ART
受け継がれるバウハウスの教え。ジョセフ・アルバースの授業を受けに〈DIC川村記念美術館〉へ。
| Art | casabrutus.com | text_Naoko Aono editor_Keiko Kusano
バウハウス、ブラックマウンテン・カレッジ、イェール大学で教鞭を執り、後進の指導にあたったジョセフ・アルバース。画家として、また教師としてのアルバースにスポットをあてた展覧会が開かれます。彼の授業を追体験しているような気持ちになれる展示です。
ジョセフ・アルバースは1888年、ドイツ生まれ。1919年にバウハウスが創立されるとその翌年に学生となり、1925年に教授となった。彼は学生から教授となった初めての例になる。アルバースは色彩論で知られているが、バウハウスでは主に専門の工房に進む前の基礎演習を担当した。またガラス画工房や家具工房でも教え、家具や食器のデザインを手がけたほか、ガラス作品も制作した。
ナチスの迫害により1933年にバウハウスが閉校になるとジョセフはノースカルロイナ州に設立されたばかりのブラックマウンテン・カレッジに招聘され、夫婦はアメリカに移住した。この学校では芸術がカリキュラムの中心に位置づけられ、アルバースは自然物を課題に用いるなどしながら色彩や造形の基礎を教える。アルバース自身は抽象絵画や版画にも取り組み、校内の内紛によって同校を離れるまで、充実した15年間を過ごした。
1950年、アルバースはイェール大学のデザイン学部長に就任する。ここでは色彩やドローイングを教えたが、とくに力を入れたのが色彩論だった。アルバースは着任以来、20年以上にわたって「正方形賛歌」のシリーズを制作する。正方形による特定のフォーマットに色彩を配置し、隣り合う色彩がさまざまな効果を生み出すというものだ。彼は色彩を移ろいやすい、相対的なものととらえていた。また色彩が見る人にどのような作用をもたらすか、といった研究をまとめ、1970年に主著『色彩の相互作用』(邦題:『配色の設計』)として発表した。
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