ART
【独占】村上隆とKYNEがガチで語ります。『KYNE Kaikai Kiki』開催!
『カーサ ブルータス』2021年5月号より
April 9, 2021 | Art | a wall newspaper | photo_Satoshi Nagare text_Jun Ishida
村上隆主宰の〈カイカイキキギャラリー〉でKYNEの個展が始まりました。それにしてもこの2人がタッグを組んだ理由とは? カーサ ブルータス独占インタビューでお届けします!
世界の現代アートの最前線を走る村上隆と、日本のアートシーンで爆発的な人気を集めるKYNE。展覧会準備中の会場で、2人の初対談が実現した。
──村上さんは、KYNEさんの絵の側面を熱心に見ていましたね。
村上隆(以下M) コレクターの方はモノ的な部分に反応するので、KYNEさんがどういう考え方で作ってるのかなと。実は、絵画の側面を自覚的に描いたのは、現代美術業界では僕が初めてなんです。
──その意図とは?
M アートのゲーム、特にペインティングは、西欧人の作ったものなので、日本人の僕は、そこへの参加権利がなかったのです。だから、側面を描いてオブジェに擬態したんです。
KYNE(以下K) 僕の場合は、以前は描いてなかったんですけれど、ギャラリストのアドバイスで描くようになりました。
──KYNEさんにとって村上さんはどのような存在ですか?
K いろいろな意味での先駆者ですね。現在のアートシーンのベースを作った方だと思います。村上さんの作品に出会ったのは小学校2、3年生の時でした。1996年に開業した〈キャナルシティ博多〉で、村上さんの《DOBくん》のバルーンが展示されたんです。
──村上さんと初対面したのは?
K 一昨年に〈Tonari no Zingaro〉で行われた『コンプレックスコン』のイベントですね。
M KYNEさんは会場にふわっといました。ナナフシって昆虫がいるじゃないですか。風景に擬態して、よく見ればいるっていう。
──村上さんは、KYNEさんの絵の側面を熱心に見ていましたね。
村上隆(以下M) コレクターの方はモノ的な部分に反応するので、KYNEさんがどういう考え方で作ってるのかなと。実は、絵画の側面を自覚的に描いたのは、現代美術業界では僕が初めてなんです。
──その意図とは?
M アートのゲーム、特にペインティングは、西欧人の作ったものなので、日本人の僕は、そこへの参加権利がなかったのです。だから、側面を描いてオブジェに擬態したんです。
KYNE(以下K) 僕の場合は、以前は描いてなかったんですけれど、ギャラリストのアドバイスで描くようになりました。
──KYNEさんにとって村上さんはどのような存在ですか?
K いろいろな意味での先駆者ですね。現在のアートシーンのベースを作った方だと思います。村上さんの作品に出会ったのは小学校2、3年生の時でした。1996年に開業した〈キャナルシティ博多〉で、村上さんの《DOBくん》のバルーンが展示されたんです。
──村上さんと初対面したのは?
K 一昨年に〈Tonari no Zingaro〉で行われた『コンプレックスコン』のイベントですね。
M KYNEさんは会場にふわっといました。ナナフシって昆虫がいるじゃないですか。風景に擬態して、よく見ればいるっていう。
──今回の展示はどのような経緯で実現されたのですか?
M 2019年の『アートフェア東京』で、コレクターの方たちがKYNEさんの作品の取り合いになったという噂を聞いたのが始まりでした。フェアが始まった途端、主要なコレクターの方々が作品目指して走ったと聞いて。バーゼルで行われる『アート・バーゼル』ではそうした光景を見たことがあるんですが、日本もついにそうなったのかなと思いました。ただ、そうした現象が起きたのはKYNEさんだけだったので、スタッフに“ひとりバーゼル・バーゼル”に声をかけろ、と。作品に関しては、江口寿史に似てるなぁが第一印象。でも時代にオンした人は人気が出るのに理由があるので、それは何だろうか? と、福岡を訪れてKYNEさんと話したら、いろいろ面白い発見があった。彼はもともとグラフィティの世界で活躍していて、学生時代には日本画を学んだこともあるとのこと。そして本当はヤンキーになりたかった……等、色々ねじれていました。
K 憧れましたが、親戚も親も公務員で、悪いことは絶対するなと育てられたので。
M アーティストには、作品背景に何があるのかが大事です。プロフェッショナルとしての画力や表現技術が整えられていればある程度の人気は出るけど、大事なのは本人の核心部。彼は親類縁者が公の仕事についていて、その辺の田舎の圧力への反発から生じた爆発力とかがあったんだろうなと。僕は両親が北九州の出身で、九州へは執着があるんです。話を聞いて、九州派の菊畑茂久馬や東村アキコ先生の『かくかくしかじか』、福岡出身の松本零士、そしてKYNEさんが僕の中でつながりました。九州一派の無頼な感覚と、無頼になれずアーティストにしかなれなかった男の悲哀。勝手にストーリーを妄想して、なるほど、そういうことかと感動しました。
M 2019年の『アートフェア東京』で、コレクターの方たちがKYNEさんの作品の取り合いになったという噂を聞いたのが始まりでした。フェアが始まった途端、主要なコレクターの方々が作品目指して走ったと聞いて。バーゼルで行われる『アート・バーゼル』ではそうした光景を見たことがあるんですが、日本もついにそうなったのかなと思いました。ただ、そうした現象が起きたのはKYNEさんだけだったので、スタッフに“ひとりバーゼル・バーゼル”に声をかけろ、と。作品に関しては、江口寿史に似てるなぁが第一印象。でも時代にオンした人は人気が出るのに理由があるので、それは何だろうか? と、福岡を訪れてKYNEさんと話したら、いろいろ面白い発見があった。彼はもともとグラフィティの世界で活躍していて、学生時代には日本画を学んだこともあるとのこと。そして本当はヤンキーになりたかった……等、色々ねじれていました。
K 憧れましたが、親戚も親も公務員で、悪いことは絶対するなと育てられたので。
M アーティストには、作品背景に何があるのかが大事です。プロフェッショナルとしての画力や表現技術が整えられていればある程度の人気は出るけど、大事なのは本人の核心部。彼は親類縁者が公の仕事についていて、その辺の田舎の圧力への反発から生じた爆発力とかがあったんだろうなと。僕は両親が北九州の出身で、九州へは執着があるんです。話を聞いて、九州派の菊畑茂久馬や東村アキコ先生の『かくかくしかじか』、福岡出身の松本零士、そしてKYNEさんが僕の中でつながりました。九州一派の無頼な感覚と、無頼になれずアーティストにしかなれなかった男の悲哀。勝手にストーリーを妄想して、なるほど、そういうことかと感動しました。
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