絵画と写真の境界を揺さぶる鬼才の画家、 ゲルハルト・リヒターの18作品が集結。
『カーサ ブルータス』2022年1月号より
December 9, 2021 | Art, Design, Fashion, Travel | photo_Makoto Ito text_Mari Matsubara
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《Strip[921-5]》2011年 紙へのデジタル印刷、アルミニウムとPerspex[ディアセック]の間にマウント。200×440㎝(Courtesy of Fondation Louis Vuitton)。1990年制作の抽象画を基にデジタル技術を駆使して作品化。色彩の水平ストリップが鑑賞者の奥行き知覚をなくし、戸惑わせる。
《Grauwald》2008年 カラー写真にエナメル加工ラッカー。2点=12.3×18.3㎝、6点=18.3×12.3 ㎝(Courtesy of Fondation Louis Vuitton)。「グレイの森」と名づけられたシリーズは写真の上にラッカーを塗り重ね、被写体である森はほとんど隠れて、それにより、風景がもり立てられ抽象的な抑制が加わり、表現を補完する役割も果たす。
《Grauwald》2008年 カラー写真にエナメル加工ラッカー。18.3×12.3 ㎝(Courtesy of Fondation Louis Vuitton)。「グレイの森」と名づけられたシリーズ。
《Lilak》1982年 キャンバスに油彩。2連画 260×400㎝(Courtesy of Fondation Louis Vuitton)。蛍光色を思わせるようなビビッドな色を、絵筆やパレットナイフやブラシなどを駆使して描いた作品。無数のラインや柱、あるいは面が幾何学的に交錯し、複雑に重なり、遠近感の錯覚を起こす。作品の隅に現れるブルーの色は自然主義を援用した空を想わせる。
《Flow[933-4]》《Flow[933-6]》2013年 アルディボンド上にマウントされるガラス板の裏面にエナメル。各105×210㎝(Courtesyof Fondation Louis Vuitton)。色とりどりの顔料の上にガラス板を押しつけると色は動き、混ざり合い、抽象の景色が出現。作為や感情を排除した色の世界にガラスの反射で周囲が映り込み、見る者を没入させる。
《Strip[921-2]》2011年 紙へのデジタル印刷、アルミニウムとPerspex[ディアセック]の間にマウント。200×440㎝(Courtesy of Fondation Louis Vuitton)。1990年制作の抽象画を基にデジタル技術を駆使して作品化。色彩の水平ストリップが鑑賞者の奥行き知覚をなくし、戸惑わせる。
《[940-4]Abstraktes Bild》《[941-7]Abstraktes Bild》2015年 キャンバスに油彩。各92×122㎝(Courtesy of Fondation Louis Vuitton)。今回、世界に先駆けて日本で初公開となった作品。《Strip》に専念していた時期を経て、抽象画へ回帰した比較的新しい作品。何層もの絵の具を重ねたのちにスクイージーで掻き取り、さらに絵の具を重ねてある。