議なことが起こり、愉快痛快なドタバタを巻き起こす。それが、読者である子どもたちの心にグッと刺さり、共感を呼んだのだ。
また、藤子はあふれんばかりのアイデアの源として、幼い頃から親しんだ「本」、「映画」、「古典落語」からの影響を挙げる。中近東の昔話『アラビアンナイト』や中国の古典『西遊記』と並行して、レイ・ブラッドベリやアイザック・アシモフらのSF作品や、ジュール・ヴェルヌ、アムンゼンなどの冒険物語にも親しんだ。
平凡な小学生の日常から恐竜時代や宇宙、未来へと冒険し、様々な人や生き物と出会って、また日常に帰ってくる。藤子・F・不二雄の作品に触れると、心の奥底にある想像力や冒険心がかき立てられるのは、彼の確固たる信念が作品の随所ににじみでているからだろう。
『ドラえもん』を始め、『キテレツ大百科』や『エスパー魔美』そして「SF短編」シリーズなど、誰もが知っている作品を数多く世に残し、まんが界だけでなく幅広い層に影響を与え続けている藤子・F・不二雄。彼のトレードマークと言えばベレー帽。ベレー帽をかぶりパイプを口にくわえる自身の姿は「ドラえもん」等のまんがにも度々登場する。「ベレーはぼくの顔の一部である」というのは藤子が師と仰いだ手塚治虫の言葉で、ベレー帽を被るようになったのも手塚の影響である。
この言葉の初出は、1989年に発行されたまんが、藤子不二雄ランド『少年SF短編』2巻(中央公論社)。藤子は1969年より大人向けの雑誌や少年誌で短編のSF作品を発表していたが、自身のSF観についても度々発言している。雑誌インタビューでも「不思議な話が大好きなんだけれど、かといって幻想文学みたいなものにはあんまり夢中になれない」と述べており、物語のベースが「日常」にあることの大切さを語っている。
それは、藤子のまんがにも通底するもので、『オバケのQ太郎』の主人公正太も、『ドラえもん』ののび太も、『エスパー魔美』の魔美もごく平凡で、どちらかというと目立たない普通の子だ。彼らの日常の中に、少し不思議なことが起こり、愉快痛快なドタバタを巻き起こす。それが、読者である子どもたちの心にグッと刺さり、共感を呼んだのだ。
また、藤子はあふれんばかりのアイデアの源として、幼い頃から親しんだ「本」、「映画」、「古典落語」からの影響を挙げる。中近東の昔話『アラビアンナイト』や中国の古典『西遊記』と並行して、レイ・ブラッドベリやアイザック・アシモフらのSF作品や、ジュール・ヴェルヌ、アムンゼンなどの冒険物語にも親しんだ。
平凡な小学生の日常から恐竜時代や宇宙、未来へと冒険し、様々な人や生き物と出会って、また日常に帰ってくる。藤子・F・不二雄の作品に触れると、心の奥底にある想像力や冒険心がかき立てられるのは、彼の確固たる信念が作品の随所ににじみでているからだろう。
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