ART
ロベール・クートラスを知っていますか?
April 12, 2016 | Art | a wall newspaper | text_Masae Wako
ユーモアと哀愁を併せ持つ作品で、クリエイターにもファン多数。そんな画家クートラスの個展が話題です。
Robert Coutelas
1930〜85。パリ生まれ。ロマネスク大聖堂の石工などを経た後、パリでデビュー。「現代のユトリロ」と称されるも画壇から離れ、画材にも事欠く困窮の中で自らの芸術を追求した。グアッシュや油彩、テラコッタ彫刻など作品は多岐にわたる。 写真/ヴォージラールの部屋でグアッシュを描くロベール・クートラス。1978年。
ユーモアにあふれた親密さの中に、静かな哀しみが横たわっているー1960年〜80年代のパリに生きたロベール・クートラスは、“売れる画風”を拒み、貧しくとも自らの心と理想に従って描き続けることを選んだ画家だ。日本には、そんな彼を敬愛するクリエイターも多く、再評価の機運が高まっている。
現在、静岡県の〈ベルナール・ビュフェ美術館〉で開催中の展覧会もそのひとつ。小さな紙片を油絵で彩った「カルト」や、グアッシュ(不透明水彩絵具)で描かれた肖像画をはじめ、日本初公開作品も展示されている。また、生前のクートラスが売ることや散逸を望まなかった作品群も来日。ファンであるデザイナーの皆川 明が、「すべての作品が共鳴し、彼の人生を語っている。だからこそ彼は作品を散らさず、留め、その交響性を大切にしていたのでは……」と話す、切ないほどに美しく純粋な世界に浸ってみたい。
現在、静岡県の〈ベルナール・ビュフェ美術館〉で開催中の展覧会もそのひとつ。小さな紙片を油絵で彩った「カルト」や、グアッシュ(不透明水彩絵具)で描かれた肖像画をはじめ、日本初公開作品も展示されている。また、生前のクートラスが売ることや散逸を望まなかった作品群も来日。ファンであるデザイナーの皆川 明が、「すべての作品が共鳴し、彼の人生を語っている。だからこそ彼は作品を散らさず、留め、その交響性を大切にしていたのでは……」と話す、切ないほどに美しく純粋な世界に浸ってみたい。
私たちもクートラスの大ファンです!
中村好文 建築家
1981年にパリのクートラスの住まいを訪ね、クートラスの目の前で作品をじっくり見せてもらったことがあります。カルトを20枚組み合わせた作品と、彼が「僕のご先祖さま」と呼んだグアッシュ作品の2点を譲ってもらい、トランクの底に入れて持ち帰りました。以来35年間、ずっと身近に飾って眺めています。
1981年にパリのクートラスの住まいを訪ね、クートラスの目の前で作品をじっくり見せてもらったことがあります。カルトを20枚組み合わせた作品と、彼が「僕のご先祖さま」と呼んだグアッシュ作品の2点を譲ってもらい、トランクの底に入れて持ち帰りました。以来35年間、ずっと身近に飾って眺めています。
小林和人〈Roundabout / OUTBOUND〉 店主
その作品と佇まいには、相反する要素が共存する撞着語法的な魅力を覚えます。「繊細な闊達さ」「周到な偶然性」、あるいは「聖なるだらしなさ」…! 貴種流離の念も強かったであろう彼の作品は、いるはずではない時代や場所に生きるすべての人にとって、現実圧から逃れる小さな盾のような存在なのかもしれません。
その作品と佇まいには、相反する要素が共存する撞着語法的な魅力を覚えます。「繊細な闊達さ」「周到な偶然性」、あるいは「聖なるだらしなさ」…! 貴種流離の念も強かったであろう彼の作品は、いるはずではない時代や場所に生きるすべての人にとって、現実圧から逃れる小さな盾のような存在なのかもしれません。
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