ART
あのボルタンスキーが、旧朝香宮邸の亡霊を召還!?
November 26, 2016 | Art | a wall newspaper | photo_Satoshi Nagare text_Naoko Aono
東京都庭園美術館で人々を出迎える、実体のない影や声。ボルタンスキー展にさまよう“亡霊”が現れました。
旧朝香宮邸がもとになった東京都庭園美術館に“亡霊”が出現している。クリスチャン・ボルタンスキーの作品だ。誰もいない部屋にささやき声が響き、風に揺れる布にプリントされた目が静かにこちらを見つめる。
「この建物にはさまざまな記憶が詰まっている。その歴史的な記憶のコラージュを作りたいと思った」
彼の作品にはさまざまな要素が複雑に溶け合う。例えば山になった金色の布(《帰郷》)は事故や災害に遭った怪我人の冷えを防ぐ緊急用ブランケットでできている。
「金の山はそれ自体はとても美しい。また金は権力や地位の象徴でもある。でもそれが緊急用ブランケットだと知ったとたん、この金の山には違う意味が生まれてくる」
彼は最近、ベルギーの美術館に自作を販売した。が、彼はモノを渡したわけではないという。
「作品のプランとそれを展示する権利を売ったんだ。私の作品は楽譜のようなものだ。オーケストラの編成によって違う演奏になるように、私の作品もいろいろな形で“演奏”してくれればいいと思う」
彼は自らの死を賭けの対象にするような作品も作っている。彼が生み出した“亡霊たち”は、生と死という根源的な問題を超えた何かを語っている。
「この建物にはさまざまな記憶が詰まっている。その歴史的な記憶のコラージュを作りたいと思った」
彼の作品にはさまざまな要素が複雑に溶け合う。例えば山になった金色の布(《帰郷》)は事故や災害に遭った怪我人の冷えを防ぐ緊急用ブランケットでできている。
「金の山はそれ自体はとても美しい。また金は権力や地位の象徴でもある。でもそれが緊急用ブランケットだと知ったとたん、この金の山には違う意味が生まれてくる」
彼は最近、ベルギーの美術館に自作を販売した。が、彼はモノを渡したわけではないという。
「作品のプランとそれを展示する権利を売ったんだ。私の作品は楽譜のようなものだ。オーケストラの編成によって違う演奏になるように、私の作品もいろいろな形で“演奏”してくれればいいと思う」
彼は自らの死を賭けの対象にするような作品も作っている。彼が生み出した“亡霊たち”は、生と死という根源的な問題を超えた何かを語っている。
《影の劇場》1984年
《心臓音》2005年
《アニミタス》(小さな魂)2015年
クリスチャン・ボルタンスキー
1944年、パリ生まれ。無名の人々の写真や衣服などを素材に、匿名の個人や集団の生(存在)と死(消滅)、記憶をテーマに制作を続けている。日本では豊島のほか、越後妻有にも恒久設置作品がある。 さらに詳しいインタビュー記事「ボルタンスキーが語る、旧朝香宮邸の亡霊たち。」
クリスチャン・ボルタンスキー『アニミタス−さざめく亡霊たち』
〈東京都庭園美術館〉