ART
チョコレートで彫刻をつくるパトリック・ロジェの日本初個展。
June 10, 2018 | Art, Food | casabrutus.com | photo_Nacása & Partners Inc. text_Kanae Hasegawa editor_Keiko Kusano
日本にも多くのファンを持つパトリック・ロジェがチョコレート作りと同じくらい、いやそれ以上?に情熱を注ぐのが彫刻だ。彼の彫刻作品を紹介する展覧会が〈21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー3〉で開催中。
ショコラティエとして“フランス国家最優秀職人章(MOF)”という国のお墨付きをもつパトリック・ロジェ。ロジェは一口で口に収まるボンボンショコラのようなチョコレートがよく知られているが、フランスでは実物サイズの人物や愛嬌あるニワトリ、サルの姿をチョコレートで作り上げるチョコレートの彫刻家としても有名だ。こうしたチョコレート彫刻をもとに、型を起こして作ったのが本展覧会で展示されているブロンズ、銀、アルミニウムでできた彫刻だ。
チョコレートはビロードのようなツヤを持つ素材。でも、長持ちしないから金属で固めるというロジェ。彼にとってチョコレートもブロンズも銀も同じ素材のひとつなのだろう。食材か、食材にならないか、その違いしかない。とはいえ、「彫刻は表面上の形ではなく、本質を探求した末の表現」と言うように、チョコレート彫刻から別の素材の彫刻に変容させる際、どの金属を選ぶかは意識するようだ。たとえば人物や動物の姿は、アルミニウムや銀などのクールな素材よりもブロンズで表現した方が生き物の温度を感じるという具合に。
展示数39点、ずっしりと重みを感じる彫刻作品を目に、もととなっているツヤのあるチョコレート彫刻を空想してみるのも楽しいかもしれない。
展示数39点、ずっしりと重みを感じる彫刻作品を目に、もととなっているツヤのあるチョコレート彫刻を空想してみるのも楽しいかもしれない。
『TRAVELS TRAVEL(LER)』
〈21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー 3〉
パトリック・ロジェ
1968年、フランス出身。ショコラティエ、彫刻家。ブランドのシンボルとして彼のチョコレートにも登場する緑色はカカオの実の色を表現したもの。創作にユズ、生姜など日本の食材を早くから取り入れてきたことでも知られている。