CULTURE
ベルリンの伝説的なスタジオで〈凛として時雨〉が初の海外制作。
| Culture | a wall newspaper | text_Katsumi Watanabe
試行錯誤のアナログ盤制作の結果に生まれた、新しいサウンドとは。TKさんに聞きました。
Q ベルリンを選んだ理由は?
いつの間にか写真を撮ることが好きになっていて、一昨年ベルリンへ撮影と曲作りに行きました。滞在したアパートメントにピアノがあって、弾いているうちに1曲できたので、そのままレコーディングしました(ソロ作『Contrast』『Fantastic Magic』に収録)。日本で録音した曲と比べると、空気感が全然違っていて、いつかバンドでも海外録音をやってみたいと思っていたんです。
Q 制作を行ったハンザ・スタジオは、デヴィッド・ボウイなども使った名門ですね。
偶然でした(笑)。前からレコーディングのとき、シミュレートリバーブ(有名な会場やスタジオの残響を模した効果を出せる)に“ハンザ・スタジオ”があり、気に入って使っていたんです。スタジオを探す中、ハンザ・スタジオの名前が出てきたので、調べると伝説的な作品がレコーディングされたと知りました。
Q 実際の作業はいかがでした?
ドイツの一般電圧は230Vあり、日本(100V)の倍ありますからね。ブース内の響きもよくて、全然違いました。
Q ハンザ・スタジオはベルリンのどのへんに?
クロイツベルク地区に戦前からある4階建ての建物の一室。スタジオには窓があり、外の景色を眺めながら制作しました。そんな環境は初めてでしたから、すごく快適に感じましたね。レコーディング中、普通に窓が開いていたりして。さすがに僕らはボーカル録りのときだけ閉めましたけど。(笑)
いつの間にか写真を撮ることが好きになっていて、一昨年ベルリンへ撮影と曲作りに行きました。滞在したアパートメントにピアノがあって、弾いているうちに1曲できたので、そのままレコーディングしました(ソロ作『Contrast』『Fantastic Magic』に収録)。日本で録音した曲と比べると、空気感が全然違っていて、いつかバンドでも海外録音をやってみたいと思っていたんです。
Q 制作を行ったハンザ・スタジオは、デヴィッド・ボウイなども使った名門ですね。
偶然でした(笑)。前からレコーディングのとき、シミュレートリバーブ(有名な会場やスタジオの残響を模した効果を出せる)に“ハンザ・スタジオ”があり、気に入って使っていたんです。スタジオを探す中、ハンザ・スタジオの名前が出てきたので、調べると伝説的な作品がレコーディングされたと知りました。
Q 実際の作業はいかがでした?
ドイツの一般電圧は230Vあり、日本(100V)の倍ありますからね。ブース内の響きもよくて、全然違いました。
Q ハンザ・スタジオはベルリンのどのへんに?
クロイツベルク地区に戦前からある4階建ての建物の一室。スタジオには窓があり、外の景色を眺めながら制作しました。そんな環境は初めてでしたから、すごく快適に感じましたね。レコーディング中、普通に窓が開いていたりして。さすがに僕らはボーカル録りのときだけ閉めましたけど。(笑)
Q 作品に影響は?
環境からインスピレーションをもらったと思います。電圧やブースの響きだけではなく、自分の音の作り方や感じ方、進め方も変わっていきましたね。音楽を作るときにストレスは必要だけど、それが環境や景色によって消化され、新しいアイデアにつながりました。歌詞を書いているとき、煮詰まって外へ出かけると、5分くらいでまったく知らない風景に出会うわけです。それでインスピレーションを得られた。もうすべてがいい方向に作用していったと思います。
Q 5曲入りの新作から2曲が抜粋され、アナログ盤7インチ(初回限定生産用)が制作されますね。
ドイツにはまだレコード文化が強く残っていて、ハンザ・スタジオの近くにレコードカッティング用のスタジオがあったので、作ることにしたんです。滞在中の予定にアナログ制作の日程も組み込めば、勢いよく作れる気がして、最初から予定しておいて。
Q CDとは音質が違う?
ソフトに適した音質があるので、スタジオでレコード用とCD用の2種類のミックスを作りました。時雨の音楽は高〜中音域が強いのですが、レコード盤は低音域を中心に音が出るということで、それに合わせて用意して。でも、レコード制作時のエンジニア、マイク・グリンザーさんのところへ持っていくと「低音が足りない」と言われ、再調整することに。また、7インチ盤は特に強すぎる高音域やブレイク(音がいったん止まる箇所)は針飛びや音割れの要因になるという指摘もあった。時雨の音楽では大事なところなので困りましたが(笑)。でも、あがってきたものを聴いてみると、中高域で出す時雨の攻撃性は、しっかりした低音域のおかげで、すごく気持ちのいいハイ(高音)になっていました。荒々しさと勢いは損なわれず、レコードというメディアを通じて、時雨が違ったアウトプットをされる。ベルリンの雰囲気やレコードというものも含め、新しい発見が多かったですね。
環境からインスピレーションをもらったと思います。電圧やブースの響きだけではなく、自分の音の作り方や感じ方、進め方も変わっていきましたね。音楽を作るときにストレスは必要だけど、それが環境や景色によって消化され、新しいアイデアにつながりました。歌詞を書いているとき、煮詰まって外へ出かけると、5分くらいでまったく知らない風景に出会うわけです。それでインスピレーションを得られた。もうすべてがいい方向に作用していったと思います。
Q 5曲入りの新作から2曲が抜粋され、アナログ盤7インチ(初回限定生産用)が制作されますね。
ドイツにはまだレコード文化が強く残っていて、ハンザ・スタジオの近くにレコードカッティング用のスタジオがあったので、作ることにしたんです。滞在中の予定にアナログ制作の日程も組み込めば、勢いよく作れる気がして、最初から予定しておいて。
Q CDとは音質が違う?
ソフトに適した音質があるので、スタジオでレコード用とCD用の2種類のミックスを作りました。時雨の音楽は高〜中音域が強いのですが、レコード盤は低音域を中心に音が出るということで、それに合わせて用意して。でも、レコード制作時のエンジニア、マイク・グリンザーさんのところへ持っていくと「低音が足りない」と言われ、再調整することに。また、7インチ盤は特に強すぎる高音域やブレイク(音がいったん止まる箇所)は針飛びや音割れの要因になるという指摘もあった。時雨の音楽では大事なところなので困りましたが(笑)。でも、あがってきたものを聴いてみると、中高域で出す時雨の攻撃性は、しっかりした低音域のおかげで、すごく気持ちのいいハイ(高音)になっていました。荒々しさと勢いは損なわれず、レコードというメディアを通じて、時雨が違ったアウトプットをされる。ベルリンの雰囲気やレコードというものも含め、新しい発見が多かったですね。

TK
〈凛として時雨〉のボーカリスト&ギタリスト。2002年にバンドを結成。ベスト盤『Best of Tornado』がロングセールスを記録する中、ベルリンで制作したミニアルバム『es or s』を発表。初回生産限定盤には「SOSOS」と「Mirror Frustration」を収録したアナログ盤7インチを封入。
