ART
長濱ねるが日本初の大規模個展『ダミアン・ハースト 桜』で没入体験。
『カーサ ブルータス』2022年5月号より
April 8, 2022 | Art, Fashion | DAMIEN HIRST CHERRY BLOSSOMS | photo_Kenshu Shintsubo text_Jun Ishida styling_Naomi Shimizu hair & make-up_Yoshikazu Miyamoto (bnm)
国立新美術館で開催中の『ダミアン・ハースト 桜』展。会場で咲き誇る24点の桜の絵画は何を表しているのか? 長濱ねるとともに満開の桜の園を訪ねました。本誌未発表カットも公開します。
棚に規則正しく並べられた薬瓶、ホルマリン漬けにされた牛……。ダミアン・ハーストと聞いて真っ先に思い浮かべるのは、こうしたショッキングでコンセプチュアルな作品群だろう。現代アートの世界を一新した90年代のYBAsを代表するアーティストにして、アートの最前線を行くハーストの、日本で初となる大規模な個展が国立新美術館で開催されている。
ホワイトキューブの空間を埋め尽くすのは桜の巨大な絵画だ。2018年から3年にわたって描き続けた《桜》シリーズ107点は2021年にパリで〈カルティエ現代美術財団〉が初公開し、日本では本人が選んだ24点を展示。それらは離れて見る分には桜に見えるが、近づくにつれ色の塊の集積へと変わる。キャンバスに投げつけられた絵具の塊はどこか暴力的で、その色は毒々しい。展示を観に訪れた長濱ねるも同じ印象を抱いたようで、「ダミアンが描くのだから、癒しや優しい桜ではないだろうと思っていました」と語る。
イヤリング《クラッシュ ドゥ カルティエ》489,500円、リング《クラッシュ ドゥ カルティエ》上385,000円、下588,500円(以上カルティエ/カルティエ カスタマー サービスセンター TEL 0120 301 757)。ジレ306,900円、中に着たシャツ96,800円、サンダル135,300円(以上マルニ/マルニ ジャパン クライアントサービス TEL 0800 080 4502)。
ホワイトキューブの空間を埋め尽くすのは桜の巨大な絵画だ。2018年から3年にわたって描き続けた《桜》シリーズ107点は2021年にパリで〈カルティエ現代美術財団〉が初公開し、日本では本人が選んだ24点を展示。それらは離れて見る分には桜に見えるが、近づくにつれ色の塊の集積へと変わる。キャンバスに投げつけられた絵具の塊はどこか暴力的で、その色は毒々しい。展示を観に訪れた長濱ねるも同じ印象を抱いたようで、「ダミアンが描くのだから、癒しや優しい桜ではないだろうと思っていました」と語る。
イヤリング《クラッシュ ドゥ カルティエ》489,500円、リング《クラッシュ ドゥ カルティエ》上385,000円、下588,500円(以上カルティエ/カルティエ カスタマー サービスセンター TEL 0120 301 757)。ジレ306,900円、中に着たシャツ96,800円、サンダル135,300円(以上マルニ/マルニ ジャパン クライアントサービス TEL 0800 080 4502)。
ダミアンが描くのだから、優しい桜ではないだろうと。
「近くで見ると立体感があって、ピンクや赤だけでなく、オレンジや黄、青などいろいろな色がありますね。すべての絵が異なっていて、桜だけでいろいろな顔を表現できるのがすごいとまず思いました。全部の絵で桜が咲いているのも不思議に思えます。枯れているものがない。なぜ、すべて満開なのでしょうか?」と長濱。
咲き誇る桜を待ち受けるのは死だ。そこに描かれる桜が美しければ美しいほど、私たちは間近に訪れるその死を予感する。ハーストが追い続けるテーマの一つが「生者における死の物理的な不可逆さ」(作品のタイトルでもある)だが、ここでもそれは貫かれている。
「《桜》のシリーズは美と生と死についての作品なんだ。それらは極端で、どこか野暮ったい。愛で歪められたジャクソン・ポロックみたいにね。《桜》は装飾的だが、自然からアイデアを得ている。欲望、周囲の事柄をどのように扱い、何に変化させるのかについて、さらに狂気的で視覚的な美の儚さについても表現している」(本展カタログより)
咲き誇る桜を待ち受けるのは死だ。そこに描かれる桜が美しければ美しいほど、私たちは間近に訪れるその死を予感する。ハーストが追い続けるテーマの一つが「生者における死の物理的な不可逆さ」(作品のタイトルでもある)だが、ここでもそれは貫かれている。
「《桜》のシリーズは美と生と死についての作品なんだ。それらは極端で、どこか野暮ったい。愛で歪められたジャクソン・ポロックみたいにね。《桜》は装飾的だが、自然からアイデアを得ている。欲望、周囲の事柄をどのように扱い、何に変化させるのかについて、さらに狂気的で視覚的な美の儚さについても表現している」(本展カタログより)
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