KAWSの“原点と今”を巡る。20年後の『KAWS TOKYO FIRST』へ。
『カーサ ブルータス』2021年9月号より
| Art, Design | アーティストを巡る、この夏 | photo_Satoshi Nagare text_Mio Koumura
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《コンパニオン(レスティングプレイス)》COMPANION / RESTING PLACE(2013)。2006年に東京・青山に出店したショップ〈オリジナルフェイク〉のアイコン的存在だった“解剖人形”のコンパニオンを、2013年に発展させた作品。

《コンパニオン(レスティングプレイス)》半分から覗くネオンカラーの臓器が、寛いだ格好と真っ黒いボディを際立たせる。素材はアルミニウム。

《無題(キンプソンズ)》UNTITLED / KIMPSONS (2004)。初期の代表作《キンプソンズ》はシリーズとして2001年から05年までの間に数多く制作された。01年の個展で初披露した《パッケージペインティング》の中にもキンプソンズ作品は多く見られ、NIGO®自身が描かれた所有作品も本展では見ることができる。

《無題》 UNTITLED(1997〜99)。モスキーノやカルバンクライン、DNKY。街の広告を抜き取り、スタジオでコンパニオンを加え、再び街に戻す。広告を独自のアートに改変する手法「サブバータイジング」で脚光を浴びた彼の初期作品。図録には実際に、街にこの作品が並ぶ写真も掲載されている。

(左から)《シーイング》SEEING(2018)、《コート イン ザ カレント》CAUGHT IN THE CURRENT(2013)、《ウォッチング》WATCHING(2018)、《ゲートキーパーズ》GATEKEEPERS(2009)、《ホリデー》HORIDAY(2020)、《ニューターン》NEW TURN(2020)。近年の作品が揃う最後の展示室。チャムの中からコンパニオンたちが現れ、最後には銃弾のようなもので撃ち抜かれる。まるで4コマ漫画のような5連作は2020年制作。中国・宝龍美術館所蔵作品で、展示は初めて。

《コンパニオン(オリジナルフェイク)》COMPANION / ORIGINALFAKE(2006)。日本のトイメーカーのメディコム・トイとのコラボレーションで出店(2013年に閉店)した〈オリジナルフェイク〉の象徴的存在。フィギュアと同じ素材に見えるが、彫刻のようにも見える。素材で区別される概念に対し、“本物か偽物か”その境界線を問う作品。

《ヒー イーツ アローン》HE EATS ALONE(2014)。2004年に描かれた絵画作品をもとに、立体彫刻として制作。日本人には馴染みの深いアニメシリーズのキャラクターを彷彿とさせ、日本への愛着を感じさせる。19年、中東での同名展覧会がドーハの元消防署の建物を利用した〈Fire Station Museum〉で開催された。

《ファイブ サスペクツ/♯スリー》FIVE SUSPECTS / #THREE(2016)。世界的な犬のキャラクターの形をした5枚のキャンバスで構成される連作で、よく見ると絵画の中には別のキャラクターが隠れている。パワフルな独自の色使いは原色で絵具を使用するため。老舗絵具メーカー、ゴールデン社のものを愛用し、色を別注することも。

《ゴーン》GONE(2018)。コンパニオンがBFFを抱えるブロンズ彫刻は、現在ブルックリン美術館で開催中の『KAWS: WHAT PARTY』でも色違いで展示されている。タイトルは直訳すると「行ってしまった」。2体の代表的キャラクターのコラボ作品でありながら時世への苦悩が垣間見える。

2001年3月、東京・渋谷の〈パルコギャラリー〉にて行われた『KAWS TOKYO FIRST』展のフライヤー(編集部私物)。

2001年『KAWS TOKYO FIRST』展のフライヤー裏面(編集部私物)。
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