ART
〈NY植物園〉でついにスタートした草間彌生展、見どころレポート!|吉田実香のNY通信
April 27, 2021 | Art, Travel | casabrutus.com | text_Mika Yoshida
ブロンクスの〈NY植物園〉で始まった、草間彌生『コスミック・ネイチャー』展。この1年あまり人も文化も冬眠を余儀なくされたNYを再生する、アートと植物の大宇宙とは?
NYに文化活動が戻ってきた! いよいよ始まった草間彌生の《コスミック・ネイチャー》展、オープニングは奇しくもNYでワクチン接種が爆発的に拡大普及した直後。出かける自由を市民が取り戻し始めた時期にスタートという、感慨深いタイミングとなった。
〈NY植物園〉(NYBG)は計250エーカー。東京ドーム約23個分にもあたる面積だ。広大な園内のさまざまな場所で来場者は草間彌生の作品に出会い、対話する。順を追って紹介しよう。
〈NY植物園〉(NYBG)は計250エーカー。東京ドーム約23個分にもあたる面積だ。広大な園内のさまざまな場所で来場者は草間彌生の作品に出会い、対話する。順を追って紹介しよう。
草間アートと自然とが呼応し、高め合う。
正門から入場して受付を済ませ、一本道を進んでいくと前方で手招きするかのように迎えてくれるのが高さ4メートルの新作《I Want to Fly to the Universe》だ。(マップ⑥) 赤地に白の水玉が炸裂する顔と、そして水面に映る顔。この裏側にはもう一つ、青地に赤い水玉がバーストする顔があり、その前で地元ブロンクスの若い女性達が凜々しいポーズで写真を撮りあっていたりも。幼児からシニアまで、それも様々なタイプの人々を強く惹きつけている本展だが、アメリカでは草間彌生が女性エンパワーメントのアイコンとしても広く敬愛されていることがよく分かる。
《I Want to Fly to the Universe》の手前で、小さな建物が右手に現れる。中に足を踏み入れれば、そこは暗闇。目が慣れると、明るく浮かび上がっては闇に戻り、また明るく輝くかぼちゃが無数に現れる。透明なパネルの中で鏡によって反射し、無限のかぼちゃ畑に没入するかのようなインスタレーション、《無限の彼方へかぼちゃは愛を叫んでゆく》だ。(マップ①)
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illustration Yoshifumi Takeda
吉田実香
よしだ みか ライター/翻訳家。ライター/インタビュアーのパートナー、デイヴィッド・G・インバーとのユニットでNYを拠点に取材執筆。『Tokyolife』(Rizzoli)共著、『SUPPOSE DESIGN OFFICE』(FRAME)英文執筆、『たいせつなきみ』(マイラ・カルマン 創元社)翻訳。
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