ART
白井晟一の建築と語り合う須田悦弘の木彫の花|青野尚子の今週末見るべきアート
January 30, 2025 | Art, Architecture | casabrutus.com | photo_Satoshi Nagare text_Naoko Aono editor_Keiko Kusano
本物そっくりの雑草や花を木から彫り出す須田悦弘。建築家・白井晟一が設計した〈渋谷区立松濤美術館〉で彼の個展が開かれています。初期の作品から、この建物にあわせて作った新作までが並びます。
多摩美術大学でグラフィックデザインを学んでいた須田悦弘が木彫を始めたのは大学の課題がきっかけだった。お題は「スルメ」。その時に彼はデザインと同じくらい木彫も面白い、と感じたのだそう。卒業制作では細長い空間を作り、その奥に朴の花が置かれた《朴の木》を発表した。
初期作品の一つ、《東京インスタレイシヨン》が最初に展示されたのは美術館やギャラリーではなく、路上だった。銀座の屋外駐車場に細長い“部屋”が置かれていて、中に入ると木彫の朴の葉と実と向き合える。展示空間自体を作品としたのだ。今でこそ、それは一般的になった考え方だけれど、90年代前半の当時はまだ珍しいものだった。展示室では当時のドローイングや記録写真も見られる。当時の情熱が伝わってくる。
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illustration Yoshifumi Takeda
青野尚子
あおのなおこ ライター。アート、建築関係を中心に活動。共著に『新・美術空間散歩』(日東書院新社)、『背徳の西洋美術史』(池上英洋と共著、エムディエヌコーポレーション)、『美術でめぐる西洋史年表』(池上英洋と共著、新星出版社)。
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