CULTURE
BACH・幅允孝による、私設図書館&喫茶がオープン。
『カーサ ブルータス』2023年6月号より
May 16, 2023 | Culture, Design, Food | a wall newspaper | photo_Kiyoshi Nishioka text_Mako Yamato
深い自家焙煎コーヒーと共に、借景の檜林を眺め、読書する。選び抜かれた蔵書3,000冊が並ぶ空間が京都に誕生しました。
「これからも本に携わり続けるなら、時間の流れが遅い場所を作る必要があると、ここ数年で考えるようになったんです」と幅允孝さん。いつの間にかどっぷりと本に向き合うことが減り、読書が進まなくなってきたと、感じていたという。かくして時間の回転数の高い東京とは別に、分室を作ることが計画された。その地は京都。叡山電鉄の小さな駅から川沿いに歩いて10分ほど、川のせせらぎと鳥のさえずりが心地よい場所だ。
完全予約制の私設図書館であり、喫茶でもある〈鈍考 donkou/喫茶 芳〉での時間はスマートロックの扉を開けることから始まる。開けた瞬間、目に飛び込んでくるのは壁一面の本棚と、まるで外かと錯覚させる森の景色。靴を脱いで上がる木の床の足触りが心地よい。外を向いて2脚のコロニアルチェアが置かれ、小上がりの畳とカウンターが控える。設計は建築家・堀部安嗣が手がけた。
完全予約制の私設図書館であり、喫茶でもある〈鈍考 donkou/喫茶 芳〉での時間はスマートロックの扉を開けることから始まる。開けた瞬間、目に飛び込んでくるのは壁一面の本棚と、まるで外かと錯覚させる森の景色。靴を脱いで上がる木の床の足触りが心地よい。外を向いて2脚のコロニアルチェアが置かれ、小上がりの畳とカウンターが控える。設計は建築家・堀部安嗣が手がけた。
「伝えたのは3000冊の本が置けること、喫茶も併設すること、そして時間の流れが遅い場所であることだけ。金輪継ぎなど伝統的な手刻みの工法を用いつつも、開口部に使うピンチブロックや太陽光発電など、古い技と新しい技術が融合した空間が完成しました」
文学から始まり、自然科学、アート、工芸、建築、漫画とカテゴリーごとに分けられて整然と並ぶ本は、幅さんいわく「自分がアーカイブしてきた、手元に置いておきたい本の中から選んだ一軍のスタメン」。安西水丸が渡辺昇時代に発表した『夏の終り-少女』や、大きく影響を受けたジョセフ・コスースの作品集など、幅さん自身の頭の中を覗くようで興味深い。
文学から始まり、自然科学、アート、工芸、建築、漫画とカテゴリーごとに分けられて整然と並ぶ本は、幅さんいわく「自分がアーカイブしてきた、手元に置いておきたい本の中から選んだ一軍のスタメン」。安西水丸が渡辺昇時代に発表した『夏の終り-少女』や、大きく影響を受けたジョセフ・コスースの作品集など、幅さん自身の頭の中を覗くようで興味深い。
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