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館長が語る、収集のストーリー。〈大阪中之島美術館〉が誇るコレクションはいかに形成されたのか。
March 11, 2022 | Art, Design | PR | text_Katsura Hiratsuka editor_Keiko Kusano
佐伯祐三やモディリアーニの名品から、「具体」をはじめとする大阪発の前衛芸術、日本一を誇るデザイン作品群……。多岐にわたるコレクションはどう生まれたのか。菅谷富夫館長に 〈大阪中之島美術館〉の収集方針からお金の話まで詳しく聞いた。
構想から40年近くを経て誕生した〈大阪中之島美術館〉。その準備期間、施設整備とあわせ、作品収集が粘り強く進められてきた。今や6,000点に及ぶコレクションの内訳は、佐伯祐三やモディリアーニなどの近代美術の名品から大阪発の現代美術集団「具体」の作品群、日本トップクラスを自負するデザインコレクションまで多岐にわたる。
公立美術館の枠組みで、国内外のコレクターやマーケットといかに対峙しながら収集を進めたのか。多岐にわたる作品に込められた一貫した収集方針とは? 館の建設準備室に1992年に着任し、以後30年近くの準備期間を共にしてきた菅谷富夫館長に、作品収集の裏側を教えてもらった。
公立美術館の枠組みで、国内外のコレクターやマーケットといかに対峙しながら収集を進めたのか。多岐にわたる作品に込められた一貫した収集方針とは? 館の建設準備室に1992年に着任し、以後30年近くの準備期間を共にしてきた菅谷富夫館長に、作品収集の裏側を教えてもらった。
――開館記念展「Hello! Super Collection 超コレクション展ー99のものがたりー」を拝見し、コレクションの質と量に驚かされました。
菅谷 展覧会は一般的に100〜130点くらいで構成するものですが、開館記念展では展覧会2本分の会場を使って約400点を展示したので、観るには疲れますよね(笑)。しかし所蔵作品は全体で約6,000点あるので、お見せできたのはごく一部です。
――すごい数ですね。収集は、どのように進めているのですか?
菅谷 さまざまな手続きがあります。残念ながらオークションに行って手を挙げて、その場で落札……というふうに買えるわけではありません。当館の場合は大阪市の手続きに従って、現場の人間が然るべき作品のリストを挙げ、委員会で議論・承認いただき、市の決済で判断するという流れを踏みます。
――作品によっては、収集当時の何倍もの価値がついているものもあると聞きます。
菅谷 たとえばアメデオ・モディリアーニの《髪をほどいた横たわる裸婦》(1917年)の場合、1989年当時の購入価格は19億3,000万円でした。地方自治体が購入した美術作品としては現在も最高記録だと思います。なので当時はマスコミを騒がせたのですが、最近、同じタイプの作品が200億を超える価格で落札されました。というのもモディリアーニのあのタイプの裸婦像は世界に30数点しかないと言われ、そのほとんどが世界の有名どころの美術館に入っているので、ほぼ売りに出ないわけです。
――そんな希少な作品が、新しくできた美術館にあるのはすごいことですね。
菅谷 この作品は元々は当館の基礎となるコレクションを蒐集した山本發次郎が所有していた、ゆかりある作品でした。また昭和初期に日本に渡ってきてずっと国内にあったので、ヨーロッパの方にとっては馴染みがなく、海外に貸し出すと注目を集める作品でもあります。数年前にヘルシンキで開催されたモディリアーニ展ではメインビジュアルに使われました。
菅谷 展覧会は一般的に100〜130点くらいで構成するものですが、開館記念展では展覧会2本分の会場を使って約400点を展示したので、観るには疲れますよね(笑)。しかし所蔵作品は全体で約6,000点あるので、お見せできたのはごく一部です。
――すごい数ですね。収集は、どのように進めているのですか?
菅谷 さまざまな手続きがあります。残念ながらオークションに行って手を挙げて、その場で落札……というふうに買えるわけではありません。当館の場合は大阪市の手続きに従って、現場の人間が然るべき作品のリストを挙げ、委員会で議論・承認いただき、市の決済で判断するという流れを踏みます。
――作品によっては、収集当時の何倍もの価値がついているものもあると聞きます。
菅谷 たとえばアメデオ・モディリアーニの《髪をほどいた横たわる裸婦》(1917年)の場合、1989年当時の購入価格は19億3,000万円でした。地方自治体が購入した美術作品としては現在も最高記録だと思います。なので当時はマスコミを騒がせたのですが、最近、同じタイプの作品が200億を超える価格で落札されました。というのもモディリアーニのあのタイプの裸婦像は世界に30数点しかないと言われ、そのほとんどが世界の有名どころの美術館に入っているので、ほぼ売りに出ないわけです。
――そんな希少な作品が、新しくできた美術館にあるのはすごいことですね。
菅谷 この作品は元々は当館の基礎となるコレクションを蒐集した山本發次郎が所有していた、ゆかりある作品でした。また昭和初期に日本に渡ってきてずっと国内にあったので、ヨーロッパの方にとっては馴染みがなく、海外に貸し出すと注目を集める作品でもあります。数年前にヘルシンキで開催されたモディリアーニ展ではメインビジュアルに使われました。
――海外からの引き合いがある作品として、他にはどんなものがありますか。
菅谷 ジョルジオ・デ・キリコ、マックス・エルンスト、ウンベルト・ボッチョーニ、ルネ・マグリット……このあたりの作品はよく海外に貸し出します。
菅谷 ジョルジオ・デ・キリコ、マックス・エルンスト、ウンベルト・ボッチョーニ、ルネ・マグリット……このあたりの作品はよく海外に貸し出します。
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